第143話 ボストロール
フロアボスの部屋に足を踏み入れるといつも通り部屋が密室になる。
俺は抱えていたスラを地面に下ろすと、
「ククリ、スラを見てやっててくれ」
「は~い」
ククリに預けて部屋の中央に向かった。
部屋の中央では地下十二階層のフロアボスであるボストロールがこんぼうを構えて俺を見下ろしてくる。
ボストロールとの距離は約二メートル。
『グゲゲッ』
不細工な面で下品な笑いを浮かべるボストロールは両手でこんぼうを持つと天高く振り上げた。
「悪いな。今回はまともに戦っている時間はないんだっ」
俺はあらかじめ右手に持っていた魔石をボストロールめがけて投げた。
ガシャン。
丸々と太った腹に魔石が当たって割れた。
『グ……ゲゲッ!?』
ボストロールは苦しみもだえ出したかと思うと次の瞬間泡となって消滅した。
「よしっ」
あっさりとフロアボスを倒すことに成功するとゴゴゴゴゴ……と密室が開放され階段が新たに現れる。
そして宝箱も出現した。
スラを左手で抱え上げた俺は宝箱に手を伸ばし、
「頼む、何か食べられそうなもの入っててくれっ」
と祈りながらそれを開けた。
すると中にはピンク色の液体が入った容器が置かれていた。
「ん? ククリ、これなんだ? 飲み物か?」
「あ~そうですね。飲み物といえば飲み物ですけど……」
「スラ、これ飲んでみろ」
俺は容器の蓋を開けると空腹で弱っているスラにそれを飲ませてやった。
「あっ。あ~あ、もったいない」
ククリがそれを見て何やらもらすが今は少しでもスラの空腹を満たしてやらないと。
ごくごく……ぷは~っ。
ピンク色の液体を飲み干したスラは『ピキー』と目を見開いた。
そして俺と目が合うと俺の胸にぐりぐりと自分の頭を押し付けてくる。
「少しは元気になったみたいでよかったけど、お前は何してるんだスラ?」
『ピキー、ピキー』
「いや、わからん」
「マツイさん、さっきの液体の中身は惚れ薬ですよ」
ククリが口を開いた。
「えっ? 惚れ薬?」
「はい。飲んでから最初に見た人を好きになるんです」
『ピキー、ピキー』
スラは俺にじゃれついてきている。
「マジ……?」
「まあ、スラさんはもとからマツイさんのことが好きでしたから大して変化はないですけどね」
とククリ。
「あのさ、それってモンスターだけじゃなくて人間にも効くのか?」
「さあ? 多分効くんじゃないですか。試したことないのでわかりませんけどね」
「そんなぁ……」
だったら今の惚れ薬を高木さんに飲ませていたら……ムフフ。
「くっそぉ~、もったいないことしたぁ~!」
俺は頭を抱え思わず大声を出していた。
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