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2.姉の英美

 双子の姉、英美の方は妹の英里が失敗しても自分がミスをしたことと同じように思っていた。


 遅れたら待っていたし、躓いたら助けるのは当然のこと。一心同体。妹もわたしなのだから、と。



 周囲は妹を助けるお姉ちゃんという印象を持たれていたことは知っている。


 しかし、どちらも自分だという認識だったために、そんなことは気にしていなかった。





 ある時、近所の幼馴染のお兄さんが理由に気付いた。


 妹は左利きなんだね、と。


 社会的に多数派である右利きを優先しているので、左右で非対称の物は須く右利き用に作られている。余裕があれば左利き用も存在はしている。だが、それはやはり少数であった。


 日常生活では基本右利きが使用しやすいように出来ている。





 その頃には学校に行っていた。


 30人のクラス、探すと左利きは妹も含めて4人。


 隣のクラスでは二人だったことから多い方なのかもしれない。


 左利きは文字を書くにも苦労している。


 ある子はノートを右へ90度回転させていた。


 別の子は姿勢を崩して、手を抱え込むようにして文字を書いている。


 最後の一人は矯正されて右手で書いていた。



 これらは文字が右利き用として作られていたので書き順などが右手では書きやすいけど左手では書き難いようだ。


 縦は上から下へ動かすので左右で違いはない。


 しかし横は違った。


 左から右へ書く。このとき人の手は握る方が力が強いために筆などは引く動作の方がやり易い。


 力が弱い子供なら尚更、押すという動作がし難いので、左利きの子は左から右へと書く横線は苦手としていた。


 ノートを倒してる子は縦を横にして『左から右』を『上から下』に変換していた。


 姿勢を崩している子は左から右へと横線を書くときに『引く』という動作をするために左手を右側へ持ってきていたのだ。


 他のクラスの左利きの子には、書き順を『左から右』ではなく、『右から左』へとすることで左手で文字を書くことに対応していた。





 妹はこれらとはまた違った方法を取っていた。


 鏡文字だ。


 左右反転した文字を使用することで左手で文字を書くことにしていたのだ。


 右利き用の文字を左右反転すれば、左手で書くことに問題はない。


 だがしかし、別の問題がある。


 テストや宿題など、他人に見せることには使えなかった。


 だからテストなどで時間に余裕がない場合は姉と妹の点数には開きができてしまう。


 宿題も終えるのに掛かる時間が余分に増えた。


 姉はその時間を予習に使い、その分姉妹の点差は拡がった。





明日次回3.利き手

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