第133話 グリュプスコレクター
グリュプスコレクター取得のため俺はグリュプスを千体倒す決意を固めると壁を背にして首からぶら下げていたにおい袋の口を開けた。
今回はグリュプスが飛べないくらいの細い通路にグリュプスをおびき寄せる作戦だ。
せっかく妖刀ししおどしの効果で手足を麻痺させても翼を使われたら厄介だからだ。
俺も刀は振りにくくなるがそれはお互い様。
『ケケーッ!』
早速においにつられて一体のグリュプスが通路に現れた。
狭いので翼をたたんでいる。
「いくぞっ」
上手く攻撃を仕掛けられないでいるグリュプスを前にして俺は駆け寄ると顔面に一太刀浴びせた。
『ケケーッ……!』
その一撃で完全に動きを封じられたグリュプスの首元を俺は体勢を低くして斬り裂く。
致命傷を負ったグリュプスはよろよろと通路の壁にもたれかかると消滅していった。
「わあっ、マツイさん楽勝じゃないですか~!」
『ピキー!』
後ろからククリとスラの声が飛んでくる。
「空を飛べなきゃこんな奴ら敵じゃないさ」
「マツイさん、頭いいです~。ずる賢いです~」
『ピキー』
ずる賢いは誉め言葉なのか疑問だが俺はふたりの応援を背に受けながら続々とやってくるグリュプスを返り討ちにした。
影縫いのお守りを持っているおかげで一時間が経過してもダンジョン外に強制退出させられることもなく、また腹減らずのお守りの効果で腹が減ることもない俺は体力の続く限り安全圏からグリュプスを狩り続けた。
だが眠気にはさすがに勝てないのでにおい袋の口を閉じると俺とスラは途中で横になった。
その間はククリが見張りをしてくれる。
そしてグリュプスが現れると、
「……マツイさん、起きてくださいっ。グリュプスが来ましたよっ」
と俺を揺すって起こしてくれた。
「お、おう。サンキューククリっ」
なかなか長時間の睡眠がとれないのは玉にキズだがほかに方法がないのだからこればっかりは仕方がない。
スラが俺くらい強ければ交代で戦うという手もあるのだが……。
「かかってこいっ」
俺は気持ちよさそうに眠りこけているスラを横目にグリュプスを迎え撃った。
たくさんのグリュプスを相手にしているとおのずとスキル、グリュプスクラッシャーを取得できる確率が高まるので三百体ほど倒した頃だろうか、グリュプスと名のつくモンスターに与えるダメージが二倍になるグリュプスクラッシャーを取得していた。
そして睡眠を挟んで約一日半が経過した時――
「あっ、マツイさんさっきのグリュプスが宝箱を落としていきましたよっ」
「わかってるっ」
ザシュッ!
『ケケーッ……!』
刀で胸を貫かれたグリュプスが断末魔の声を上げる。
【グリュプスコレクターを取得しました】
――俺は千体目のグリュプスを倒しきった。
☆☆☆☆☆マークとブクマを押してもらえるととても嬉しいです!
よろしくお願いいたしますm(__)m




