第13話 帰宅
目の前には石造りの階段があった。
階段を駆け上がる足が軽やかなのは帰ってこれたという嬉しさからだろうか。
庭に出ると、
「……戻ってこれたなポチ」
「わんわんわんっ」
元気よく俺の周りを駆け回るポチ。
「おいおい、今は夜だから静かにしないと駄目だぞ」
「くぅん」
「よーしいい子だ」
俺はポチの頭をそっと撫でると周りを見渡した。
うちの周りに民家など一軒もないのだが一応しつけは大事だからな。
「ダンジョンに入る前と特に変わった様子もなさそうだし家に入って寝るか。もう疲れたよ」
「わん」
「おっと、その前に足を洗わないとな」
庭にある水道でポチの足をきれいにしてから家に入る。俺は全裸だから当然自分の足も洗った。
廊下に置いてある時計を見ると午前二時。眠いはずだ。
とことことポチはリビングのソファに移動するとそこにあったタオルケットにくるまり丸くなってそのまま目を閉じてしまった。
「お前も疲れてたんだな。おやすみポチ」
つぶやくと俺は自室のある二階へと向かう。
今にも閉じそうな目をこすりながら部屋に入るとベッドの上に倒れ込むように横になった。
「そういや風呂、入ってなかったっけ……明日でいいや……」
俺は三万円とダンジョンのすすめを手にしたまま深い眠りについた。
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