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召喚師さまの勇者の勇者  作者: 桜山うす(J.I.A)
第二章 もしも勇者の勇者が死んでしまったら
10/23

裸召喚

 召喚陣の向こうから、潮騒はまだ鳴り響いていた。

 惑星グランド・ステラの海は、どうしてこの男を飲み込んでくれなかったのだろう。

 なんて引きの悪さだ。よりにもよって、また海賊王ゴードンを引いてしまうなんて。


「マツヒサ! すぐに帰還させろ!」


「あ、ああ……!」


 とうぜん、僕はすぐさま帰還魔法を発動させようとした。

 召喚陣に徐々に魔力が宿り、召喚したときと同様に、黄金の光がふわっと舞いのぼる。

 帰還魔法が発動する……だが。


「ふぬぅぅぅぅぅーんッ!」


 なんと、海賊王ゴードンは足を一歩、ずだん、と召喚陣の外に踏み出し。

 光の渦に呑み込まれそうになる体をぐぐぐ、と無理やりねじ込むようにして、イージーワールドに居残り続けている。


 帰還魔法に抗っている。

 なんて理不尽な勇者だ。

 これがSR勇者の実力。

 他のレア勇者との格の違いを、こんなところでアピールされても。


「まあまあ、まあまあまあまあ、まあまあまあまあまあまあまあ!」


「下から光で照らされていて笑顔が怖いよ! 近づいてくんな!」


「ちょっと聞いてくれよ、召喚師サマ! あれからもとの世界に帰った俺は、世界中の異世界召喚についての文献を調べまくってたんだよ。そうしたらさ! アルンの歴代の勇者たちは『召喚の対価』なんてものをもらって帰ってきてるっていうじゃん!?」


「うわー! 余計な知恵をつけて戻ってきたー!」


 よりにもよって、一番知られたくない奴に知られてしまった。

 その『召喚の対価』は、勇者契約を結んだ相手の望みを、何でもひとつ叶えるというもの。

 前回の勇者契約は向こうから蹴ってきたけれど、こいつの望みなんか叶えても、ろくな事になりそうな気がしない。


「俺はもう改心したよ、あんたと王女の嬢ちゃんには一切手を出さない、国籍を超えた海の戦士として、召喚師のあんたの為に戦う!」


 目をキラキラせ、ボディビルダーのようにたくましい筋肉を見せつけながらポーズを取るゴードン。


「そのかわり、召喚の対価として、惑星グランドステラの全ての海の支配権を俺に寄越しやがれください!」


「そ、そんな願い……叶えられる訳が……! というか、それって叶えたとしても……!」


 そこまで言いかけて、はた、と僕は我にかえった。

 いや、こいつに言う必要はないな。

 これはチャンスだ。


「海の支配権なんかでいいのならお前にくれてやるから、とっとと帰れ、もう召喚されてくるな!」


「ふえっ」


 ゴードンの願いに対してあっさり承諾した僕に、サクラハルはちょっと驚いたみたいだった。


「ま、マツヒサ……海賊に海を支配されても、海がないアルンには直接関係がないかもしれんが……」


 僕は、サクラハルにぱちぱち目をつむってみせた。

 何か策があるとわかったのか、サクラハルは口をはさむのをやめた。


 僕も、無駄に召喚師の勉強ばかりしている訳ではない。

『召喚の対価』は、そんな簡単に決めていいものではないのだ。


 勇者契約が成立すると、ゴードンは、全身からびかっと強い光を放った。


 勇者ユニット所持数:

 1体→1体+海賊王ゴードン


 と、視界に変化点が表示される。

 僕とゴードンの勇者契約が正式に結ばれたのだ。


「よぉーし! 契約成立ゥ!」


 勇者契約を結んだ瞬間、ゴードンは新たな力を得て光の壁をすり抜け、僕たちの世界に土足で乗り込んできた。

 さらに、サンドペーパーのような硬いサメ肌でがちっと僕と手をつないで、血が出るかと思った。

 もうやだ、この勇者。


「さっそく海賊勇者のお仕事だぜ! この前のリベンジだ、いっちょやるか!」


 リベンジと言って、ゴードンはずかずかと厨房に入っていった。

 海賊勇者になって、まず何をするのかと見ていると、どうやらこの前大失敗した鳥料理のリベンジらしい。


 ごつい手で驚くほど繊細にトマトやキュウリの皮をむいてゆく。山鳥のだしの香りだけでお腹が空いてきた。こいつひょっとして、料理うまいんじゃないか?


「あまりに肉を多用する海賊の料理において、もはや『肉』の概念は高度に抽象化され、我々はそれを『N』と呼んだ……肉が美味しく、素材も鮮度の良い高級なモノを使っている店を『Nみが高い』と言う……そう、俺たちは『N』のために日々を生きているんだ」


 なるほど、知らん。

 それ以上聞く気もない。

 僕は調理中の彼の足元に、こっそり召喚陣を広げていた。

 帰還魔法を発動するために、召喚ラミネートをひろげて地面に設置する。


 ゴードンはそれにまったく気づかず、煎りゴマ、ラー油、その他数種類のスパイスを加えてコクのある味のスープに仕上げると、なんとも旨そうな香りのラーメンを生み出した。


「一丁あがり! 北の列強、ノートリアムのNみがっつり豚骨ましましラーメンだ! あまりの脂の濃さに腰が抜けるぜ!」


 ゴードンの料理が完成した。

 すると、ちょうどその瞬間に帰還魔法が発動した。

 会心の笑みを浮かべ、ぐっと親指を立てるゴードンがそのまま消滅し、異世界へと退場していった。まるでしつこい幽霊が成仏したみたいだった。


 残されたのは、豚骨ラーメンだ。

 食べてみると、これが意外なほど旨くて驚いた。

 こってりとした味わいがクセになり、体の芯からぽかぽかしてくる。さすが北国のラーメン。


「旨い……なんだ、あいつ料理めちゃくちゃ上手いんじゃないか。ちょっとぐらい、コックとして置いといた方がよかったかな?」


「ん……そ、そうだな……」


 勇者ゴードンの隠された真価を見直していた僕だったけれど、サクラハルはぎこちない笑みを浮かべて、なかなかそのラーメンに口をつけようとしなかった。


「どうしたんだ、サクラ。せっかく君の11連で引き当てたんだから、遠慮なく食べてよ」


「いや……北の料理は苦手なのだ。かわりに食べてくれないか?」


「そうか……ごめん」


 僕は、もったいないと思いながらも、自分ひとりで美味しいラーメンを食べていた。


 けれども、その後いくら召喚しても海賊王ゴードンは召喚できず、あのラーメンの味に再開することはなかった。


 僕の最初に引き当てた勇者がサクラハルじゃなければ、とたまに想像したりする。

 サクラハルみたいには強くなくて、高校生勇者たちと同じくらいの力で、僕と同じくらいたくさん悩んでて、僕の引き当てた装備をずっと大事に使ってくれて。

 公爵や、サクラハルのファンと一緒に勇者ユニットを組ませて、帰ってきたらみんなでラーメンを食べて。

 そうしたら召喚師と勇者として、いつまでも仲良くやっていけたんじゃなかろうか。


「きっと、そうだよな……普通は」


 大召喚師アレクサが言うには、召喚師にとって、最初の召喚は特別な意味をもつそうだ。

 僕にとっては、サクラハルがその後のすべての召喚の価値を、決めてしまっていた。


◇◆◇◆◇◆◇


 その夜。

 サクラハルは僕が眠っている間に、こっそり大召喚師アレクサのところに相談しにいったらしい。


 彼女は自分が勇者として日々成長していく一方で、僕が召喚師としても成長できるよう、各方面に働きかけてくれていた。


「マツヒサ、本当にあんたには勿体なさすぎる勇者なんだから」


 と、アレクサは僕と顔を合わせるたびにサクラハルのことを褒めちぎっていた。


「なに、マツヒサの召喚ってそんなにひどいの? サクラちゃんのおかげで、運を使い果たしちゃった感じかしら」


「ひどいというか、マツヒサは私を触媒にして、毎日何度も召喚を試みているのだ。だが、アルン・デュン・ミリオンのものはめったに召喚されてこない。かわりになぜか出てくるのは、アルンの周辺国のものばかりで……」


「へー、貴方を触媒にしてるのねー……ふーん」


「そうだ。生まれも育ちもアルンのこの私をだ。なのに、なぜかアルン・デュン・ミリオンのものだけが召喚されないのだ」


「ふうーん……」


「アルンには、豊富な精霊石がある。それを使った武器ならば、他国に売るほどある。それらさえ召喚できれば、私ももっと強くなれるし、今の暮らしもずいぶん楽になると思うのだが……」


「サクラちゃん、ちなみに、あなたのその指輪って、どこのアイテム?」


 サクラハルは、「これ?」と言って、人差し指にはめたトルコ石の指輪をなでた。


「……北国ノートリアムのとある王妃のコレクションだと聞いている」


「じゃあ、その服はどこの服?」


「……これか。海賊船にあった服だ。どこから持ってきたのかは知らない」


 それを聞いたアレクサは、うん、それね。と頷いた。


「いろんな土地のアイテムが一緒に触媒になってるわけよね、それ。そりゃあ、目標も大きくブレちゃうはずよ」


「あ……えっ!?」


 サクラは、盲点だった、とばかりに唖然とした。

 人だけでなく、その衣服や指輪のようなアイテムも、触媒として使えるものだ。


 てっきりなにか、特別な方法でサクラハルだけを触媒にしているものだと思ったが、どうやらそういう器用な事はしてなかったみたいだ。


 なるほど、15年しか生きていないサクラハルよりも、指輪の歴史の方がはるかに長そうだ。

 また海賊王の船に乗っていた衣服の方が、サクラハルが生涯に訪れた土地よりもはるかに広範囲を旅してきただろう。


 したがって、触媒と関係を持った魂の数は、指輪や服の方がサクラハルよりも圧倒的に多いのだ。

 しかも、小国アルンの土地は狭く、人口は300万と、他の国に比べるとかなり少ない。

 アルンの兵士を引き当てる確率が、指輪や服が呼び寄せる魂の数に埋もれたせいで単純にひくくなっていたのである。


「なんで……どうしてそんな大事なことを、マツヒサに黙っているのだ!」


 サクラハルは、思わず熱くなって言った。

 アレクサは、まあまあ、落ち着きなさい、と言う代わりに、ぴしゃりと言った。


「じゃ、それを聞いたマツヒサが『よし、次はハダカでやってみよう』って言い出したら、あなたどうするつもり?」


「……!?」


「召喚の精度をあげるために、触媒が一糸まとわぬ姿になって召喚を行う方法があるのよ。『裸召喚』という召喚方法なんだけど」


「はっ、はだかしょうかんっ……!?」


 いかがわしい単語に、ショックを受けたサクラハル。

 思わず立ち上がっていたサクラハルは、次第にのぼせて行くみたいに顔を真っ赤にし、ぎりぎりと拳を握った。


 冷静になって、損得勘定を計算してみる。

 仮に、アルンの兵士の召喚に成功したとして。

 触媒にされているサクラハルは、裸のままでその兵士と対面しなくてはならない。

 いや、それ以前に。


「マツヒサに裸を見られるのは、なんというか癪だ……」


 入浴中にこの世界に召喚された、嫌な記憶がよみがえる。

 ぷるぷると震えながら椅子に座り直した。

 腕を組んで、真剣に考え込む。

 考え込む必要がある。


「…………か、考えさせて、いただけませんでしょうか」


「でしょう? まあ、何を引いても召喚に無駄なんてないし、いつかマツヒサがサクラちゃんの代わりになる触媒を引き当てるまで待つっていうのも、ひとつの手よ。無茶はしないでね」


「……はい」


◇◆◇◆◇◆◇


 2人の間にそんなやり取りがあったとはつゆ知らず。

 僕はへこんだりやる気を取り戻したりを繰り返しながら、サクラハル召喚(着衣)を繰り返していた。


 次の勇者には、アルン・デュン・ミリオンの兵士が欲しい。

 ならば、彼らを従えていた王女のサクラハルを触媒にすればいい。

 どんなアイテムを触媒にするよりも、その方が、引き当てる確率が高くなるはずだ。

 僕の考えは、そこまでは間違っていなかった。


 なのに、もう通算100回近く回しているのに、アルンの兵士はぜんぜん当たってくれない。


 そのとき、僕は気づいた。


『沼』……。

 そうか……これが『沼』か……。


 0・03パーセントの出現率だから、3333回まわせばかならず1回は当たる、という訳ではない。


 当たらない人は、何百回まわしてもまったく当たらないこともある。


 それがガチャの沼。


 課金地獄。


 サクラハルが僕のために稼いでくる資金は、一向に僕の手元に溜まらなかった。

 代わりに、豪華な家具や異国産のドレスが床に積まれてゆき、僕たちの部屋はどんどん手狭になっていく。


 超レア物の武器や防具は、いつか新しい勇者が現れた時のためにとっているのだけど、使い道がまるでないままになっていた。


 そして、ひさびさの確定演出。

 虹色に輝き、ラッパのファンファーレが鳴り響く特殊な召喚陣が現れて、今度こそアルンの勇者か、と思ったのだが。


 プギオ・オブ・ディオニュソス

 クラス 星5武器

 レアリティ SR

 職業 スコップのような幅広の短剣

 触れた敵をときどき純金にかえる特殊効果があります。敵を倒した時に得られるゴールドが倍増します。


「……なんだ武器か。もういいよ、武器はくさるほどあるんだよ……」


 面白そうな武器だったけれど、使ってくれる勇者がいないのでは、どうにもならない。


 1日1回の基本召喚チケットを使って、本日の召喚を終えてしまった僕は、召喚陣の端っこにひっくり返った。


 召喚師になってから3カ月、召喚した勇者ユニットは、たったの1名。

 こんな状態では、いつまで経っても僕は前線に出ることができない。

 もう完全にやる気を失ってしまって、そのまま眠ってしまいたかった。


 そんな僕を、シロクマの毛皮のソファに腰かけたまま、サクラハルはシロクマみたいにむっつりと黙って見下ろしていた。


「むう、やはり私が脱ぐしかないのか……? いや、しかし……」


 勇者とは、思った以上に大変だ。

 やがて、意を決したように、サクラハルは顔をあげた。


「ま、マツヒサ……ひとつ、提案があるのだが……」


 サクラハルが何か言おうとしていた、そのとき。

 部屋に大召喚師アレクサがやってきた。


「ばーん! あーもー! じれったいわー!」


「大召喚師さま」


「大召喚師さま、お帰りなさい」


 アレクサは、散らかし放題になった部屋を見渡して、呆れたようなため息をついた。


「ねぇ、あなたたち。いつまでウチにいるつもりなの?」


 僕とサクラハルは、目をぱちくりとさせた。

 いつまで?

 そもそも、お屋敷から出ていく動機がなかったんだけど。


「そういえば、みんなはどこに行ったんだろう? 最近お屋敷に戻ってきてないみたいだけど……どこか他のところに住んでるんです?」


「あー、そこ? なるほど、ようやくそこに気づいたのね、マツヒサ」


 僕の疑問に対しては、彼らと一緒に冒険しているサクラハルが答えてくれた。


「ほかの勇者たちは、ほとんどが星2世界の旅人の宿に泊まっているぞ」


「そうなんだ?」


「基本的に勇者は召喚師の呼び出しがあるまで、星1か星2の世界で生活しながら待機しているものだからな。そこにいれば、必要なときにすぐに召喚できる」


「見て、マツヒサ! この勇者、すごく優秀でしょ、私の勇者の勇者なのよ?」


 嬉しそうにはしゃぐアレクサ。

 勇者の勇者よりも、もっと勇者をほめた方がよくないだろうか?

 サクラハルは、ますますえばった。


「こんなのは勇者の常識だぞ、マツヒサ。それに彼らには、数日かけないと達成できないクエストなんてざらにあるからな。どうしても、現地の宿に泊まらないといけないのだ」


「そうよー。サクラちゃんみたいに、どんなクエストも日帰りで達成できる勇者なんてほとんどいないのよ! おまけに、召喚師さまの事が心配で心配で毎日2時間馬を走らせて転移ゲートまで戻ってきては召喚ポイントをみつぐ召喚師思いの勇者なんて、本当にどこの世界をさがしてもいないんだからね? マツヒサ、あんたもっとサクラちゃんを敬いなさい!」


「そうだぞ、マツヒサ。お前はもっと私を労わるべきだ」


「ただの家っ子じゃないか……?」


 そういえば、僕たちがこの世界に召喚されてからもう3ヶ月。

 星2迷宮もひとつはすでにクリアされていて、高校生勇者たちの冒険する範囲は、かなりの広範囲に及んでいた。


 転移ゲートのない、はるか遠くにいかなくてはならない。

 サクラがずっとこの屋敷を拠点にしているのは、けっこう不便なはずだ。


「そうですね……じゃあ、僕たちもそろそろ星2世界に移住した方がいいのかな……」


「いや、まて、それは早計だ」


 サクラハルは、とつぜん危機を察知したように、ぴしゃり、と言った。


「向こうの一体どこに住むつもりだ? 私は旅人の宿に泊まるのは嫌だぞ」


「えー、とりあえずアツシの所に潜り込むしかないと思ってたんだけど……」


「た、旅人の宿屋は絶対に泊まらないぞ、あんな不潔で危険きわまりない場所は、私はぜったいに嫌だからな!」


 なにか宿屋で相当不快な思いをしたらしい、サクラハルは涙目で言った。

 どうやら星7世界では、女の子の嫌がる不快な虫なんかも人間化していて、サクラハルは今まで見たことがなかったのだろう。

 たまに王女さまっぽいんだよな。


「宿屋が無理なら、僕ががんばって一戸建てを召喚するしかないってことかな……サクラの稼ぎはなるべく召喚に使いたいし、それで1000万もする一戸建てを買うのはさすがに無理だろうから」


「うむ、立派な家を召喚してくれ」


「家を召喚する場合は、何を触媒にすればいいんだろうかな……大工道具か? 家具を触媒にするのが一番の近道かな……あ、ついでに、地下室と蔵があった方がいいよな。アイテムを置く場所も欲しいし」


「大きなお風呂も召喚してくれ。なるべく格調高いものがいい」


「お風呂に関しては、しばらくお屋敷に戻ってきて借りられればと思うけど、家具だったらたくさん召喚してある」


 僕は、ハズレ召喚であつまったアイテムの山を見て、息をついた。


「もうこれだけ揃えば十分だな。そのシロクマのソファも、持ってくだろ?」


「当然だ。くまごろうは私と一心同体なのだ。なかなか分かっているではないか、マツヒサ」


「名前をつけるぐらい気に入ったらしいから分かるよ」


 うんうん、こいつ分かってるな、という風に頷くサクラハル。


 僕たちがガチャで家を引き当てるまでの遠大な計画を練っていると、大召喚師アレクサは、はぁー、とあからさまなため息をついた。


「もー! だから今すぐ使わないアイテムばっかり持っていたって、どうにもならないわよ、もうこんなにレアアイテムを召喚してたら、売れば家ぐらい買えるわよ! とっとと出ていきなさい!」


 召喚したアイテムを売るという発想がなかった僕らは、ぽかんとしていた。

 ……家が買えるんだ?

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