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ユグドメイク -YggdMake-  作者: 隆永展
第一章:残るものは失った過去
10/18

Memories No.108

読み取り開始(ID:No 108)

 ・・・・・・ーーーー


 はぁ。

 秘訣を話せっつってもなぁ。

 あー。

 若え頃はな、渋谷だとか新宿だとかの駅前やらで座っては良く人間観察をして遊んでたな。

 他人から見りゃ特段寂しい人間だったわけよな。

 特にやりてぇ事なんてななくてな。

 暇人ってのは何かと無意味と思うような事でも、何も考えずに行動にでちまうもんでよ。

 俺ぁ正直言って人混みってぇのは嫌ぇなんだがな、何でも続けてるとそれが日課みてぇになっちまうんだよな。


 心理学を学んでるわけじゃあねえが、地域特性ってのがあってな、『多くの人は皆こうしてる』とかっつう個々の共有認識が、大体その街の慣わしって基準が形成されんだが。

 なんだ、ずっと眺めてっとな『この街の行動原理ってこう言う動機なんだろうな』って言う予測になるんだよ。

 そうやって当て嵌めて見てるとな、地域の団体や集団が似た行動するのに一人だけ違った動きをしてるって言うのが、目立ってなくても目に入っちまうんだよな。

 そんな見分け方、なんだろなぁ。

 聞けば特段特別な事ぁしてねえよな。

 要は極めるなら地道を選べっつう事だと思うわけだな。

 地道に統計して、必要な時に素早く結論を出す。

 言わば連想も予測も知識をひけらかす慣れっての?

 慣れるってのは回数こなして身体に覚えさせてなんぼだと思うんだよな。


 俺も特に意識してきたわけじゃねえからまぁ、なんだ。

 んな感じだな、はは。

 そういや、学業が終わってから今の職になるまでは全く無関係な仕事を結構やってきたんだが。

 仕事をしている時にもう一つ気づいた事ぁあってよ。

 従業員がな、作業の愚痴だとか理想だとかを永遠と喋ってんのよ。

 でな、それを聞いてっとよ、そいつらの愚痴のキーワードが頭に入ってくんだよな。

 正直言や、愚痴ってな耳障りだから口を慎めってな話だけどよ、聞こえちまうんじゃしょうがねぇわな。

 そのキーワードっていうのが何かっつうと例えで言うとな。

 『物の整理が雑過ぎて、毎回物を探すのが面倒臭え』とか『あれが見当たらない』だとか色んな奴が愚痴ってる事をとりあえず拾うわけよ。

 昔トトヤの社長が同じ状況で悩んでたらしくてよ。

 物を探す時間を計算したら、一日で何時間だか作業ロスを起こしてるっつう結果が出たとかでよ、物を探さなくても良いように、全ての物と棚に番号を付けてもの一つ一つに専用の置き場所っつうのを設けたんだわ。

 今で言うロケーション管理って奴だな。

 そしたらお陰で作業効率が上がって業績がみるみる上がったっつう話があるんだわな。

 そう言う話を知ってたわけでよ。

 実際に提案して作ったら、数も確認しやすくなって成果以上だったって話しだわ。

 それでも誰かしら無くす事はあったわけでな。

 問題の探し物が何処に行ったとかを探し出す時どうすんのかって話な。

 大体誰が何処のルート歩いてたとか、何してたとかを見てっから「あんたあの時あの辺で作業してただろ」とかヒント出すのよ。

 正直「そこに物置いてたよな」とかまで見てたんだが。

 まぁあんまり細かすぎるとよ言葉の危険ってのがあるからな、一歩間違えりゃストーカーみてぇで気持ち悪りぃし。

 なんで気づいてたのに言わねえんだよってなるかもしれんからな。

 そう言う危険回避も時には必要になるわけよ。

 人間誰だって他人の行動を百パー理解してるなんて事ぁねーわな。

 だからついでに「あぁこれ探してたよな」って作業ついでに思い出しては棚の整理をしといてやっとよ、喜んでくれんだわ。

 結局解決ってのは、ちょっとした知恵よな。

 でも大概ってえのは他人の雑を補うってのは結構な労働力だと思うんだよな。

 だからよ、ほどほどに出来る限りで持続的に地道をやってれば自然に大した事を振る舞えてるように見えんだよ。

 あぁ、因みに今の話は倉庫業の話だわな。

 てなわけでよ。

 他人を見てるだけじゃなくて、他人の口から出る言葉っていうのも立派に予測を立てる練習になったわけよ。

 社内で盗難問題とかもあってよ、良く普段から全員の行動って見る癖が出来てたわけだから聞き込みと行動とかを合わせたらよ、見事に犯人当てちまうようになってよ、そっからだわな俺が探偵の仕事があってるんじゃないかって考えになったのは。

 倉庫の同じ従業員からしたら、目くじら立てられるような存在だっただろうなぁ、良く嫌味を言われたりちょっかい出されたりしてたからよ。

 折角尻拭いしてやってた善意をよ、仇で返されちゃ敵わんよな。

 まぁ自分の経験をもとに言うのもなんだが。

 真面目に働いてる人間が一番可哀想だからよ、真面目に働く人間の手助けしてやるのもなかなか良いもんよ。

 ワークフローも纏まっていて行動パターンが分かりやすいから、手助けもしやすいしな。

 大体規則に沿ってる場所だとよ、悪知恵働いてる奴ぁ出来ない事を無理矢理やらせるだとかパワハラだとか訴えて、声高くしたりするんだけどよ、まぁ知ったこっちゃねぇわな。

 ちゃんと働いてるやつが偉ぇわ。

 面倒でも無視は出来ねぇから、誰かしら対応してたわな。

 何だかんだこの職に就いてよ。

 あぁ探偵になるのに必要な資格ってなくてな。

 ある程度の法的知識と集計用のパソコンスキル、張り込みするための体力、後はカメラの撮影技能か。

 そんなのを身につけりゃ後は実践だな。

 最近は街中でぶらついてっと色んな話が頭に入っちまってよ、ちょっとした話でも頭でパズルのように内容が出来あがっちまって、闇取引だとかの情報も組みあがっちめんだよな。

 んなもんでよ、自慢するつもりじゃぁねえが、事が起きる前に解決出来ちまうもんでよ妙に持ち上げられちまうんだよな。

 俺が動いた時ぁ事件は既に終わっちまうってよ、ハハハ。

 こないだなんてよプライベートでほっつき歩こうとして席を立っただけなのに「事件解決ですか?」だってよ、笑っちまうよな。

 あんまり言われちまうと動く事も忍びねぇからよ、置物みたいにジッとしてる事もあるんだわ。

 そんな事してたらよ、そんな事ってまぁただ大人しくしてただけなんだが、面白い事にな『ガーゴイル』ってな異名を付けられちまってよ、小っ恥ずかしくてしょうがねぇわな。


 ーーーーーー・・・・・・ 読み込み終了



          ⌘⌒ ⌘⌒ ⌘⌒

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