第173話 カギがかかった宝箱
とその時俺の目に宝箱が飛び込んできた。
「おっ、宝箱じゃないか。ミノタウロスと戦ってたから気付かなかった」
「あ、本当ですね」
『開けよ開けよー』
部屋の隅っこにあった宝箱に近付いていく俺とククリとスラ。
いつものように罠を確認するため魔眼の透視能力で中を確認――
「ってあれ? ククリ、中が見えないんだけど……」
透視しても宝箱の中身が確認できない。
「どういうことだ?」
まさか透視能力が失われた……?
一瞬嫌な考えが頭をよぎり助けを求めるようにククリの方を振り向いた。
すると、
「あ、ちょっとマツイさんっ、透視状態でこっち見ないでくださいっ」
ククリがひょいっとスラの後ろに隠れた。
「は? 何してんだよククリ」
「それはこっちのセリフですよっ。透視しながら私を見ないでくださいってば!」
「……あのなぁ、今さらククリの服を透視しようなんて思うわけないだろ。アホらしい」
「アホらしいとはなんですか、レディーに向かってっ」
スラの後ろから手を振り上げ抗議するククリ。
「俺には裸なんか気にするなとか言ってなかったか? それに大体ククリの服は普段から露出度が高いんだからいいだろうが」
ククリは葉っぱで出来たような服を着ているので肌の露出はそれなりにある。
すべてがミニマムサイズだから全然いやらしくはないのだが。
「好きでこんな恰好してるわけじゃないんですっ。上位精霊はこの恰好が決まりなんですよっ」
「わかったよ。もう透視はしてないからさっきの質問に答えてくれ」
「もう、マツイさんはまったくもう~……」
ぶつぶつ言いながらククリはスラの後ろから出てきてひゅーんと俺の頭上まで飛んでくる。
「で質問なんでしたっけ?」
「宝箱だよ。この宝箱中が見えないんだ」
「あ~、それは多分カギのかかった宝箱だからだと思いますよ」
「カギのかかった宝箱?」
前にそんな宝箱の存在を聞いたような……。
「試しに開けてみてくださいよ」
「え、これを? でも罠だったらどうするんだよ」
「大丈夫ですから」
俺はククリに背中を押され仕方なく宝箱に手をかけた。
ガチャ。ギイィィ……。
「……なんだこりゃ?」
宝箱を開けると中にはほぼ同じ大きさの宝箱がすっぽり収まっていた。
「カギのかかった宝箱は宝箱の中に二重になって入っているんです。マツイさんには中の宝箱が見えていただけだったんですよ」
とククリ。
「マトリョーシカかよ」
『マトリョーシカ?』
スラが首をひねる。
「とにかくこれで中が見えるはずですよ」
「ああ、わかった」
俺はもう一度宝箱の中を透視してみた。
すると、
「おっ、なんか鎧が見える」
宝箱の中には黒っぽい鎧が見えた。
「確か万能キーを使うんだったな」
「そうです」
「こういうこともあろうかと俺は万能キーをとっておいたのだ」
『マツイさん、すげーじゃん』
「だろ?」
俺は異次元袋の中から万能キーを取り出してそれを宝箱に差した。
カギを回す。
ガチャ。ギイィィ……。
宝箱を開けると中の鎧を取り出した。見た目よりもだいぶ軽い。
「ククリ、この鎧なんていうんだ?」
「道連れの鎧です」
「……なんか物騒な名前だな。呪われてないだろうな」
あらためて見るとどことなくまがまがしいような気もするが……。
「よくわかりましたねマツイさん、その鎧は呪われていますよ」
「やっぱりかいっ」
「道連れの鎧は防御力+1で装備した人が誰かの攻撃で死ぬと攻撃してきた相手も一緒に道連れにすることが出来ます」
「いらね」
死ななきゃ効果が発動しないなんてそれこそ意味ないだろ。
「わざわざカギを開けてまで手に入れたのに全然使えないアイテムじゃないか」
なんか騙された気分だ。
「でもでも売れば十万円ですよ」
「十万っ? こんなものが?」
「はい」
『マツイさんそれいらないならあたしが飲み込んでやろっか?』
んあ~とスラが大きな口を開けた。
「あ、いや……やっぱ一応取っておくかな」
『なーんだ、つまんないのー』
使えないアイテムでも売値が十万ならスラに飲ませるのは惜しい。
たわしなんかになったりしたら目も当てられない。
俺は道連れの鎧を異次元袋の中に押し込むと次の宝箱を探すためククリとスラを連れ歩き出した。
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