第221話 復活の玉
「スラを……生き返せる……?」
今ククリはそう言ったのか?
「はい。トウキョウダンジョンの最深層である地下四十階層にひそむダンジョンボスを倒した者は復活の玉という死者をよみがえらせることの出来るレアアイテムを手に入れることが出来るんです」
「復活の玉?」
「はい」
「ほ、本当かそれ? それがあればスラが生き返るのか?」
「はい。でも亡くなってから四日以内に使わないと効果はありません」
「四日っ!?」
スラが死んでから今日で四日になる。
ということは……。
「今日中に四十階層制覇しなけりゃいけないじゃないかっ」
「だからマツイさん、もう時間がないんです。スラさんを生き返したいなら今すぐ私と一緒にトウキョウダンジョンに来てくださいっ!」
俺はククリの目をじっと見返し、
「……本当にスラが生き返るんだな?」
「はいっ」
「……ああ、行くよ! スラを生き返してみせる!」
自分に言い聞かすように力強く言い切った。
急いで部屋を出ると、
「にしてもククリ、迎えに来るならもっと早く来いよっ。なんだよ今日中って」
俺は階段を一段飛ばしで下りながらククリにぼやく。
ククリはぐしっと涙で濡れた目を腕で拭うと、
「だってマツイさんならきっと来てくれるって信じていたんですもん」
恨みがましい目で俺を見てきた。
玄関ドアを開け、二人そろって庭に出る。
「なのにいつまで経ってもマツイさん来てくれないからっ」
「だから俺はもう行かないって言ってただろうが」
「信じてたのに、マツイさんの意気地なしっ、根性なしっ、甲斐性なしっ」
「あーわかったからもう泣くなって」
「泣いてませんっ。さっきのも嘘泣きですっ!」
俺は穴の中の石階段を下りて写し鏡の門の前で服を脱いでいった。
「一つ訊いてもいいか、ククリはダンジョンが地下何階層まであるか知らないって言ってたよな。なのにどうして地下四十階層が最深層だなんて知ってるんだ?」
「さ、さあ? ひゅ、ひゅー」
ククリは吹けない口笛を吹く真似をしてごまかそうとする。
「そういうのはいいから俺が笑顔でいる内に早く答えろ」
こっちはスラの命がかかってるんだからな。
「……本当のことを言っても怒らないですか?」
上目遣いで可愛らしく訊いてくる。
「今言えば怒らないから、早く」
「え~っと実はですね、トウキョウダンジョンを創ったのは私なんです。えへへ~」
「……はい?」
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