第19話 透視
次に俺が試したのはスキルである魔眼の透視能力だ。
「何か適当なものはっと……」
俺は透視するのに適してそうなものを部屋を見回し探した。
「この本棚でいいか」
そう決めて俺は本棚の前に立つ。
俺の部屋の本棚には漫画本が日焼けしないように布をかぶせてあるのだ。
ごくり。
「……よし。いくぞ」
俺はよく目を凝らして本棚をじーっとみつめた。
すると、
「おおーっ!」
見事布が透けて中にあるずらりと並んだ漫画本が目に入ってきた。
多少目が痛むがそれでも、
「マジかよっ、実生活で透視能力とか……神かよっ!」
興奮が止まらない。
この喜びを素直に表現する方法がわからない。
テンションが上がった俺はただ自分の体をグーで叩き続けた。
その様子を見て「くぅん?」とポチが小さく鳴く。
「おお、悪いなポチ。意味が分からないよな。よしよし、お前はいい子だなぁ」
頭を撫で顔を撫であごの下を撫でいつもはしない頬刷りまでポチにしてやるとポチは俺から逃げるように部屋を出ていってしまった。
「ちょっとスキンシップが過ぎたかな……」
少し反省しつつ俺は窓の外を見た。
時刻は夜七時を回っているが窓の外は暖色系のライトをともしたように明るい。
もちろん魔眼を宿した俺の目にそう見えるだけであって本当は暗いはずだ。
「ふふっ」
にやにやがおさまらない。
「うん……スーパー行こう」
透視能力を人相手に試したくなった俺は筋肉痛にもかかわらず今日二度目のスーパーへとスウェット姿のまま繰り出したのだった。
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