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第一話 転移の先に
「転移陣か…」
中堅冒険者なら20階層を越えなければ比較的安全とされているダンジョン《竜髭の滝》
その15階層を探索していたカルムは突然飛ばされたのである。
冒険者となって早10年、数多のダンジョンに潜り、死線を潜り抜けた者にこそ分かる直感。
上層から感じる、勝てる気がしない圧、そして目の前からは何も感じないが見たことのない扉。
「戻るも地獄、進むも地獄か〜」
カルムは大きく精巧な扉の前で、一人ため息混じりに呟くのだった。
「よし、行くか!」…
カルムは暫く悩んだ末、目の前の扉を開けるのであった。