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【ダンジョン・ニート・ダンジョン】~ダンジョン攻略でお金が稼げるようになったニートは有り余る時間でダンジョンに潜る~  作者: シオヤマ琴
第一章 日進月歩

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第95話 キマイラロード

意図せずにフロアボスの部屋に足を踏み入れてしまった俺とククリ。

キマイラより一回り大きいモンスターが俺たちに気付きむくっと起き上がる。


「マツイさん、キマイラロードの部屋に入ってしまいましたっ。帰還石で逃げましょう!」

ククリが焦ったように言う。


俺は、

「ククリ、これ預かっててくれ」

と帰還石をククリに手渡した。


「え、どういうことですか?」

「あのキマイラロードとかいうやつと試しに戦ってみる。だから俺がやられそうになったらすぐにそいつを割ってほしいんだ」

「戦うんですか? キマイラ相手にも苦戦していたのに……」

「ああ」


せっかく帰還石があるのだから試せることは試しておきたい。

相手の強さも知りたいしもしかしたら勝てるかもしれないからな。


「それよりククリ、さっき言ってた俺が飛べるって本当か?」

「あ、はい。そのヒーローマントがあれば飛べますよ」

「どうやって飛ぶ――」

『オオォーン!』


キマイラロードは三つ首のうちのライオンの咆哮を合図にしたかのように宙を駆けてこっちに向かってきた。

キマイラよりも速いスピードで駆けてくる。


逃げられそうにない。

迎え撃つ!


俺は白夜の剣を体の前に構えてキマイラロードの突進を受け止めた。


「ぐあっ……!」


だが後ろにはじき飛ばされてしまう。

壁に背中からぶつかるが、

「マツイさんっ!」

「大丈夫だっ。それより飛び方を教えてくれっ」

すぐに態勢を整えククリに応じた。


「ヒーローマントをつけて頭の中で飛ぶイメージをすれば飛べるはずですっ!」


ククリの声が部屋に響く中キマイラロードは追撃をしてくる。


俺は宙に舞うイメージを頭の中で思い描き、飛べっ! と強く念じた。

するとキマイラロードが俺に触れる直前俺は部屋の天井付近まで一気に飛び上がった。


キマイラロードがその勢いのまま壁に激突する。

石の壁がえぐれて石片がガラガラと音を立て崩れ落ちる。


「やった、飛べたぞククリっ」

「はいっ」

下にいるククリに顔を向けるとククリが帰還石を両手で持ちながら飛び上がって喜んでくれている。


俺はキマイラロードに目を移した。

壁に突っ込んで少しはダメージを受けていてくれと期待したがキマイラロードはぴんぴんした様子で俺を見上げ、『オオォーン!』と怒りの感情をあらわにする。


それなら……。

「バトルアース!」

俺が唱えたことで石畳の隙間からツタが急速に生え出してキマイラロードの足に巻き付いた。


魔力草を一口で食べ干し魔力を回復してからさらに俺は「バトルウインド!」と唱える。

身動きできなくなったキマイラロードに薄緑色の弧を描いた風の刃が降りかかる。


このまま胴体を斬り裂いてやる。

「いっけぇー!」

「いけー!」

俺とククリの声が重なり合った。


風の刃が胴体に当たる。そう思った時だった。

三つ首のうちの蛇の首がにょろりと伸びると自ら風の刃に当たりにいった。


「なっ!?」


ザシュッ。


蛇の首が石畳の上に落ちる。


「そんな……」

胴体部分にも風の刃は当たったが先に蛇に当たり威力が半減したのだろう、胴体を切断するまでには至らず数十センチほどの切り傷が出来ただけだった。


「マツイさんっ、もう一回です!」

「あ、ああ。バトルウインド!」


俺は残る全魔力でもう一度バトルウインドを唱えた。

だがバトルアースの効果が切れキマイラロードの足に巻き付いていたツタが消え去り風の刃が当たる寸前によけられてしまった。


「ああっ、惜しいっ」

ククリが指を鳴らす。


もう残り魔力は0。

魔力草も使い切ってしまった。


さらに追い打ちをかけるようにキマイラロードの蛇の部分の首が内部からぶくぶくと泡を立てて次の瞬間再生した。


「げっ!? 嘘だろ……」


三つ首に戻るキマイラロード。


「マツイさん、言い忘れてましたけどキマイラロードには再生能力がありますから倒すときは一気に倒さないとっ」

「なんだよそれっ、反則だろっ」


見るとさっき切ったはずの胴体部分の傷までもぶくぶくと再生していっている。


くっ、万事休すか……。


俺はククリの持つ帰還石を見て頃合いだな、と悟る。


「ククリ、帰還――」

とその時、

『メエェ~!』

三つ首のうちのヤギの顔が鳴き声を上げた。


やばい!

ヤギの鳴き声は催眠効果がある。

俺は急いで耳を塞いだ。

……が遅かったようだ。


まぶたが重くなり自然と閉じていく。

俺は飛べなくなりそのままどさっと地面に落下した。


「……ククリ……帰還石を……割って……く……」

『オオォーン!』

キマイラロードが雄たけびを上げ向かってくる。


ククリに俺の声が届いたのかどうか確認する余裕もないまま俺の意識はそこでぷつっと途切れた。

☆☆☆☆☆マークとブクマを押してもらえるととても嬉しいです!

よろしくお願いいたしますm(__)m

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