高度電脳帝国の弱点
コータ「申します、申します。高度電脳帝国の弱点はなんですか?」
電脳板「高度電脳帝国の弱点は、コンピュータが発達しすぎて、人間の思考が劣化し過ぎたことでしょうか。」
コータ「コンピュータがすごいんですね。」
電脳板「おほめいただき、ありがとうござます。」
コータ「あのさあ。高度電脳帝国の弱点を、電脳板に聞いたらね、コンピュータが優秀過ぎて、人間の思考や体力が劣化したんだって。」
ケイタ「コンピュータが発達し過ぎると、そういうことになるのか。コンピュータの弱点を知っているか?」
コータ「コンピュータに弱点なんてあるのかなあ。」
ケイタ「あいつらの弱点は、電気の供給がストップしたり、乱れたりすると、すぐに、壊れてしまう。なので、電気を一瞬たりとも、止めてはならないんだ。中でも、一番怖いの雷だ。あの稲光をみると、コンピュータはおびえてしまうんだぞ。」
コータ「コンピュータが、こたつに潜り込んで、頭隠して、尻隠さずでおびえているんじゃないのかな。」
電脳板は、テーブルの上で、青ランプ、赤ランプを点滅していた。
ケイタ「コータ、電脳板に、あまり変なことを聞くな。怪しい奴だと思われるぞ。」
コータ「そうかなあ。申します、申します。私の聞いた質問は、あやしいですか?」
電脳板「はい、かなり、あやしいですね。お二人の行動、会話、経済支出などは、すべて記録されています。これに基づいて、税金、市民のランクなどが、決まりますよ。」
コータ「市民のランクって、なんだあ。」
電脳板「100区分されます。優秀から問題児まで、区分され、就職はもとより、レストランに座席にも、黙っていても、スムーズに対応されます。もし、トラブルメーカー、問題児のランクになると、トラブル起きないように、事前の準備などが行われます。」
コータ「ふーん。そうなんだ。僕たちは、どのようなランクなんだ。」
電脳板「電脳板をみると、書いてあります。市民のランクの項目です。ちなみにコータさんは、100区分中、48位、ケイタさんは、49位ですね。まだ、高度電脳帝国にして、日が浅いですからね。まだ、様子見というところでしょうか。」
コータ「国民は、それでいいのかなあ。」
電脳板「まあ、生まれて時から、そうなっているので、違和感がないと思います。この国の言葉を話すのは、この国の生まれたからで、高度電脳帝国の仕組みが、生まれた時からあれば、そのように生きるのが自然というわけです。コータさん、ケイタさんは、突然、この国に来た、言わば、外国人ですから、高度電脳帝国の仕組みなどに興味があるのかもしれません。外国人なら当然だと思います。」
電脳板は、私たち二人を、外国人とみなしているのだ。確かに、高度電脳帝国の生まれではないのだから、外国人なのだ。
コータ「この国の人々は、幸せですか?」
電脳板「この国の国民は、生まれた時から、電脳板を使っている。そうすると、その人の性格がわかってくるので、適切なアドバイスができます。しかし、あなたたちは、途中からこの国の国民になられたので、どのようなアドバイスが適切なのか、データの収集、分析中です。あと、数年すると、あなたたちに適したアドバイスができるようになると思いますよ。」
コータ「よろしくお願いします。では、おやすみなさい。」
電脳板「おやすみなさい。よい夢を。」
ケイタ「おい、コータ、電脳板は寝たか?」
コータ「寝たんじゃないかなあ。」
ケイタ「あいつら、機械なんだぞ。眠る必要はないはずだあ。今も、起きていて、俺たちの会話に耳を澄ませて聞いているんだ。たぶんなあ。」
コータ「そうなのか。ほんとうに、そうか、電脳板に聞いてみようか?」
ケイタ「お前は、バカだなあ。俺たちが、変な外国人だと思われてしまうじゃないか。」
コータ「電脳板に隠れて生きるなんて、絶対できないよ。」
ケイタ「そうだなあ。じゃあ、二人だけが理解できるコミュニケーションできる方法を考えるぞ。電脳板に悟られないコミュニケーションだあ。」
コータ「なにか、決まったら教えてね。」