3.利き手
社会は左利きの妹に優しくない。
そして右利きが優秀ということでもない。
双子の姉は周囲を観察することで、そう結論付けた。
例えば箸の持ち方だ。
右利きであっても、おかしな持ち方をしている子はいた。
箸が交差する持ち方。ある意味器用なのかもしれない。
人差し指と親指で片方を動かしている子。普通は中指も加えた三本の指で筆などと同じように使用する。
他にも中指と薬指、親指の三本を使って人差し指は添えてるだけだったり。
文字は右だった左利きの子は箸を左で使っていたので左利きだと気付いた。
他のクラスの矯正された子は右で箸を使っていたけども何故か肘を横へ突き出すようにして食べていた。強制された歪みがそんなところに出ていることが分かる光景だ。
資料なども調べてみた姉。
自然には、だいたい8人に一人ぐらいの割合が左利きらしい。
世界の西から東に掛けて割合が低くなる傾向があったようだ。正確には矯正された結果。
インドなどでは飯を右手で食べて、お尻を左手で拭くという風習が昔あったそうだ。
中国から日本。だんだんと左利きの生き辛い環境になって行って、4%ぐらいになっていたようだ。理由は礼儀だったり、日本だと侍が刀を左腰に差していたので鞘がぶつからない様に左側を歩くというようになったそうだ。そのように決まり事に対して左利きを矯正した方が生き易いと考えて親が矯正したのだろう。
強制されることによってストレスがあるらしく、左利きは右利きよりも平均寿命が短いというデータのあるらしい。
いや最後のは右利きの環境で左利きの人の生活のストレス、なのかもしれない。
10人に一人というデータもある。これは矯正されたデータも右利きとしているのかもしれない。
両親の片方が左利きだと4分の1の子は左利きになるというデータもある。
双子としてミラー・ツインの片割れが何らかの影響で消滅したために左利きが生まれる、という説もあるようだ。
内臓逆位というような症例があり、それは左右非対称である内臓が左右反転しているというもので、分かりやすく心臓が左ではなく右に寄っているとか、肝臓が右側ではなく左側にあるとか、そういう部分的な症例の頭の場合、左脳と右脳の働きが左右反転したというようなものも、左利きとして生まれるのだという説も考えれているらしい。
よく見れば、右利きだと思われていた子たちも投げるのは左、という場合もある。
他にも利き目や利き耳の違い。利き足と軸足。
明日次回4.少数派