第183話 メドゥーサ
ある程度睡眠をとったのち俺とククリとスラは地下十四階層に下り立った。
「ここにメドゥーサが出てくるんだな」
目を合わすと石化させられてしまうというモンスター、メドゥーサ。
俺は目を合わせないようになるべく下を向きながら歩く。
通路を歩いていると、
「マツイさん、前からメドゥーサが来ますよっ」
ククリが教えてくれる。
俺は一度メドゥーサを自分の目で確かめてみたいと思い目をつぶったまま顔を上げた。
スラの考え通り目をつぶったままでも透視能力で自分のまぶたを透視することで前が見えた。
メドゥーサだっ。
確かに人間の女性のような姿かたちをしている。
白い装束のようなものを纏っているが上半身はほぼ裸だ。
といっても蛇の姿をした長い髪の毛がうまく大事な部分を隠しているが。
銀色の翼でもって少しだけ宙に浮いているメドゥーサはすーっとこっちに向かってきていた。
『シャー!』
般若のような恐ろしい顔で俺を見据えている。
これを肉眼で直視したら石になってしまうのだろう。
俺は一歩踏み込むと剣を振り抜いた。
メドゥーサの腹を切断するとあっけなく消滅していく。
「ふぅ……ククリの言う通り強さ自体は大したことないな」
と言いつつ俺は目を開ける。
「あー、目が痛い……」
透視能力はやはり目にかかる負担が大きい。
全部のメドゥーサをこのやり方で倒すのは無理があるな。
『もう倒した?』
スラが目をつぶりながら訊いてくる。
「ああ、倒したぞ」
『よかったー。マジ目が合ったら石になるとか怖すぎなんだけど』
「スラもメドゥーサの目は見るなよ」
『うん、気をつける』
万全を期して石化を治すカエルの涙はククリに持ってもらっている。
「マツイさん、メドゥーサですっ。二体向かってきてますよっ」
そのククリがまたも声を上げた。
「わかったっ」
今度は透視能力は使わずにメドゥーサたちの足元を見ながら戦うことにする。
俺は足元を見ながら間合いに入ってきたメドゥーサの胸の辺りを一突きにした。
『シャー……ッ!』
うまく急所を突いたようだ。剣から手に伝わる感触でわかる。
俺は続けて左側から向かってくるもう一体のメドゥーサの首の辺りを斬り裂いた。
ザシュッ。
どさっと頭部が地面に落ちメドゥーサと目が合ってしまう。
「ヤバっ……!」
だが既に息を引き取っていたメドゥーサの石化能力は発動することはなかった。
「マツイさん大丈夫ですか?」
『なになに、どしたの?』
「大丈夫、問題ないよ。ちょっとびっくりしただけだから」
俺は目を閉じながらも心配そうに顔を上に向けているスラを安心させるように優しく答えた。
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