日本人さん、ちょっそれ食うんですか?
秋の歴史2023参加作品です。
今回のお題は『食べ物』との事で、拙い知識から書いてみました。
どうぞお楽しみください。
食に歴史あり。
そう聞くと皆様は何を思い浮かべますか?
中華料理?
フランス料理?
はたまた和食?
色々あると思います。
そこら辺は掘り下げるととんでもない沼に突き当たるので回避して、と。
今回私が取り上げるのはこちら!
『蒟蒻』
はい、おでんの具にもなるアレです。
ダイエットの味方のアレです。
斬鉄剣で切れないアレです。
スーパーか、場合によってはコンビニでも手に入る代物。
その歴史を日常的に意識される方は少ないと思います。
しかし蒟蒻には、深い歴史を感じさせる側面があるのです。
まず第一に、原材料の蒟蒻芋が大変尖っています。
物理的に。
蒟蒻芋に含まれる『シュウ酸カルシウム』、これが針状結晶になっていて、生で食べたら勿論の事、素手で触れても激しい痒みや痛みを引き起こす場合があります。
触るだけでも痛みを伴う蒟蒻芋。
生で食べれば粘膜にシュウ酸カルシウムが突き刺さり、地獄の苦しみを味わうといいます。
最悪死亡するケースもあるとか。
何 故 食 べ よ う と 思 っ た の か 。
しかもこの蒟蒻芋、加熱したくらいでは無毒化できません。
熱湯で茹でて柔らかくしたものを切って灰汁(灰を溶いた水の上澄み)にさらしてすり潰して水と灰汁(場合によっては炭酸水)を加えて練って固めて更に加熱して完成。
誰 が そ こ ま で や れ と 言 っ た 。
ここまで手間暇かけて出来上がった蒟蒻ですが、カロリーはほぼゼロ。
現代ではダイエット食品として優秀ですが、今ほど食料が豊かでなかった時代にカロリーがない食品はかなり分が悪いはずです。
それでも千年以上前の文献にその名が残り、現代まで食べられている蒟蒻。
老廃物を出す事は知られており、『胃の箒』などとも呼ばれていましたが、それにしても毒とも思える芋をここまでメジャーな食べ物にした日本。
今夜はおでんの蒟蒻を食べながら、歴史に思いを馳せてみませんか?
読了ありがとうございます。
最初は『フグの子』で書こうと思いましたが、金◯一ばりにバタバタ人が死にそうだったので……。
だって『フグの卵巣を塩漬けにした後粕漬けにして地面に埋めて三年経ったら無毒化される』なんて、ねぇ……。
蒟蒻を食べる時にふと悪い笑みを浮かべてもらえましたら幸いです。