第131話 別れ?
毒の沼地に囲まれた二つの宝箱を前に――
「どうにかならないかな……いっそのこと毒に侵されるのを覚悟で手に入れるとか……」
「でも今毒に侵されたらマツイさん冗談抜きで死んじゃいますよ」
「うーん、そうだよな。あーあ、空が飛べたらなぁ……」
とここでククリと目が合った。
ククリの背中でぱたぱたと動いている羽に目が留まる。
じーっ。
「え? な、なんですか? マツイさん。私どこかおかしいですか?」
「……ククリ頼む。俺の代わりにそこのアイテムとってきてくれ」
「はい?」
「俺の代わりにククリがそこのアイテムとってきてくれ、頼む」
「む、無理ですよ私にはっ」
「えーなんでだよ、いいだろ。この通りだからっ」
俺はこれ以上ないくらい頭を深く下げた。
「そんなことされても無理なものは無理ですよ」
「意地悪言わないで、頼むよ」
「別に意地悪で言ってるわけじゃないですってば。忘れたんですかマツイさん? 私は非力な精霊なんです、私には宝箱の蓋を持ち上げるだけの力もないんですよ」
……あ、そういえば五百グラムしか持ち上げられないとか前に言ってたような。
「……蓋も持ち上げられないの?」
「そうですよ。だから残念ですけど私が代わりにとることは出来ませんよ」
「うう、そうか。まいったな……」
俺は周りを見渡してみた。
何か使えそうなものは……。
足元に目を落とすとスラが俺を見上げてにへら~と笑っている。
スラは飛べないもんな~。
俺はスラの頭を優しく撫でる。
これが飛べる仲間だったらよかったんだけど――って。
ん?
そこで俺は閃いた。
早速ククリに提案する。
「なあククリ、グリュプスを仲間にして背中に乗って飛んでいくっていうのはどうだろう」
俺にしてはなかなかいい考えが浮かんだんじゃないだろうか。
「マツイさん、冴えてますね」とでも言ってもらえるかなと俺は期待したのだがククリの返事は予想を反したものだった。
「それはいいですけど、そうなるとスラさんとは別れないといけませんよ」
「……へ?」
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