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あいつら、ばかだから

掲載日:2021/12/28

ある山にきつねの兄弟が住んでいました。


さむいさむい冬の夜。

小高い山の頂で、兄弟ぎつねはならんで座り、夜空を見上げていました。

寒空には、まるいお月さまと、いっぱいの星が輝いています。


すると、スッと星の光がひとすじ流れて、あっという間に消えました。


「あんちゃん、いまの流れ星だね」

「そうだね」

「まえに里の人間が、流れ星に手をあわせてたのをみたけど、なにしてたのかな」

「ああ。それは、おまじないだ。

 流れ星が消えるまでに、三回願いごとを言えば叶うと人間は信じてるんだ」

「ほんとにかなうのかな」

「どうだろう。流れ星は速いから、三回言うだけでも難しいだろうし」

「なら、あんちゃん。みじかいお願いなら、だいじょうぶかもしれないね」


弟ぎつねは前足を合わせました。

じっとみつめていると、また流れ星が夜空に輝く線を引きます。


「モチたべたい! モチたべたい! モチたべたい!」


流れ星が消えるほうが早いか。

それとも願いごとを言い終えるのが早いか。


「いまの、まにあったよね、あんちゃん!」


兄ぎつねにはわかりませんでした。


「なんだ、お前。餅なんか食べたいのかい」

「うん。あんちゃんはたべたことあるの?」

「ないな」

「食べたらすごくうまいから、里の人間はわざわざ集まって作るんじゃないかな」

「美味いなら一人占めすれば、いっぱい食えるのに」


兄ぎつねは、遠くからこっそり見た餅つきを思い出しました。

臼の中の餅を取ろうと手を出しては、杵で叩かれそうになり、急いで手を引っ込める人間。


「きっと、みんなでちからをあわせないと作れないんだよ」


そういわれてみれば、泥棒が相手なら出した手でなく頭を殴りそうなもの。

もしかすると、あの人間、餅泥棒ではなく、別のことをしていたのかもしれない。


それがなにかは、さっぱりわからないけれど。


「でもなあ。餅をのどにつまらせて、死ぬ人間もいるらしいぞ」

「命をかけてもいいくらい、うまいのかもしれないよ」

「生きるために食べるのに、食べて死んじゃあ元も子もないだろうに」

「でも、人間ってそういうところあるよね」

「ああ。あいつら、ばかだから」


「あっ! また流れ星だ!」


弟ぎつねがびっくりして声を上げました。

兄ぎつねも夜空を見ると、いっぱいの星が次々と流れていきます。


でも、どうしたことでしょう。


その流れ星は落ちてくるのではなく、上へ、ななめに飛んでいきます。

しかも、うるさい音を立てながら。


また、弟ぎつねは前足を合わせました。


「人間がかしこくなりますように! かしこくなりますように! なりますように!」


流れ星は、まだまだ続いていました。

山の向こうに消えていきます。


遠くのどこかが、夜明けのように明るく光りました。

雪崩みたいな大きな音が何度も響いてきます。


「いまの、まにあったよね、あんちゃん!」


「どうだろうな」

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― 新着の感想 ―
[一言] UFO? お餅食べたいですね〜。
2021/12/28 19:48 退会済み
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