第199話 ベヒーモス
ゴゴゴゴゴ……。
部屋を閉じていた石の壁が開いていく。
そして新たな階段が現れた。
宝箱も姿を見せる。
『マツイさん、宝箱宝箱っ』
スラが宝箱の横でぴょんぴょん飛び跳ねる。
俺は宝箱に近付きこれを開けた。
中に入っていたのは――
「これは、弓矢……?」
俺はククリの顔を見る。
「攻撃力+35のケイロンボウですね」
「攻撃力+35か~。弓矢じゃなければなぁ……」
俺は弓矢の経験はまるでないから使いこなせるかどうか。
今装備している妖刀みつごろしの方がいいかな。
とりあえずケイロンボウを異次元袋にしまうと俺は地下十七階層への階段の前に立った。
「ククリ、次のモンスターはどんな奴なんだ?」
「ベヒーモスというモンスターです」
「ベヒーモス?」
「はい。とても大きな四足歩行のモンスターで凶暴な性格なので気をつけてくださいね」
とククリが返す。
「ふーん、いまいちわからないけど頑張ってみるよ」
俺は階下へと階段を伝って下りていく。
◇ ◇ ◇
地下十七階層。
階段を下りると牛とイノシシとサイが合わさったような獣みたいなモンスターが目の前にいた。
「こいつがベヒーモスかっ」
「そうです」
『グオオー!』
俺を見るなりベヒーモスが突進してくる。
「ぐあっ」
俺は避ける間もなく大きな角で宙に突き上げられてしまった。
「マツイさんっ」
『マツイさんっ』
落下していく俺を大きな口を開けて丸飲みにしようとしているベヒーモス。
俺は空中でなんとか体勢を立て直すと青銅の盾を前に出しベヒーモスの口につっかえ棒のように差し込んでやった。
そして妖刀みつごろしで口の中を突き刺した。
『グオオーッ!』
ベヒーモスは痛みに耐えかね首を大きく上下左右に振る。
その勢いで放り出された俺はまだ首を振っているベヒーモスに駆け寄り胸の辺りを斬り裂いた。
血が大量に噴き出す。
俺は一旦距離をとるとふらふらとよろめいているベヒーモスを正面から見据えた。
『グオオーッ!!』
ベヒーモスは弱りながらも俺めがけ突っ込んでくる。
俺は当たる寸前で横によけベヒーモスの太い首を思いきり叩き斬った。
どさっ。
ベヒーモスの頭部が地面に落ち消滅していく。
「ふぅ……ちょっとだけビビった~」
「マツイさん大丈夫ですかっ?」
『血が出てんじゃんっ』
ククリとスラが駆け寄ってくる。
「ヒール!」
俺は自分に回復魔法を唱えると、
「これで大丈夫だよ」
ふたりを見て笑顔で答えた。
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