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5.嫉妬

 学校という場所も集団で生活する。そのため団体競技のようなものだった。


 そのため妹は孤独を選んだ。しかし学校というのはそれを許さない。


 だからか左利きの子たちで一緒にかたまるようになる。



 姉が他の子といるときに、妹がいじめられていた。


 その理由には姉への反発などもあったのだろう。


 同じ容姿をしていれば、疑似的な代償行為には持ってこいだった。



 いつの世もより弱者を狙うものだ。


 妹自体は能力ではクラスの中で高いのだが、性格的に卑屈になってしまっているために標的になった。


 スクールカーストの最下層に自然と位置しているのだ。


 左利きの子たちは少数派だ。少数派は、そして孤独を選んだために妹は、弱者となり得るのだ。





 正確には双子の姉を好きになった男子を、片思いしていた女子が嫉妬したのだ。


 そして姉がその男子を振ったら、逆恨みして妹へのいじめに発展した。



 女子のいじめは陰湿だ。男子はその力で暴力を振るったりする。破壊など物理的に行われる。


 だが女子は心理的、精神的に攻撃するのだ。


 無視だったり、嘲笑だったり。間接的に。狡猾に。文句のつけ難いように工夫されている。


 トイレで個室に籠っている妹に聞こえるよう、誰とは明言せずに陰口を言ったり。


 そんな知らなければ特定することは困難なやり方で。



 だからこそ双子の姉は長らく気付きもしなかった。それを他事にかまけていた報いだと思うのだった。


 あるとき偶然、現場を見かけて疑問を持つ。


 それは掃除をしていた妹の水の入ったバケツに、友人と話しながら近づき打つかって水を零してしまう。


 謝っている様子には問題がなさそうだったのだが、妹の表情が悔しそうだったから。



 そして双子の姉は妹を友人に託し、妹の振りでいじめの実行犯たちに罠に掛ける。


 双子だからこその入れ替わり作戦だ。


 当人でなければ本当に分かり難い、厭らしい手口。


 最初は分からなくても繰り返す度に朧げな輪郭が露となる。





 弱点は判明しているのだから、それを使っていじめをする暇を無くす。


 スクールカースト上位の男子、双子の姉に振られたからと言って気さくに流していた。


 協力を頼み、いじめの実行犯に声を掛け妹が一人のときの予定を組む。


 片思いの相手がいる前に誘いを断れなくする。


 何も片思いの子を好きになれというわけではないので部活の練習を見に誘ったりしただけだ。


 もともと双子の姉がいる場所では妹をいじめる様子はなかった。


 だからこれでいじめは終息する。



――はずだった。





明日次回6.妹の英里

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