第56話 金色の物体
ステータス画面を確認――
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マツイ:レベル28
生命力:48/67
魔力:23/28
攻撃力:35
防御力:32
素早さ:30
スキル:魔眼、スライムコレクター、ゴブリンコレクター、ゾンビコレクター
魔法:バトルマッチ、ヒール、バトルアイス、キュア、バトルウインド
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生死をさまよいながらもなんとかキラービーを倒した俺はレベルが2上がっていた。
さらにキラービーが落とした宝箱から防御力+10の鋼の兜を手に入れた。
これにより現在の装備品は攻撃力+10の妖刀きりがくれ、防御力+10のみかがみの盾、防御力+10の鋼の兜、防御力+4の皮の鎧、防御力+2の安全靴の計五点となった。
ちなみに所持アイテムは布の袋とにおい袋のみ。
「マツイさん、フロアボスのキラービーは倒しちゃいましたけどこれからどうしますか?」
地下五階層への階段を背にしてククリが質問してくる。
「いつも通りアイテム集めをするよ」
このフロアはまだまったく探索していないからな。
「ビーコレクターはどうします? 一応取っておきますか?」
ビーコレクター。
ビーと名のつくモンスターに対して与えるダメージが三倍になるスキルか……フロアボスのキラービーを倒してしまった今となってはもう取得する必要はないのかもしれない。
「俺、蜂って苦手なんだよ。出来ることならビーとはあまり戦いたくないんだけど」
「ではアイテム収集だけして地下五階層に向かいますか?」
「そうだなぁ……」
そうしたいのはやまやまだがまたいきなりフロアボスとの戦闘なんてことが起こらないとも限らない。なので万が一に備えてレベルをこの階層で上げておきたい気持ちもある。
「うーん……」
ククリをよそに考え込む。
そんな時だった。
優柔不断な一面をさらけ出していると耳にブンブンと嫌な羽音が届いてきた。
「マツイさん、ビーが来ましたよっ!」
顔を上げるとキラービーより二回り小さい小型の冷蔵庫くらいの蜂型モンスターが部屋に三体侵入してきていた。
「あっマツイさん、どこ行くんですかっ」
俺はククリを置いて駆け出した。
……いや別に怖くなって逃げたわけではない。細い通路に誘い込んで一対一の形にもっていくためだ。
毒を持っているビーたちとの複数戦は極力避けたい。
ビーが追ってきていることを確認しつつ細い通路に駆け込んだ俺はお尻の針を突き出し襲ってくるビーを振り向きざま一刀両断にした。
さらに続けて襲いくる残りの二体も斬り伏せる。石畳の上に落ち消滅していくビーたち。
「もう~、マツイさんがいきなり走り出すから私を置いて逃げたのかと思いましたよっ。そういう作戦なら作戦って言っておいてくださいよ――って宝箱っ!」
飛んできたククリが宝箱をみつけて指差した。
「ああ、最後に倒したビーが落としていったんだ」
三体倒しただけでドロップアイテムを拾えるとは運がいい。
「中身はなんですかっ?」
「ちょっと待ってろ」
俺は魔眼で宝箱の中を透視する。
「……なんだこれ?」
「なんですかなんですかっ」
「なんか金色っぽい何かが入っているんだけど……」
罠ではないようだが中身がよくわからない。
「金色? あっもしかして……ふふっ、マツイさん早く開けてみてください」
「ん? ああ」
俺が宝箱に手を伸ばす横でククリはニヤニヤしながら宝箱ではなく俺をみつめていた。
「なんだよその顔は」
「えへへ、別になんでもないですよ~」
なんでもないわけがない。
不審に思いながらも宝箱の蓋をゆっくりと持ち上げた俺が目にしたものは――
やはり金色の物体だった。
「いや、だからなんだこれ?」
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