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第30話 やる気と勇気

「高木さん!?」

「松井秀喜様って書いてあったからもしかしてゴジラくんかな~って思ってたけどやっぱりここゴジラくんのうちなんだね」

高木さんは俺の知っている高木さんよりはきはきとした口調でしゃべり続ける。


「ゴジラくん家に配達するの初めてだよね。これDVDって書いてあるけど何買ったの?」

「え、あの、高木さんて今……?」

「あ、わたし今この会社で働いてるの」

と胸のロゴを指差してみせる高木さん。

胸のふくらみに一瞬だけだが目を奪われる。


「派遣だけどね」

「そ、そうなんだ」

「あ、ごめんねわたしばっかり喋っちゃって。なんかこの制服着てると力がみなぎってくるっていうかちょっと性格変わっちゃうんだよね」

「へ、へー」

まさか高木さんにこんな形で再会するなんて思ってもいなかった。

というか俺スウェット姿だ、恥ずかしい。


「代引きで一万千三百円ですっ」

「あ、ああ。ちょっと待ってて」

俺は急いで二階に駆け上がると部屋に乱雑に脱ぎ捨ててあった適当な服に着替えてから財布を手に取り戻る。


「一万いくらって言ったっけ?」

「うふふっ、一万千三百円だよ」

「千三百円ね……」


俺が財布から百円玉を取り出そうとしていると、

「ゴジラくん今日仕事休み?」

高木さんが俺の目を覗き込むように訊いてきた。


可愛い……じゃなくって。まずい! なんて答えよう?


「土曜日だから普通の会社は休みだっけ?」

「そうだね……俺のとこも普通に土日は休みだよ」

やってしまった。

気になる相手にさらりと嘘をついてしまった。本当はニートなのに。


「いいな~、土日休みっていいよね。友達と遊べるもんね」

「ああ、そうだね」

って俺友達いないじゃん。


「あ、じゃあここにサインをお願いしまーす」

「はい」


緊張で震える手を見られないように左手で隠しながらサインをすると、

「はい、ありがとうございました。じゃあまたねゴジラくんっ」

高木さんは太陽のような笑顔を見せ去っていった。


ドアがガチャンと閉まる。

「ふぅ……びっくりした」


一週間前にネット注文しておいたアニメのDVDをまさか高木さんが運んできてくれるとは夢にも思っていなかった。


「それにしても……」

嘘をついてしまった。

働いていないのに働いていると。



「でも……やる気は出たな」

現金なようだが高木さんに会えて、高木さんの頑張っている姿を見て俺は今やる気に満ち溢れている。


俺も何かに一生懸命になりたい!

生きている実感が欲しい!


窓の外にはダンジョンへの階段が見える。


「ああーっ! ゴブリンがなんだ、あんな雑魚モンスターに俺がやられるわけないだろっ。そうだっ。それにいざとなれば回復魔法だってある、怖くなんかないぞっ。レベル上げまくって最強になってやるっ。金も稼ぎまくって大金持ちになってやるんだっ」

俺は自分に言い聞かすように声を張り上げた。

自然と勇気もわいてくる。


「ククリ待ってろ! 今すぐ助けに行くぞ!」


冷蔵庫から生卵を三個取り出し口に割り入れごくんと飲み込むと俺は全裸になって庭へと駆け出した。

【作者からのお願い】


☆☆☆☆☆マークとブクマを押してもらえるととても嬉しいです!

よろしくお願いいたしますm(__)m

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