第231話 決着
無数の隕石が俺を襲ってくる。
俺は断罪の剣でこれらをはじいていくがなにせ数が多い。
「……ぐあぁっ!」
ドドドドッと降りしきる隕石群の直撃をもろに受け俺は大の字になって倒れてしまった。
「マツイさんっ」
とククリの声。
『もう終わりですか?』
俺の足元まで近付いてきたラストドラゴンの声が降ってくる。
『わたくしはまだ遊び足りないですよ』
「く、うぐっ……」
俺はひざに手を突きながらなんとか立ち上がる。
『そうですよ、立ってください。あなたの魔力はもう残りわずかのようですがわたくしはまだ魔力300は残っていますよ。ふふっ、魔法勝負ではわたくしに分がありすぎますね、お互い剣を持っているのですから今度は剣でやりあいましょうか』
ラストドラゴンは剣を構える。
俺は震える両手で断罪の剣を握り締めるとラストドラゴンに向かってそれを振るった。
俺の剣は空を切る。
俺の残り魔力は18。
まともな攻撃魔法はもう使えないしダブルアクセルは既に使用済みだ。
「うわああぁぁっ!」
俺はそこから七分間ラストドラゴンに挑み続けたが一発も攻撃をくらわせることは出来ずただ俺の傷だけが増えていった。
そして――
どさっ。
俺はまたも地面に倒れ込んでしまう。
「……マツイさんっ」
ククリの声が聞こえる。
でももう駄目だ……。
ダブルアクセルの効果ももうあと一分もしないうちに切れるだろう。
魔力は20までなんとか回復したがパラメータが二倍になったところでこいつには手も足も出ない。
もう何をやったって……。
「マツイさんっ、ダブルアクセルを使ってくださいっ!」
ククリが叫ぶが今さらダブルアクセルなんて意味がないだろ……。
俺はもうかかっててこれなんだよ。
「すいませんマツイさん、ダブルアクセルは重ねがけ出来るんですっ! 今までうっかりして忘れてましたーっ!」
なっ……!?
ククリを見ると本当に反省しているのか疑いたくなるほどの可愛らしいウインクをぱちぱちとしている。
……まったく、ククリの奴っ。
「……ダブルアクセルっ!」
『おや、まだ動けたのでぶはぁっ!?』
俺はラストドラゴンの顔面を殴り飛ばした。
鼻の骨が折れる感触がした。
「悪いけどもう多分残り十秒もないから速攻で片付けるぞっ」
『ひ、ひぃぃっ!』
さっきまでと打って変わってラストドラゴンが情けない声を上げる。
でも容赦はしない。
ダブルアクセルの重ねがけの効果はもういつ切れてもおかしくない。
「うおおりゃー!!!」
俺はラストドラゴンの心臓を狙って拳を打ち下ろした。
『がはっ……!』
俺の腕が突き刺さったままラストドラゴンが目の前で消滅していく。
「マツイさ~ん、やりましたねっ!」
ククリが飛んでくる。
「何がやりましたねだっ、お前のうっかりで死ぬとこだったんだぞっ」
「えへへ~、あっ、そ、そんなことより宝箱ですよ、宝箱っ!」
「あ、そうだったっ」
ラストドラゴンがいた場所に宝箱が出現していた。
俺はそれを急いで開ける。
「おお、これが復活の玉か……?」
「はい、そうです」
中には虹色に光る神秘的な輝きを放つ玉が入っていた。
「これをどうすればスラは生き返るんだっ?」
「天に掲げて生き返したい者の名前を早くっ」
「わかったっ」
俺は復活の玉をかかげ、
「スラ、生き返ってくれっ!」
力いっぱい叫んだ。
……。
……。
……。
「な、何も起こらないぞ……どうなってるんだククリっ?」
「も、もしかしてもう丸四日過ぎちゃったのかも……」
「なんだってっ!」
とその時だった。
『あれ? マツイさんじゃん。ククリちゃんも。なんで? あたし自爆して死んだはずだよねー?』
スラが俺の頭の上に乗っていた。
「スラーっ!」
「スラさんっ!」
『えっ、えっ、ちょっとなんなのーっ』
気付けば俺とククリはスラをぎゅうっと抱きしめ合っていた。
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