設定探し
早見瞬にはある日課がある。
それは、自分が気持ちよくなれる妄想の設定を探すことだ。
そして彼は日常のありとあらゆる場所からマンガ、アニメ、ゲームの世界にも影響を受けて頭の中で世界を創り上げているのだ。
「なんかいい設定ないかな、バトル系がいいな」
早見は今バトル系のマンガにハマっていた。
何故なら彼はこの前観た人がチェーンソーになるアニメの映画を見て
その迫力に感化されバトルのインスピレーションが止まらないからだ。
そんなこんなで学校に着いた早見は高校で
数少ない友達の佐々木に挨拶をする。
「佐々木おはよー、新しいプケモンのゲーム買ったけどあれめっちゃ面白いな」
「おぉ早見おはよー!そりゃそうだよ。あの最新作のプケモンは俺のママが作るのに携わってるからね!」
「一応聞く、それはほんとか?」
「もちろんうっそだよーん」
佐々木は冗談好きで社交的な奴だ。
生徒会にも属していてそしてママ呼びだった。
さてもうすぐ一限目の授業が始まる。
早見はいつも授業中にしていることがあった。
その名は妄想トレーニング。
早見はいつも授業中に厨二病の男子が一度はやったことがあるであろう
もし急に教室にテロリストが入ってきたら、、、
という妄想をしていた。
その後の展開はもちろん決まっている。
それは早見がテロリストをバッタバッタとなぎ倒し
好きな子を守るというお決まりの展開だった。
ただ来るのは必ずテロリストという訳ではなく
影の秘密結社や外国から来たスパイなど
その種類は千差万別。
ただ何故テロリスト達が教室に入って来るのかは定かではない。そこまでの設定を早見は決めていなかった。
ところで何故彼はその一連の流れを妄想トレーニングと呼んでいるのか、それはそのトレーニングを通して妄想における集中力、
言い換えれば"妄想力"を培っているからだ。
そして早くも時間が過ぎ時はお昼休み
早見は数少ない友達の佐々木と購買からパンを買って
お決まりの場所に腰を下ろす。
「なあ佐々木、最近好きなアニメある?」
「なんだよその新学期早々ちょっと仲良くなりたての高校生みたいな会話は、んー、そうだな、最近って訳ではないけど、あるよ」
「なになに」
「やっぱオラゴンボールだよ、技とかかっこいいもん」
「あー技ねー、なんか好きなシーンとかある?」
「それはもちろん主人公が覚醒するシーン、あれは何度見てもたまんないね」
「覚、醒?」
この時、早見は衝撃を受けた。
彼は最近、自分が最初から最強系の妄想ばかりにハマっていたのだ。そんな早見にとってその王道とも言える展開は新鮮で今求めている設定だった。
キーンコーン、カーンコーン、
いつも通りの時間にチャイムが鳴った。
そろそろお昼休みが終わるのだろう。
二人は席を立つ。
「佐々木ありがとう、やっぱお前の話って面白いな」
「どうした、急にお礼なんて言いやがって、別になんの変哲もない会話だっただろ。もー、お前ってやつは小1の時から付き合いがあるけどまだよく分からんなー。」
佐々木は照れていた。
そういえば今日はいつもより肌寒く感じる。
「もう秋も終わりか」
と、早見は呟いた
もうすぐ11月の中旬だ。
高校生活の6分の1を終えたことになる。
時が経つのは早いな、と早見は思った。
ところで、早見の不思議な能力は時にも干渉する。
彼は妄想の世界に入ると現実世界と妄想世界の時の流れ方が違うのに気付いていた。
早見はその能力を使って実験したことがある。
まず妄想世界の中で三日間滞在し、現実世界に帰ってきた時の時間のずれを測ってみたのだ。
その結果は3秒。
その結果から計算すると、妄想世界で一日滞在すると現実世界で1秒時が過ぎると言うことである。
だから彼はその能力を使って思う存分妄想世界の中を冒険出来るのだ。
早見は、考えていた。今決まっている設定はバトル系で主人公である早見が覚醒する事だ。ただまだ抽象的だ。もう2つぐらい設定のピースが欲しい。
「佐々木、課題手伝ってくれたらジュース奢る」
「しゃあねえなぁ、ジュースはいいからファミチキ2個奢ってくれたら手伝う」
「お前ファミチキ2個も食うのか、そんな食って大丈夫か?」
「違うって、お前と一緒に食いたいんだよ」
「たまにはいい事言うじゃねえか、キリッ」
「なんだそれ、アニメのキャラみたいじゃんかよ」
佐々木は笑っていた。
二人は何気ない会話をしながら教室に向かって歩き出す。
吹くにしては少し早い木枯らしが、落ち葉とダンスを踊っていた。
ーーーーーー設定ーーーーーー
・バトル系
・主人公が覚醒
・ーーーーー
・ーーーーー
残るピースはあと二つ
早見瞬の設定探しはあともう少しだけ続くーーーー。




