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紅葉する温度

作者: 橈良檸檬

朝になった。まだ横の彼女は起きてないみたいだった。


遮光カーテンからは、1ミリたりとも、光が入ってこないから、時間が分からない。ただ、光というものにアレルギー反応がある私にとって、カーテンを開けるという行為は、朝のルーティーンにない行動であった。


今日の予定は、昼から仕事。

悲しきかな、25になって夢も何もないただの会社員。毎日、昼は屋上パン生活に、夜は、コンビニののり弁。月の収入も決して高いわけでもなく、同じ毎日が繰り返されていく。


いつからだろう。彼女の手料理を食べてないのは。何時だっただろう。最後に彼女と話したのは。



そんなこんなで、一日が過ぎていく。






夜になった。もう横の彼女は寝てるみたいだった。仕事を終えて、家に帰っても、口を聞くことも無く、居ていぬような関係。結婚している訳でもないのだから、こんな冷めきっているのならば出ていけばいいのに。

口を開けば喧嘩、なのは分かりきっているから私は、結局何も話しかけなかった。


「おやすみ」の独り言だけこぼして。








深夜。目が覚めた。ベットから落ちていた。

彼女に落とされたのだろうか。どこまで私に怒りがあるのだろう。こんな関係で同じベットで寝ているのが、そもそも間違っていると私は思う。でも仕事から帰ってきて、先に寝ている彼女は、必ずこのベットに居るから、しょうがないのだ。


2人分の食器だって、仕事から帰ってきて、老体に鞭打って洗っている。洗濯物だって暫くは、私がやっている。そんな私を、ベットから落とすのは、怒りを通り越して、悲しくなってきた。もう話すことさえない彼女は、無言で、私を攻撃するのか、と。








また朝が来た。まだ彼女は、寝ているみたいだ。最後に起きている彼女を見たのは何時だろう。最後に彼女と顔を合わせたのはいつの事だろう。背中は毎日合わせているのだが、そういえば、顔は見ていなかった。気になって、ちょっとだけ。覗いてみた。よく見えなかったけど、前より少し痩せた気がする。前に、喧嘩した時に、つい感情的になってしまって喧嘩して、叩いてしまった頬は、白さを取り戻していた。たしかに一緒にご飯を食べていなかった。それが痩せたことに影響しているのかもしれない。


今日もまた、仕事である。

喧嘩して、仲直りしていないのは、これが理由だと思う。否、それを言い訳にしている。

朝、家を出て、夜遅くに帰ってくる。私が家にいる時には、決まって彼女はベットに居るのだ。






1か月前の事だった。



いつも通りの朝が来た。目を開けると、彼女はキッチンに居た。朝のルーティンである彼女の手作りの朝ごはんの準備だ。疲れきった体に、彼女の作ってくれる味噌汁が染みる。本当にこれを飲むと、体が若返る気ににるのだ。

いつも通り、食べて、仕事に行く準備をしていると、携帯が鳴った。先に彼女が、僕のスマホに気づき、覗いた。そこには、会社の後輩の女の子からのLINEが表示されていた。


七美 : 毎日毎日大変ですね。私だったらそんな生活耐えられませんよ(笑)たまには飲みに行ってパーっと忘れちゃいましょう!


それは、仕事で、今私が任されていた、新規プロジェクトの相談に乗ってもらっていた後輩からの励ましのメッセージだった。

しかしこの1文だけを読んだ彼女は、私の浮気を確信したのだった。それは間違いなのだが。


仕事に行くまでにまだ30分ある。

どういうことかと聞かれ、仕事の相談だ。と言ったがまだ疑う彼女。このLINEを皮切りに、最近の不満が爆発。日々の生活の不満から、最後には、ただの暴言になっていた。

お互いに熱くなっていた頭を冷やすために、頬を私は殴ってしまった。

そのことによって、彼女との関係性も冷めきったものになるとも、今の熱くなった頭では、考えることも出来ず。


これがきっかけで。それから何も言うわけでもなく、そのまま会社に行った。ベットに倒れ込んだ彼女を見ることも無く。その日以来、口を聞くことは無かった。









それから今の関係が続いている。



そんな回想もしつつ、淡々と仕事を終え、


夜。仕事から帰ってくると、彼女はもう寝ていた。いつも通り私は、背中合わせに寝る体勢に入る。何時からだろう。こんなにも触れている背中からは、冷たさしか感じないのは。そこでふと、私は、こんな関係はおかしいと思った。先にも述べたが、"結婚している訳でもないのだから"、別れてしまった方がお互い気まづくならないと思う。


そこで久しぶりに彼女の背に向けて、



「別れよう。」と話しかけた。



その言葉を聞いた彼女の顔が気になったのだが、こちらを振り向かない。そんな彼女の感情が気になるのだが、僕は再び声をかけることが出来なかった。そして寝返ることさえ出来なかった。背中からなにか濡れているのを感じたから。


久しぶりの温もりだった。



朝が来た。___はベットで寝ているみたいだった。幸せそうな顔で.....


読んでくださりありがとうございます。

初めての作品なのですが、いかがでしょうか。

また新しく書くものも、読んでくださる方がいて下さると、嬉しいです。

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