第28話 諦め
トウキョウダンジョンを全裸で強制退出させられた俺は写し鏡の門の前でついさっきの出来事を思い返していた。
「……さっきのは……やばかったよな」
さっきのというのはホブゴブリンを倒した直後ゴブリンに不意打ちをくらいかけたことだ。
「ゴブリンが武器を使うとは聞いていたけど、まさかボウガンを撃ってくるとはなぁ……」
当たっていたらどうなっていたことか。
考えるだけでも背筋が凍る。
そういえばあの後ククリはどうなったのだろう。
ゴブリンと同じ部屋に置いてきてしまった。
既にあれから結構な時間が経っているはず。自力で逃げていればいいのだが。
もちろん本来なら今からでも確認に行くべきなのだろう。
俺の好きなアニメの主人公ならきっとそうする。
「でも……」
目を閉じると目の前にボウガンの矢が迫りくる場面が思い出される。
その恐怖は俺の心を折るには充分だった。
「すまない、ククリ……俺はやっぱり駄目な奴だ」
俺はとぼとぼと家に戻るとこの日を境にトウキョウダンジョンに潜るのをやめた。
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