第118話 秒殺
地下十階層。
ここはキマイラの出てくるフロア。
階段を下り立ったらそこはキマイラロードの部屋だった、などということはなくキマイラの姿さえ見えず俺の心配は杞憂に終わった。
「まずは一体だ」
キマイラと戦ってみて実際に俺がどれくらい強くなったかを知る必要がある。
部屋を抜け出て通路を歩く俺たち。
出合い頭の不意打ちを避けるため魔眼の透視能力を駆使して進む。
入り組んだ通路を右へ左へ歩いていると、
「マツイさん、キマイラですっ」
前方にキマイラの姿があった。
『オオォーン!』
俺に気付いたキマイラは背中の羽を使って飛んでくる。
『シャアァー!』
『メエェ~!』
鳴き声が三つあるのはキマイラの頭部がライオンと蛇とヤギの三つにわかれているためだ。
「よし、眠くならないぞっ」
ヤギの鳴き声を聞いても前回のように眠気は襲ってこなかった。
これも目覚まし草のおかげだ。
ガキイィィン。
俺は銅の剣でキマイラの突進を受け止めた。
ライオンの顔が俺をかみ殺そうとして口を開け牙をむいてくるが剣でこれを防ぎつつ俺は左手で蛇の首を掴むとぐしゃっと握りつぶした。
『オオォーン!?』
『メエェ~!?』
俺の反撃に驚きを隠せないライオンとヤギの頭部が声を上げる。
俺は蛇が消え力の弱まったキマイラを剣で押し返すとその勢いのままライオンの首を斬り落とした。
『メエェ~……!!』
その瞬間恐怖を感じたのかヤギの頭部だけになったキマイラが向きを変え逃げようとする。
「逃がすかっ」
俺はジャンプして跳び上がるとキマイラの背中に剣を突き刺した。
『メェェ……』とキマイラは最期の声をもらしながら消滅する。
「やったぞ、ククリっ。スラっ」
俺は嬉しさのあまり振り返ってククリとスラに声を飛ばした。
「わー! マツイさんすごいですっ。圧倒的でしたよっ」
『ピキー!』
ふたりは拍手とジャンプでそれにこたえてくれる。
俺は前回フロアボス並みに苦戦したキマイラを今回ものの十秒で倒すことに成功したのだった。
☆☆☆☆☆マークとブクマを押してもらえるととても嬉しいです!
よろしくお願いいたしますm(__)m




