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第43話 ククリと一緒に

俺はゾンビの大群に襲われ仕方なく地下二階層に戻った。

少し時間をおいてからまた地下三階層に顔を出してみたがゾンビの大群はまだいた。

どうやら一度ダンジョンの外に出ないとリセットされないようだ。


「これからどうしますか?」

「どうするって言われてもな……」

武器は錆びた剣だし防具も迷彩服と皮の帽子と天使の靴だけ。

これでは到底ゾンビを千体も倒すことなんて出来ない。


かといって地下二階層と地下一階層のアイテムは既に全部取りつくしている。

確率の低いアイテムドロップに賭けるのも時間の無駄に終わるかもしれない。


そしてもうすぐダンジョンに潜って二日になる。

ポチに用意してきたエサもそろそろなくなる頃だろう。


となれば答えは一つ。


「とりあえず一旦帰るとするか」


俺は家に帰ることを決断した。



そうと決まれば行動は早かった。

俺は地下二階層を駆け抜ける。

途中襲ってきたゴブリンを難なく返り討ちにしながら地下一階層への階段を上った。


さらに地下一階層の通路をスライムを無視して走り抜けると写し鏡の門のある部屋へとたどり着いた。



「では次はいつ来られますか?」

少しだけ寂しそうな顔をしてククリが訊いてくる。


「一日休んで明日また来るよ」

「わあ、ほんとですかっ? じゃあここで待ってますっ」

「ああ、わかった」


とここでふと気になった。ククリはいつ寝ているのだろうと。


「なあ、ククリっていつ寝てるんだ? いつも俺が仮眠とる時は起きててくれてるだろ。俺があっちに帰っている時に寝てるのか?」

「私ですか? 私は寝ませんけど」

何を当たり前のことを、と言わんばかりの顔で返す。


「え、寝ないの? それで平気なのか?」

「だって私精霊ですから」

「ふ、ふーん。精霊ってすごいんだな……」

「えっへん」

ククリは小さな胸を張った。


「でもそれだと俺を待っている間退屈だろ」

「そんなことありませんよ。一人でいるのには慣れていますから」

「そっか……」

俺も一人でいるのには慣れているつもりだがこんなところにずっと一人でいるのはさすがにきつそうだ。



「……ククリ、一緒にうち来るか?」

「え? どういうことですか?」

「いや、ククリが暇ならうちに来たらどうかなと思ってさ」

「そ、それは駄目ですよっ。私がマツイさんのところに行ったらパニックになっちゃいますよっ」

とククリは慌てて答えるが、

「それはないと思うぞ。俺一人暮らしだし、俺ん家の周り他に家ないし」

俺はそう返した。


「う~ん、でも……」

「まあ無理にじゃないさ。ククリが暇だったらってだけだよ」

ククリが一人の方が気楽なのならそれでいい。


「……ほ、本当についていってもいいんですか?」

ククリは上目遣いで俺を見る。


「ああ、俺は構わないぞ」

「……じゃ、じゃあお言葉に甘えて」

「よし、じゃあ一緒に帰ろう」

「……はいっ」



こうして俺はククリを連れて家に帰ることにした。



そして、

「わあ、ここがマツイさんの住んでいるおうちなんですね~。大きいですね、お金持ちなんですか?」

写し鏡の門を通り抜け、石階段を上って家の前まで到着した。


「そりゃあ、ククリからしたら大きいだろうけど人間からしたら普通だぞ」

それに俺はニートだ。

まかり間違ってもお金持ちではない。


「あっ、あれって車っていう乗り物ですよね、私知ってますよっ」

ククリがはしゃぎながら家の車庫を指差し言う。


「ああ、そうだ――ってやばっ!!」

俺は車庫を見て驚きの声を上げた。


「どうしたんですか? マツイさん」

「まずい、まずい、まずいっ……」


車庫には俺の車の他にもう一台車が置かれていた。

その車は二番目の姉の車だった。


「ククリすまん戻るぞっ」

「えっ? えっ?」

俺はククリを抱きかかえるとすぐにダンジョンに戻ろうとした。


だがその時ガチャっと玄関のドアが開き、

「ひーくん!? 何してるのそんなとこで? っていうかその恰好は何?」

タイミング悪く二番目の姉の早紀姉ちゃんが四歳になる一人息子を連れて家から出てきてしまった。



あ~……この状況、どう説明しよう。

【作者からのお願い】


☆☆☆☆☆マークとブクマを押してもらえるととても嬉しいです!

よろしくお願いいたしますm(__)m

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