第75話 満腹草と解呪のお守り
俺はフロアを探索しながら危なげなくコボルトたちを撃退していく。
そんな中宝箱を二つみつけた。
一つ目の宝箱の中身は満腹草。
これ一つ食べただけで三日は腹持ちするそうだ。
ククリ曰はく薬草の十倍美味しい、とのことだがそもそも俺からすると薬草自体が不味いので期待は出来ない。
二つ目の宝箱の中身は解呪のお守り。
これを持っていると呪いが効かなくなるらしく呪われたアイテムも平気で持てるようになるという。
俺は満腹草は皮の袋に入れ、解呪のお守りはにおい袋と一緒に首からぶら下げた。
「解呪のお守りの売値は五万円なので持っていて損はないですよ」
「こんなの一つで五万か……今さらながらここにいると金銭感覚がなんか麻痺してきそうだな」
俺は首に下げたお守りを手で持ってつぶやく。
「大丈夫ですよ。金塊を百万円で売っている時点でマツイさんの金銭感覚は既におかしいですから」
「? それどういう意味だ?」
「知りませ~ん」
ククリはそれだけ言うと俺を置いて先に飛んでいったしまった。
「あ、おい。ククリってばっ……」
しばらく行くとククリに追いついた。
というよりククリはある部屋の前で立ち止まっていた。
「おい、ククリ。さっきのどういうことなんだよ?」
「そんなことよりあれ見てください」
ククリが指差す先にはコボルトより一回りおおきな人型のモンスターがいた。
「あれって……フロアボスか?」
「そうです。このフロアのボスのコボルトエースです」
コボルトエース。
身長は俺よりやや大きいくらいか大量の体毛の内側から肌色がうっすらと見えている。
顔はやはり人間そのもので不気味だ。
こっちには気付いていないらしくうつむいたまま静かに立っていた。
「やっぱりフロアボスだけあって雰囲気あるな」
「でもでも今のマツイさんなら充分勝てますよっ」
「それでも一応念には念を入れてあいつとはコボルトコレクターを手に入れてから戦うよ。とりあえずここは後回しだ」
「はーい」
俺たちは来た道を戻ると違う通路を迂回してフロアの探索を続けた。
毒消し草を手に入れたところで、
「もう取れるアイテムは全部取り終えましたね」
ククリが俺に顔を向ける。
「そうだな。じゃあ本格的にコボルト狩りを始めるか」
俺は壁を背にして通路の真ん中に立ちコボルトをおびき寄せるためにおい袋の口を開けた。
数十秒してザッザッとコボルトたちの足音が聞こえてくる。
『ケケケッ』
『ケケケッ』
『ケケケッ』
「来いっ」
姿を現したコボルトたちに俺は槍の穂先を向けた。
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