第26話 レベルアップ
妖刀ひとがしらを手に入れてからはゴブリン狩りが容易になった。
元剣道部ということもあり長物に慣れていた俺は刀をまるで体の一部のように使いこなしていた。
さらに頭部への攻撃が決まれば一撃必殺という妖刀ひとがしらの効果も相まって俺は次々とゴブリンを倒していった。
その結果俺のレベルは8から12になりククリ曰はく地下二階層フロアボスのホブゴブリンを倒せるだけのレベルになっていた。
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マツイ:レベル12
生命力:31/38
魔力:5/10
攻撃力:18
防御力:15
素早さ:14
スキル:魔眼
魔法:バトルマッチ、ヒール
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実際の数値はこれに妖刀ひとがしらの攻撃力+10と布の服の防御力+1が加算されるのでホブゴブリンとの戦闘はさらに有利に運べる。
ちなみに生命力と魔力が微妙に回復しているのは時間経過によるものだそうだ。
もちろんアイテム探しも忘れてはいない。
ゴブリン狩りの最中俺は二つ並んだ宝箱をみつけた。
中には攻撃力+1のひのきの棒と生命力を少しだけ回復させる薬草が入っていた。
既に妖刀ひとがしらという強力な武器を持っていた俺はひのきの棒の扱いに困った。
妖刀ひとがしらとひのきの棒の二刀流という考えも浮かんだが実際に振ってみると邪魔でしかなかった。
ククリが言うにはひのきの棒の売値は十円だということなので俺はひのきの棒を持つことは諦め薬草だけを布の服のポケットにしまい込む。
「なあ、ククリ。アイテムに靴ってないのか?」
「靴ですか?」
「ああ」
ずっと裸足なので足の裏が冷たいしたまに小石を踏んで痛い。できることなら靴が欲しいのだが……。
「靴もちゃんとありますよ。運動靴に安全靴、天使の靴に韋駄天シューズなど種類も様々です」
「そうなのか」
じゃあ単に俺がついていないだけか。
「それよりマツイさん、そろそろこの階層に来て一時間になりますよ」
「えっ、もうそんなに経っているのか」
「なのでそろそろホブゴブリンを退治しに行きませんか?」
とククリが言う。
このトウキョウダンジョンでは同じ階層に一時間以上とどまると強制的にダンジョン外に戻されるらしい。
その際持っていた物はすべてなくなるのだそうだ。
「でもなぁ、まだ目標のレベル15には届いていないしな」
「前にも言いましたけどレベル10あれば倒せますから。しかも今は武器まであるんですよ、マツイさんなら余裕ですよ」
「うーん……」
心配性な俺としてはあと3レベルくらい上げてから挑みたいのだが。
「本当に余裕で倒せる?」
「はい、間違いありません」
「だましてない?」
「私がマツイさんをだますわけないじゃないですかっ」
語気が強くなるククリ。
「いいですかっ。自分より圧倒的に弱いモンスターを倒してレベル上げするのはものすごく効率が悪いんですからねっ。このままゴブリンだけでレベル15まで上げようとしたらあと何時間かかるかわかりませんよっ」
ククリは俺の目の前まで近付きそう主張する。
「近いってば……わ、わかったよ。ホブゴブリンを倒しに行くよ」
「はい。そうしましょう」
俺はククリの迫力に負けフロアボスであるホブゴブリンのいる部屋へと向かった。
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