かつて仲間だった君へ2 理由
目を開く。あたりに人の気配はない
「ここは……」
辺りを見渡す……周囲には何もない。
(俺は気絶していたのか……)
起き上がり、ドアを開く。早く戦場へ
長い一本道を歩く。見たことがあるような、ないような……
壁は古くガラスには様々な装飾がされている。
道は終わりに近づく。
凄腕の職人に作らせてであろう扉のドアを大きな音を響かせながら開く。
そこで、扉の前で突っ立ていた衛兵と目があった。服装が違う……
二人は驚きはしたものの一人は慌ててどこかへ、もう一人はかがみ込んで大泣き
「おい……どうした」
声をかけれども彼は声を上げれない。
大人数の足音がこちらに向かっている。
(まずいぞ……)
そう思うが彼が泣き止まなければ……
しばらくして大勢の姿が現れた。そして俺の姿を見るなり泣き出すものもいればしゃがんで祈るものも現れる。
「よくぞお目覚めになりました。リオ様」
そこにいたのは
「セリ、お前なんでここに」
セリ➖
「えっ……セリ?私はセリ・カノミクル様ではございません。私の名前はナズナ・カクミクルでございます。セリ・カノミクルの血脈のものであり、この国の第一王女です」
ではなくセリによく似たナズナと呼ばれる王女様だった。
だがそんなことは関係ない俺は一刻も早く戦場へ行かねばいけないのだから……
彼女の横を通り過ぎようとするも
「お待ちください、どこに行かれるのですか」
「決まっているだろう、戦場だ。ちょっと寝過ぎたみたいだ」
「戦はもうありません」
(何だと……)
彼女は俺の瞳を捉える。
「リオ様が混乱されるのは当然のこと。ここはあの戦いから二百年後の世界なのです」
二百年……それはとてつもない年月だ。
ということは
「セリのやつはどうなった。アレンは……ナコ、ミナはどうなった。」
皆、顔を伏せる
「我々の英雄セリ様アレン様ナコ様ミナ様四名はあの大戦で……」
死んだのか
「フフ、フフフ……ハハハハハハハ」
俺は彼らを救えなかったのだ。
いやそもそも俺に皆を救える力などなかったのだ……なのに……なのに……俺だけが無様に生き残っているのだ。
「ハハハハ……あ…あああぁぁああああああああああああああ」
床に一粒、また一粒と滴が落ちていく。
ナズナの視点
リオが膝に手を当て、泣いている。
彼は先ほどまであの英雄たちと同じところにいたと考えるとどういう声をかけていいかわからない。
「リオ様……」
「なんだ、ナズナ……俺は……俺は大切な仲間を守ることができなかった。俺に力がなかったから。こんな惨めな俺を笑いたければ笑ってくれ」
(違う。英雄様方は_)
「英雄様方はあなたに力がなかったからこの世界にあなたを送ったのではありません」
(そう……そうだ、英雄様はそんな理由でしたのではない)
「何か理由があってのことです」
「理由か……」
「はい」
「特に思いつかないな」
「そうですか」
「だが、何かしらの理由はあるのだろう、それまではこの世界で過ごそう」
「では、改めまして。ようこそ二百年後の世界へ。歓迎します。今宵は宴をやります」
皆に指示を飛ばした
こっそり街を出ると、『英雄様が目覚められたらしい』と噂をしていた。
何より驚いたのはこの街には見たことのないものが広がっていた。
特に綿飴と呼ばれる今までに食べたことのない白くふわふわした食べ物には驚きを隠せなかった。
だが、街のは大きな壁で囲われていて、外は草原地帯だった。一見きれいに見える。しかし、所々にゴブリンやスケルトンがいる。
この世界にきて、何度も思い返す。
やはり俺があの世界に残れば良かったのだと。あいつらには生きて欲しかったと。
壁の上には誰もいない俺は一人声を上げて泣いた。それから俺はこの世界であいつをぶっ殺すと決めた。
大聖堂へ向かう。ここは俺らが良く遊んでいた場所。
(何も変わらないな……)
ここでよく遊んでみんなで怒られたりもしたもんだ。
今思えば、平民の俺がよくこんなところへ平然と遊べたもんだ。
隣のベンチに座る。
「リオ様、こちらにいらしゃったのですね」
「あぁ、ナズナ……俺のいなくなった後あいつらはどうした」
「さあ、私はあの世界にたわけではございませんので」
そうか……
「ですが、英雄様方のお力があってこそ今の私たちがいるのです。逃げる時間があったから。ここに来るまでの人々が生き残れた。改めて感謝を」
「よせ、俺は英雄じゃない。現に俺は今ここに居るしな」
俺は笑って流した




