第210話 モンスターコレクター
ゴーレムの足元にあった宝箱の中に入っていたのは解呪のお守りだった。
「うーん、今は特に必要ないな」
呪われたアイテムを持っているわけでもないし俺は解呪のお守りを異次元袋の中に放り込む。
そしてにおい袋の口を開いた。
「ちょうどいい場所だしここでゴーレム狩りをしようか」
「そうですね」
『うん。あたしも頑張るよっ』
「魔力草はもうこれで最後だから灼熱の炎が使えなくなったら後ろに下がっててくれ」
『わかったって』
俺は最後の魔力草をスラに食べさせるとふたりでゴーレムの群れを迎え撃った。
◇ ◇ ◇
俺はソードイーターと黒極の剣の二刀流でゴーレムを相手にした。
妖刀みつごろしもなくなりスラの魔力も底をつきゴーレム狩りは当初の予想以上に時間がかかった。
眠らずのお守りと腹減らずのお守りのある俺はともかくスラは途中仮眠をとりながら回復した魔力でもって灼熱の炎を吐くという繰り返しを続けた。
腹の減ったスラに薬草とムカデ草を食べさせ、喉が渇いた俺はもったいないがハイポーションをスラと分け合い飲み干す。
そして約二日が経過した頃だった。
【ゴーレムコレクターを取得しました】
俺は、いや俺たちはゴーレムを千体倒しきったのだった。
早速ステータスを確認すると――
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マツイ:レベル249
生命力:311/311
魔力:98/215
攻撃力:249
防御力:239
素早さ:156
スキル:魔眼、寒熱耐性、テイマー、モンスターコレクター
魔法:バトルマッチ、ヒール、バトルアイス、キュア、バトルウインド、ハイヒール、バトルアース、ハイキュア、バトルメテオ、フライ、バトルフレア
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スラ:レベル400
生命力:155/155
魔力:3/70
攻撃力:65
防御力:125
素早さ:255
特技:飲み込む、吐き出す、自爆、口笛、灼熱の炎
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ゴーレムは経験値が割と高く俺のレベルは222から249へ、スラのレベルは358から400へと上がっていた。
「あれ? ククリ、なんかコレクターが減っちゃってるんだけど……」
あれだけ沢山あったコレクターのスキルがモンスターコレクターというスキル一つになってしまっている。
「あ~、それなら平気ですよ。コレクター全種類揃ったのでスキルがモンスターコレクターにグレードアップしたんです」
「グレードアップ?」
なんかいい響きだ。
『グレードアップってなーに?』
「モンスターコレクターを持っているとどの種類のモンスターに対しても従来の四倍のダメージを与えられるようになるんですよ。つまりマツイさんはパワーアップしたってことです」
『へー、よくわからないけどよかったじゃんマツイさんっ』
スラはにへら~と笑いながら俺を見上げた。
「でもククリ、全種類揃ったってことは次の地下二十階層はドラゴンが出てくるってことだよな」
「わ~、すごいです。マツイさん頭いい~」
「じゃあ地下二十階層でこのダンジョンはクリアか?」
「いいえ、それは違います。その先には同じ系統の上位種のモンスターが出てきますから」
とククリは説明する。
「でも一段落つくのは確かですね」
「そっか。じゃあとりあえずドラゴンのフロアボスを倒したら地上に戻ってみてもいいかもな」
このダンジョンに来てもう九日目になる。
金塊とかも売りたいしベアさんを探しつつ上に戻るのもアリかもしれない。
『そしたらドッグフードまた食べさせてねー』
スラが笑顔で言う。
「え、マツイさん、スラさんにドッグフードなんて食べさせてるんですか?」
「なんだよその目はっ。スラが美味しいって言うんだから別にいいだろ。食事代ケチってるわけじゃないぞ」
「ほんとですか~?」
「ほんとだよっ」
じ~っ。
「な、なんだよ……」
『マツイさんちのクッション柔らかくて寝心地いいんだよねー』
「マツイさん、スラさんをクッションで寝かせてるんですか? 自分はベッドなのに?」
「いや、だからそれもスラが……おい、スラちょっと黙ってろ」
この後ククリの猜疑心に満ちた目を必死に弁明しなんとかやり過ごす俺だった。
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