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魔王撲殺  作者: 小林晴幸
本編
1/20

―旅立ち― 魔王撲殺

 本当はネタを出したところで止めて置く予定だったのですが……思った以上に、続きのネタがしっかり固まっていたことと、思いのほか気に入って下さった方がいたようなので。

 撲殺とか暴力的な表現が多いので、ちょっと躊躇いましたが。

 ネタが固まってるなら忘却しない新鮮なうちにやったれ☆と、投降してみることにしました。


 ただし続きの投稿は不定期の予定。いつ投稿するかは明言できません。

 一応、全部で9話くらいで終わる予定です。





 私の右手には、血で赤く染まったタカシ君の金属バット。

 足元には頭からだくっだくっと流した血で地面を赤く染める、イカレた格好の見知らぬお兄さん。

 傍から見たも何も、どこからどう見ても加害者と被害者の図にしか見えん。

 そんな状況下で、図式を構成する片方(加害者側)であるところの私。

 混乱する頭で必死に冷静さを取り戻そうと、自分の身元やこうなるに至った経緯を思い出して状況を整理する。

 そうでもしないと、本当にどうしていいのかわからなかった。






    【 魔王撲殺 】






 私の名前は、内藤(ないとう) 絵麻(えま)

 日本の片隅で日々を清く正しく精一杯に生きている一般人だ。

 我が家は今、あまりお金がない(両親談)。

 それというのも優秀で将来を嘱望されていた筈の私の兄が、「前世の恋人を探しに行く」と言い置いて出奔してしまったせいだ。

 うん、頭のいい人って時々何しでかすかわからんよな。というかうちの兄はちょっと頭がおかしいと思う。

 仰天した両親は以来、兄の行方を必死で探している。

 仕事があって自分で探す時間の確保が難しいため、興信所頼りで。

 お陰で私のお小遣いが減ってしまった。欲しいDVDがあったのにがっかりだ。

 兄とかどうでも良いからお小遣いの額を戻してくれ、とは流石に憔悴する両親を見ると言いだせやしない。

 なので私はバイトを始めることにした。


 そして、そう。

 あれはバイトから帰ってきたところだった。

 家に帰ってきた私は、お隣の家に住む従弟の(たかし)君(14)と鉢合わせした。

 孝君は丁度家から出てきたところで、その手には金属バットを握っていた。

 時刻は午後の8時半。

 孝君のお家はお父さんが亡くなって、母一人子一人の母子家庭。しかも叔母さんは看護師だ。

 親子の生活の為に働く叔母さんは夜勤も多く、孝君への目が行き届かないところも多い。

 だから昔から、私やうちの家族は叔母さんから孝君のことをよろしく頼まれていた。

 お隣の家に住む従姉のおねーさんとしては、そもそも可愛い弟分が心配だってこともある。

 なので当然、私はこの時も足早に駆け去ろうとした孝君の襟首を掴んで引きとめた。

「ちょっと孝君! 金属バットなんて持って何処に出かける気!?」

「え、ちょ……っ猫じゃないんだから襟首つかむなよ、ねえちゃん! 詮索すんな、草野球だよ!」

「こんな時間に草野球もくそもないでしょ。そもそもそんなギラギラした格好で草野球とか嘘にしたって酷いわー……怪我するし、汗と埃で酷いことになるわよ?」

孝君は小学生までは素直な良い子だったんだけど。

やっぱりお父さんがいない寂しさが引っ掛かったのか、なんなのか。

中学校に入ってから、あまり公序良俗的によろしくないお友達が出来たらしく、夜な夜な私の目を盗んで良からぬ集まりだの喧嘩だのに出かけているらしい。

流石に四六時中行動を見張っていることなんて出来ないし、抜け出されたらどうにもならないんだけど。

それでも見咎めることが出来た時には、問答無用で行動を追求しまくることにしていた。

「中学生がこんな夜に出歩くんじゃありません! しかし保護者同伴なら可!」

「自分だってその夜に出歩いてたんだろ!? ねえちゃんに注意されるいわれはねえよ!」

「私もう義務教育とはおさらばしたし。それにおねーちゃんのは経済活動を目的とした外出だから! 破壊活動しか出来ないお子様は家で大人しく星の●ービィでもやってなさい」

「おっ俺だって経済活動?ってやつだし!」

「ほほう……ちなみに、どんな?」

恵伝(えでん)にーちゃんが破壊と再生は表裏一体、互いが互いをもたらすんだって言ってたぜっ? そう、何かが壊れることは代替えを求めて新しい商品の売買っつう経済活動の促進をもたらすんだ!」

「孝君……ちゃんと学校でお勉強すれば良い成績取れるだろうに。馬鹿兄もいたいけな従弟に何を教えてるんだか……!」

 ちなみに恵伝とは失踪したうちの兄の名前だ。

「その理屈じゃどっちにしても経済活動に走るのは見も知らぬ他人で、孝君自身じゃないでしょ。とにかく、これは没収だから」

「ああ、俺のロンギヌス……!」

「名づけのセンス微妙だな……」

 バットに槍由来の名前を付けるってのはどうなんだろうか。

 微妙に思いながら、私は孝君の手から金属バットをもぎ取った。


 その瞬間だった。


 突然、私の足下から金色の光が噴き出した。

 間欠泉のように唐突に、勢い凄まじく。


「ねえちゃん!? ね…ぇちゃ……っ!!」


 何故か目の前に、すぐ側にいる筈の孝君の声が遠い。

 耳の奥で唸る轟音に掻き消され、途切れ途切れに聞こえた少年の声。

 だけどそれも、唐突に聞こえなくなった。


「えっ」


 光が眩しくて閉じていた目が、自然と開く。

 気付いた時。

 私は自分でもわからない内に、知らない場所に……何も見えない、距離間の取れない暗闇の中にいた。


 正確には落ちていた。


「う……ぇ、あ……きゃぁぁああああああああああああああああああああっ!!?」

 柄にもない、女の子ぶった悲鳴が勝手に喉から迸る。

 なにこれなにこれと胸中で叫ぶが、頭の中身は恐怖でいっぱいに塗り潰されている状態で。

 手に握っていた孝君のバット。これだけが縋るよすが、命綱かとばかりに両手で力一杯にしがみつく。何所かに繋がっている訳でもないのに。

 どれだけの落下速度で落ちているのか、全然わからないけど。

 落ちていく内に、私はふと冷静になった。

 ――ちょっと落ちるにしても、落下時間が長すぎやしないか?と。

 考えられるものは、ふたつ。

 今の私の脳が麻痺って体感時間が異様に長く感じているか……単純に、物凄い高さから落ち続けているか。

 その答えは、恐らく高確率で後者の方だ。

 だって目に見える物がすごい速さで上に昇っていくんだもん! いや、私が落ちてるんだけどな?!


 私を取り囲む周囲は、暗闇だったはずだけど。

 落ちていく先、下の方には光源があるらしく……落ちるに従って、徐々に周囲の光景が明瞭になる。見えるようになっていく。

 つまり私の落下開始地点って、地上の光が到達しないくらい上空だったってことですかー!?

 見えるようになって明らかになってきた周囲は、閉塞感を誘発する。

 どうやら私は縦にはともかく、横にはあまり広くない場所にいるようだ。

 やがて自分が、どこかの穴を落ちているらしいと気付いたから。

 あれだ、不思議の国のアリス。昔見た、あの童話の挿絵を連想させる。

 狭いといっても落下する私の身体が接触する程には、狭くなく。

 土が剥き出しになった壁面には、なんでこんな所に……?と首を傾げるような変な物がところどころに散見できた。

 例えば斜め逆さになった肖像画。こんな高い所に飾って誰が見るんだ。

 例えば壁から突き出したフックに掛けられた裏返しのワンピース。こんな所に干したら存在忘れるわ。

 例えば壁から半分はみ出したハリネズミの後ろ脚……ってハリネズミの後ろ脚!? 誰だこんな所に埋めたヤツ。

 他にも割れたティーカップが小さな飾棚に陳列されていたり(接触していたら落下中の私は流血必至)、小さく開いた窓から赤い帽子の小人さんが手を振ってきたり(って、なんだいまの!? ナニか棲んでんの!?)、片目の取れた不気味な着ぐるみが磔にされて微笑んでいたり。

 延々とただひたすらに異常な光景を見せつけられる、落下道中。

 あまりにも長い時間落ち続けていたせいか、見ているものの異常さが私の脳を醒ましたのか。

 変な物ばかりが目に映る壁を虚ろに見ながら、私は思った。

 ――こんな所で死にたくない。

 生物の根源的欲求、割と切実な願い。

 だが、死なない為にはどうしたら良い?

 いきなり落下を強要されている私には、パラシュートも命綱もない。

 手にあるのは、金属バットだけだ。背中にリュックも背負ってはいたけど、クッション代わりには出来そうもない。

 持っている物が限られる分、知恵を絞らないとどうにもならないが……さて困った。私はあまり頭が良くないぞ?


 いつまでもいつまでも落ちているような、この感覚。

 だけど落下しているということは重力があるということで。

 つまりいつかは地面に到達しちゃう訳だろ?

 もう随分と時間が経ったような気がするが、残りの猶予が今までと同じくらいあるとは限らない。

 むしろ次の瞬間には私も潰れトマトになっているかもしれない。

 それに気付くと、無性に焦った。

 苦肉の策で、思いついたことを躊躇わず実行するくらいには……焦った。


 私が思いついたこと。

 それは、この手が届きそうで届かない壁面を……バットで殴る!

 このギリギリの距離間ならイケると思った。

 それで、殴った反動で自分の身体を反対側の壁に近づけ……後は、足を付けることが出来れば。そのまま少しは勢い殺せないか、なぁ……と。

 そんなふんわりざっくりした作戦しか思いつかなかった自分の頭に絶望だ。

 笑いたければ嗤うが良いさ。馬鹿にだってすると良い。だけど私と同じような状況に陥った時、混乱せずにいられるってヤツ。冷静に対処して、私よりうまく対応できるってヤツ以外は馬鹿にするんじゃねーぞ?

 誰にしているのかもわからない抗議を脳内で思い浮かべながら、思い立ったら即実行。


 私は両手に握ったバットを、力強く振り抜いた。…………ら、だ。



 思いもしなかったんだ。

 まさか、こんな……事故(・・)が発生するだなんて。



 私がまさにバットを振った瞬間に、それは起こった。

 起こったって言うか……現れた?

 なんか、ね? なんか……私の握ったバットと壁の間に割り込むように、見知らぬおにーさんが…………



 私が振り抜いたバットは、おにーさんの形の良い頭に直撃した。

 生々しくもしっかりした手応え。良い打撃音がした。



 その後、何が起きたのかは正直よくわからない。

 やっちまった……! その言葉に支配されて、頭が真っ白になっていたから。

 だけど気付いたら、私は金色に光るサークルの刻まれた地面に立っていて。

 目の前には、地面に倒れ伏すおにーさんがいた。

 地面は、おにーさんの赤い鮮血に染まっている。

 言い逃れのできない状況ってやつだった。「私が殺りました」以外の台詞は認めてもらえそうにない。

 今となっては捨てるに捨てられない凶器(バット)(証拠品)を握り、私は涙目だ。

 地面に倒れているおにーさんは全身黒づくめの上になんかマントとか着ちゃってるっぽい不審者だけど、だからって出会い頭に金属バットで殴って良いことにはならないだろう。

 どうしたものかと、途方に暮れた。

 私の頭の中ではどうするにしても迅速な行動が求められると、選択肢が踊る。

 即ち、逃げるか出頭するかだ。あるいは無駄かもしれないけど蘇生を試みるか?

 ……だけど逃げるにしても出頭するとしても、何処に?


 次に何をすべきかと、考えたからだろうか。

 それまでおにーさんの死体(?)しか目に入らない状態で、視線を逸らせずにいたんだけど。

 急に視野が広がったような気がして、周囲が目に入る。

 ……そこは、さっきまで私が落下していた穴ともまた違う光景が広がっていた。

「なにここ」

 そこは、縄文杉みたいな大きさの真っ白な石柱の並ぶ……円形に作られた室内で。

 天井はドーム型、まるでお椀を被せたような形。

 日本じゃあまり見ないような建築様式の、私達が立つ正面には祭壇みたいなのがあって。

 TVゲームに出てくる祠みたいな場所だな、って思った。

 あまりに日本で営んでいた日常とはかけ離れた環境に、足元のおにーさんの死体(?)も忘れてポカンと呆ける。

 その時間が、選択の時間を食い潰した。


「陛下……? さっきの異音は…………あ」


 背後から聞こえてきた高い声に、私の肩がびくっと跳ねる。

 私から見て正面に、祭壇があるということは。

 ……室内の様式的に、私の後方に出入り口がある可能性が高いということで。

 そろりそろりと振り返ると……真黒な瞳と、ぱっちり目が合った。

 怪訝な眼差しで、室内の状況を観察する少年がそこにいた。


 小学生くらいだろうか? 少年とは表現した物の、本当に男の子か自信がなくなるくらいに綺麗な顔立ちをしている。こういうのを白皙の美貌っていうんだろうな。今は子供なのであどけなさが目立つし、将来的には、といった話だが。

 しかし顔の綺麗さ何か問題にならないくらい。恰好がアレだった。いや、顔に似合っちゃいるんだけどね?

 丁寧に梳られたのかさらっさらの白い髪は綺麗に切りそろえられている。そこは良い。そこはまだ良いんだが……頭には帽子としての役割を果たさないだろう?と聞きたくなるようなちっちゃなシルクハット。しかも頭のてっぺんじゃなく斜めあたりの位置にちょこんとくっついている。裏側にヘアピンでも付いてるんだろうか。更にはこれもヘアピンか何かで飾りを留めているのか、側頭部からは小さい羊の巻き角(黒)が生えている。

 そしてお綺麗なお顔の方にも、右目には紫水晶っぽい薄紫色のモノクル。左目の目元には、小さな黒と紫の星が二つ輝いている。キラキラしてるけどそれシール? それとも石? 貼ってるの?

 服の方もまあ凝りに凝っていて、紫の幅広リボンタイは確かに似合っている。似合ってるんだが……ラメの散ったレース飾りのついたドレスシャツってのは男の子の格好として実用に耐えるんだろうか。私の知っている『男の子』って奴はやんちゃなもので、あんなひらひらキラキラの衣装はすぐに破いて駄目にしてしまいそうなんだが……なんだ、良いとこのお坊ちゃんはその行動でさえも私の知る『男の子』とはかけ離れてお上品だとでも言うのか!?

 ベストに黒い燕尾の上着にと布地から縫製から、まず間違いなく高級品だ。カフスボタン一つ取っても本物の輝きってヤツを放っている。うちの父の一張羅と比べても雲泥の差だ。

 ズボンはそういうこだわりなのか、ぎりぎり膝が見える丈。そして白くて肌が透けそうに薄いハイソックスに編み上げブーツ(厚底)を履いていた。


 なんというか、雰囲気のある子だ。

 雰囲気、そう、雰囲気……これを我が従弟の孝君であれば、きっと簡潔にこう言い現わしたことだろう。

 「コスプレ臭」、と……。

 写真にとってゴスロリファッション誌にでも投稿すれば、特集ページの大枠を独占できそうな気合いの入った格好だった。

 これが10月31日の大通であればさほど違和感もないんだが。いかんせん日常的に遭遇するには、私にとって異質なファッション過ぎた。都会なら問題ないのかもしれないが、私の実家は閑静な住宅街ってやつなんだ。それほど都会でもないし、こういう奇抜な恰好は目が吃驚してしまう。

 だがこの少年は堂々とその姿を恥じることもなく着こなしている。特に気取ったところも格好つけたところもない。これが勝負服か何かなら、無意識に服を意識した振舞いがちらちら見えそうなモノなんだが……普段着か? それが普段着なのか?


 なんとも意識が引っ張られる服装だ、と。

 私の注意が服装に向かっている間に、少年は気付けば私のすぐ側まで来ていた。

 少年のばさばさ睫毛に縁取られた黒い目が、私の右手……証拠品バットに注がれている。

 しまった。この如何にも「下手人です!」と叫ばんばかりの姿を目撃された!

 一瞬、頭に「口封じ」という不穏な単語が浮かぶが。

 そんな私の機先を制し、少年が淡々と声を発した。

「この状況は一体どういうことか、ご説明願えますね?」

 はい、と。

 少年のひたりとした眼差しに思わず頷きそうになったんだけど。

 だけど少年の目は、微妙に私の背後を見ていて。

 そして先程の言葉に、こう続いたんだ。


 ――「陛下」、と。


 私は振り返った。まさかと思った。

 でも考えてみれば、確かに脈を確かめた訳じゃない。

 だから一縷の望みをかけるくらいの気持ちで、もしかして生きてる……!?と。


『…………すまん、メルクリウス』


 振り向いた先には、うっすらぼんやり半透明のお兄さんがいた。

 透けてるその足下には、未だにだくだく頭から血を流し続けるお兄さん(本体)。


 やっぱり死んでたぁぁあああああっ


 私は頭を抱えて、バットに縋る。

 ああ、ああ、せめて……せめて孝君が深夜徘徊しようとさえしなければ!

 脳裏によぎる、その言葉。人はそれを責任転嫁という。






 立ち並ぶ白柱。静まり返る祠。

 塵一つ落ちていないものの死体が一体落ちている床の上。

 膝を付きつけ合わせ、正座で向かい合う私と少年と幽霊という風変わりな光景が展開されるようになって、もうどれだけの時間が経っただろうか。

 幽霊となったおにいさんの本体は、少年によって(謎の指パッチン一つで)綺麗に清められ、祭壇の前に安置されている。

 うつぶせに倒れていた身体は、ひっくり返してみると整った顔立ちの青年だった。ああ、このモテそうなおにーさんの未来とか青春とか、そういうモノを私が奪ってしまったのね。

 胸の上で両腕を交差させ、左右の肩にそれぞれの掌を当てるというポーズで、青年の遺体はそのまま棺に納めて問題なさそうな安らかな顔をしている。

 だけど本体から分離してしまったらしい霊体さんの方は沈鬱な顔で俯いていた。そうだろう、私が殺してしまったんだ。落ち込まない筈がない。

 誰もが黙り込む中、現場を見たモノの犯行の瞬間は見ていない少年はじっと私と幽霊のおにーさんを見ている。説明を求めているんだろう。

 私と幽霊のおにいさんが黙っていると、言葉を発する者もなく静寂だけが訪れる。

 いつまでもこのままじゃいられないってわかっていても、言葉を発する勇気が出ない。だって私も、状況を完全に理解していた訳じゃないし……ありのままを語っても、信じてもらえるかどうか。

 謎の空間を落下中、起死回生で放った一撃がおにーさんの頭部に命中(ヒット)しました☆なんて言って、この空気で許してもらえるのだろうか……?

 事故だと主張したいが、それを犯人わたしが言っていいものかどうか。

『……あれは、事故だった』

 一瞬、自分の言葉が口を突いて出たかと思った。

 でも、それを言ったのは私じゃなくって……被害に遭った幽霊のおにーさんで。

 おにいさん……☆ 私の好感度が、ぎゅんと上がった。

「どういうことか、御説明願えますね」

『勿論だ、メルクリウス。そして貴女も……状況をよくわかってはいないだろう』

「え、ええ。実は私も何が何だか、よく……」わかってはいないが、貴方の頭をバットで殴ったことはしっかり自覚していますよ、とは言い難い。

「そもそも陛下、前魔王はどこに消えたのですか」

「え? 前魔王?」

 メルクリウスという名前らしい少年に、口を挟むと睨まれた。話の腰を折るなってことですね、ハイ。

 だけど幽霊のおにいさんは私に殺害されたにも関わらず、少年より親切だったようで。

『こちらの事情に巻き込んだようなものだ。貴女もわかるよう、最初から経緯を説明しよう』

「ありがとうございます!」

 自分で殺した相手の親切心に、ちょっと涙出そうだった。



 結論から先に言うと、ここは私の住んでた地球とは別の世界だそーだ。そして私は召喚された被害者、らしい。

 誰に召喚されたのかって?

 なんと、このおにーさんの前の魔王さんだってさ。


 ……え? おにいさん魔王なのかって?

 そうだよね、その情報には私もびっくりした。

 RPGゲームに欠かせない花形じゃん、その肩書。

 格好良いって言ったら、幽霊のお兄さんは透き通った頬を器用に赤くして照れていた。本当に器用だ。


 この魔王で幽霊のおにーさん……お名前は瀧本(たきもと) 清春(きよはる)さんと仰るそうなのだが、彼が先代の魔王を打倒したことに今回の事故は端を発するらしい。

元々先代は暴政を敷いていて嫌われ者だったそうだけど、魔族さん達は実力社会。どれだけ自分勝手で傲慢な王様でも、それを打倒できる新魔王が現れない限りは天下が続く。

前の魔王は圧倒的強さを誇ったらしいけど、ついにそれを凌駕する者が現れた! それが、この瀧本さんだ。

 それでもあまり魔王とか気乗りしないということで、瀧本さんは長年のらりくらりと決起を避けていたそうだけど……ある日、聞き捨てならない情報を入手して反乱を起こした。

『実はずっと召喚魔法の研究をしていたんだが、魔王城の地下に失われた筈の太古の召喚魔法陣があると聞いてな』

 召喚魔法。それはこの世界では既に失われた遺失魔法だとかで、魔法の発動に絶対必要な魔法陣なんて今では誰も見たことのない幻の魔法陣なんだとか。

 そんな伝説レベルの魔法陣が、魔王城に。うん、つまりこの部屋のことだな。

 情報が確かな物だと知った瀧本さんは、居ても立ってもいられなくなった。居ても立ってもいられなくて、先代魔王を倒して新しい魔王になっちゃったそうだ。

「……どうしてそこまで必死で?」

『実は……吾は、前世の記憶が幼少の頃よりあってな。お陰で前世の……こことは異なる世界のモノの考え方やら価値観やらが人格に影響を及ぼしてしまったようなのだ』

 なんかさらりと、とんでもないことをカミングアウトされた。

 え、そんなこと言われて私にどんな反応を求めているの?

 電波? 電波なの、魔王のおにーさん? 魔王とか言っちゃってる時点で今更のような気もするけど、おにいさんも少年も真面目な顔しているせいでツッコミ入れられなかったけどさ。流石に前世ネタは設定盛りすぎだろ。

『お陰で同族とでは気質が合わず……合わせることは容易だが、四六時中、日常を共にするとなると気疲れが募ってな。気疲れを覚えずに済む、共にいて安らげる相手はいないものかと……』

「陛下は長年、異なる世界……つまりは御自身の魂が前世を過ごした世界より、気の合う伴侶(ヨメ)を召喚したいと願っておいでだったんですよ。前世の自分と同郷の者であれば気も合うはず、と」

「え、もしかして……それで呼ばれたのが私、とか言っちゃう?」

「違います」

「違うの!?」

 違うとか、この状況で逆に驚くんだけど。もうそれ以外にないって思ったんだけど、違うのか……。

 お陰で余計に疑問が深まったんだけど。ああ、でもそういえば先代魔王に呼び出されたって言ってたっけ。

「陛下は召喚魔法を得る為、先代の魔王を討ち取られました。ですが、命はまだ残しておいたのです。それが(あだ)になろうとは……」

「いやいや、代替え争い後に先代が生き残ってるとか、思いっきり禍根が残ってるよね」

「それも一週間後までの命の筈だったんです。陛下の戴冠式に合わせて公開処刑する予定でしたから」

 先代の魔王は方々から本当に恨まれていたので、戴冠式の前座として公開処刑したら盛りあがるとか考えていたらしい。

 なんとも血生臭い戴冠式があったものだ。それともこれは彼らにとって普通のことなのか……?


 結局、処刑(でばん)まで地下牢で先代魔王を待機させるなんて悠長なことをしていたから、今回の事故に話が繋がる。

 いい加減な管理をしていたつもりはないそうだけど、やっぱり早めに首を刎ねておくべきだったとメルクリウス少年が悔いを漏らした。

 先代魔王は牢に入れられたものの、警備の隙をついて脱獄した。逃走経路は、地下牢にあった秘密の抜け穴。

 脱走に気付いて急いで追跡するも、先代の強さからまともに対応できるのは瀧本さんただ一人。

 追い詰めたのか、先代が逃げ込む先に選んだのか。彼らの決戦はこの召喚魔法陣の祠が舞台となった。

 ……その割に、先代魔王とやらの痕跡も破壊の跡も見られないんだけど。

『先代は、やはり狙ってこの祠に逃げ込んだらしい。奴も召喚魔法のことは多少なりと知っていたようだ』

「……と、言いますと?」

『私には敵わないと判断し、召喚を行った。……ただし、奴の知識は完璧ではなかった。不完全な発動を補う為に、従来の術式以上の魔力を要して魔法陣は発動した。先代は……魔法陣の魔力消費量に耐えられず、全ての生命力を絞り取られて消滅した。それこそ、塵一つ残さず……な』

「………………」

 …………いま、なんかさらっとエグイことを言われたような。

 ええと、とにかくそれで召喚されたのが私……と考えて良いんだろうか。

『奴が召喚する対象に付けた条件は、ただ一つ。現魔王(わたし)を倒せる者……』

 幽霊となった魔王様のお言葉に、場に不自然な沈黙が落ちた。

 魔族二人の視線が、私と私の握った金属バットに注がれる。

 金属バットには、拭き取った覚えもないし……今でも瀧本さんの血がべっとりとこびりついている筈だ。

 わーお、その通りの結果になったね☆なんて発言する勇気はとてもじゃないけど湧いてきそうにない。

「え、えっと……疑問なんですが! 私がひたすら落下していた、あの空間って……」

『時空の狭間だな。召喚魔法陣の暴走で不自然にねじ曲がり、もう少しで貴女ごと爆発するところだった』

「さらりと明かされる予想外の危機。え、じゃあ瀧本さんがあそこに現れたのは……」

『召喚魔法陣の暴走を見て、少しのつもりで干渉した。時空の狭間に滞留した魔力を鎮め、爆発に巻き込まれそうな貴女を保護する、つもりだったのだが……』

 結果、逆に事故に巻き込まれた、と……。

 私の胸の中を、物凄い罪悪感が暴れ回ってるんですが!

 親切で助けてくれようとした相手を、バットで撲殺って……私は鬼か!?

「結果的に異なる世界から嫁を召喚するつもりで、とんだ暴力嫁を時空の狭間より招き入れてしまった訳ですね」

「メルクリウス君! 瀧本さんが私を召喚した訳じゃないんだよね!? 事故だからね!? そう、事故だと私は声高に主張する!」

「それでどうするんですか、陛下。戴冠式は一週間後ですが」

「…………おう」

 どうしようか。

 迫る現実に、思わず三人で遠い目をしてしまう。

 メルクリウス君いわく、慣例に則れば魔王を打ち取った私が次の魔王に、という展開らしいけど……

「絶対無理!!」

「でしょうね」

『だろうな……貴女のような見るからに強くなさそうな人間の娘が魔王の座に立ったと知れるや、これ幸いと貴女を殺して新魔王に名乗りを上げようとするもので魔王城の周りは溢れかえることであろう』

「うっわぁ、なんたる殺伐とした絶望の未来……」

「……となれば、道は一つですね」

 もうこれ以外にないと、重々しく頷いて私達に一つの道を指し示す。

 絶対的な意見を出してくれたのは、賢そうなお顔のメルクリウス君で。


「魔王陛下を蘇らせます」

「それが出来るんなら最初っからやれよ!」


 私は多分、言って当然のことを言った。

 だけどメルクリウス君も瀧本さんも、どこか困り果てた顔をするばかり。

「簡単に実行可能であれば、私もそうしています」

「つまり、簡単じゃない……けどやろうと思えばやれるってことだよね」

 首を傾げる私に、瀧本さんがそっと囁いた。

『吾の肉体と魂は、ほぼ分離してしまっている。この状態で蘇生を行うとなると……怪我も治さねばならんが、途切れかけた魂の緒を繋ぎ直す触媒が必要だ』

「触媒、とな」

『ああ。その調達が難しい。だからメルクリウスも、ああも難しい顔をしているのだ』

「ところで触媒ってなに。マヨネーズを作る過程で生まれるエマルジョンみたいな……?」

『違う。そういう台所の豆知識的なナニかではなく、もっと魔法っぽい必要素材のことだ』

「……何が必要なんです?」

『世界樹の樹液』


 蝉か。


 一瞬、そんな言葉が胸をよぎる。

 樹液ってなんだよ、あの樹液ですか? カブトムシやクワガタがチューチュー啜ってるやつ?

 聞けば世界樹ってのはその木一本で世界を支えているらしい。いやいや木一本にそんな大役押し付けるなよ。大変だろ、木が。その木一本に任せて寿命がやってきて倒壊でもしたら終わりじゃないか、世界丸ごと。イロイロと言いたいことが胸の奥から湧き上がるが、一応空気を読んで個人的な意見は封印した。

 まあ、とにかくよくわからんが、この世界は一本の木に世界の命運を託しているらしい。天地を貫いて存在していて、てっぺんは天の国、根っこは地底の死者の国と繋がって支えになっているんだとか。

 つまり、世界樹っていうのはこの世とあの世を一本で繋ぐど根性の木。その樹液には世界樹の天地や生死の世界を繋ぐ力が凝縮されているとか、なんとか……?

 うん、よくわからん。

 意味はさっぱりわからなかったけれど、とにかく損傷した魂の緒やら肉体やらを修復するのに絶対必要な材料だとのこと。それだけ理解してれば充分だろう。

『世界樹の樹液は採取したその場で加工せねば、わずか数分で琥珀になってしまう。しかも世界樹そのものも下位の女神達が管理しているため、魔の者には容易に近づけない』

「わー……聞いてるだけでファンタジー。なんだか凄く高難易度のミッションっぽく聞こえるのは気のせい?」

『気のせいも何も、間違いなく高難易度のミッションに他ならぬ。樹の生えた場所もこの国から三つ離れた大陸と、距離的にも厳しい』

「……念を押して聞きますけど、それさえあれば瀧本さんは復活できるんですね?」

「ええ、間違いなく。ギリギリのところで処置が間にあいましたから、一年以内なら復活させられます。ですが一週間後の戴冠式に間に合わねば……」

『空位となった魔王の座を争って、魔の者の間で戦が勃発するであろうな。それもいわば戦国乱世、群雄割拠の時代が始まりを告げるであろう。そして私を打ち取った貴女は……当然、巻き込まる」

「うーわーあー……私、詰んでる! ものすっごく詰んでる! 改めて聞くとなにこの押し寄せる絶望!!」

 だけどそもそも、私が瀧本さんを殺してしまったということもある。

 しかも瀧本さんは、善意から私を助けてくれようとしたのに……だ。

 きっと、その責任は取らなくっちゃいけない。何より私自身の手でけじめを付けて……例え魔王がどうのという事情が絡まなくったって、私が殺してしまったなら私が復活させるべきだと心のどこかで声が聞こえたから。

 だから、私は。


「………………うぅ、わかった。その樹液、私が取って来る! 取ってくれば良いんでしょ!?」


 これが私の、ケジメのつけ方。

 そうして、これが私の旅立ちだった。


 右手に金属バット、背後に私を心配した魔王瀧本(霊体)を従えて。

 目指すは三つ離れた神聖大陸、情報によると神々の本拠地(!?)。

 魔族さんは生きたままじゃ近寄れないって言うから……だから私と瀧本さんで、行ってくるよ!


 世界樹の、樹液を手に入れる為に!


 ちなみに他に必要な材料はメルクリウス君が手配してくれるらしい。

 まだ小さいのに有能だね、メルクリウス君。

 どうも魔王の瀧本さんに仕えてるっぽいけど児童就労って労働基準法どうなってるの、瀧本さん!

「あ、採取した樹液はこの瓶に入れて下さいね。時を止める魔法が掛かっているので、この瓶に入れておきさえすれば琥珀化するのを防げます。それから移動手段には陛下が直々に調教した高速飛龍を付けますので。なに、難儀はしますまい。陛下(霊体)さえ側にいればちゃんと命令を聞く筈です」

「メルクリウス君、何から何まで有難うございます……こんな撲殺犯の為に、旅立ちの準備から路銀の世話まで本当に」

「なに、かつて息子達が修行の旅に出る時にも同じことを世話しましたからね。慣れていますので」

「息子!? え、メルクリウス君何歳(いくつ)!?」

 どう見ても小学生にしか見えない男の子が、息子持ち!?

 ぎょっとする私に向けられるのは、意味ありげな微笑みだけ。

 疑問への答えはもらえず、別の話題に逸らされる。

「武器はその金棒があれば大丈夫ですね。魔王陛下をも討ち取った逸品の様ですし」

「金棒……いや、これただの金属バットなんだけど」

「陛下を撲殺した後、確認しましたか?」

「……そういえば罪の意識に苛まれてちゃんと見てn………………なにこのペイント」

 メルクリウス君に促され、右手に握ったバットをチラリ。

 一回見た後で、思わず二度見した。


 私の持っているバットは、孝君のバット。

 確かに最近痛い行動が多いけど……流石にバットにペイントとかはしていなかったはず。

 なのに、今。


 私が握ったバットには、赤と黒で荊模様が踊っている上に……気のせいじゃないなら、なんか仄暗く光っているような。


「仮死止まりとはいえ、魔王を殺した武器ですからね。殺した時点で『魔王殺し』の称号が付きます。その効果と、それから魔王の血を浴びたことで特別な力が付随しているはず。今のそれは貴女の知る元々の金棒ではなく、『魔王殺し』の力を持った金棒という事です」

「何それ超強そう」

 どうやらバットは瀧本さんを撲殺したことで超☆バットに進化したらしい。

 今ならこのバットで大概の困難は薙ぎ払える筈(物理)だと、メルクリウス君が教えてくれた。

 本当かどうかと疑う訳じゃないけど、このバットでどこまでやれるだろう。

 困難を助ける一助になりますように……力を貸して、孝君。

 瀧本さんを助けたいというメルクリウス君の思いと、孝君に支えられて。

 私は苦難を覚悟で旅に出た。

 魔王を復活させる、その為に。

 世界樹の樹液を手に入れる、その為に!





・登場人物・


内藤 絵麻

 行動力(物理)溢れる女の子☆

 手にする獲物は金属バット(ロンギヌス)(魔王退治の得点で固有武器化)。

 基本的に障害を薙ぎ払って前に進む本性が危機的状況で発揮された結果、魔王を撲殺する。

 悪気は、悪気はなかったんだ……!

 魔王を蘇らせる為、一週間以内に世界樹の樹液を取ってこいという無茶ぶり冒険の旅に出ることに。

 自覚はないが順応力高め。


瀧本 清春

 前世の世界から嫁を召喚する為に先代魔王を倒した新魔王。

 だがしかし本懐を遂げる前に親切心が仇となって絵麻に撲殺されてしまう。

 ぎりぎりでメルクリウスの処置が間にあった為、実は完全に死んだわけではない。

 肉体の損傷と切れてしまった魂の緒を何とかしない限りは復活できないので、今は幽霊の身の上である。

 名前から察せられる通り、前世は地球の日本人だった。

 現世では誰も名前を付けてくれないから、前世の名前を名乗っていたら定着したとのこと。

 召喚魔法の研究をしていたが、他の魔法に関しても研究論文などを書いたことがある(研究者気質)。

 物理攻撃力より魔法攻撃力高めだが、幽霊の今はどっちも何の役にも立ちはしない。

 絵麻は知らないが、深夜になると天の使い(死神)と気力を振り絞った死闘を演じていたりする。


メルクリウス

 外見はゴス系ショタにしか見えない夢魔の宰相閣下。瀧本に忠誠を誓っている。

 実は実年齢と外見年齢は大きく違う上、本当の姿はショタじゃなかったりする。 

 だが嫁が少年趣味(ショタコン)で、結婚前に少年の姿でい続けることを誓って一緒になった。

 その誓いは嫁がこの世界に存在している限り効力を持ち、本当の姿に戻っても短時間で少年の姿に強制変化させられてしまう。

 奥さんは何百年か前に先立っているのだが、まだ魂はこの世界にいる、つまりは生まれ変わってくるはずと嫁の転生を手ぐすね引いて待ち構えている。

 ちなみに嫁さんが「もう良いよ!」と言えば誓いを破棄することは可能。

 嫁の執念か、子供も孫も男しかいないので女の子(絵麻)の世話を焼くのは新鮮らしい。


孝くん

 本名:三枝(さえぐさ) (たかし)

 うっかりぐれてはみたものの、本質は寂しがり屋の甘えっこ。

 最近ねえちゃん(絵麻)が構ってくれなくて寂しかったらしい。

 しかし目の前で絵麻が消失するという不思議体験に遭遇し、度肝を抜かれる。

 必死に彼女の姿を探すが見つからず、部屋に引籠るようになる。

 ……そんな彼が、ある日、どこかで見た金色の光に包まれて異世界へと呼びこまれることになるのだが……それはまた、別のお話。



 初っ端から魔王(ラスボス)が撲殺されているという謎の開始を告げた今作品。

 暴力ヒロイン(物理)たる主人公が魔王の血を浴びた金属バット片手に築くのは、果たして覇道か魔道かはたまた別の道なのか。

 彼女達の冒険は、まだ始まったばかりだ。


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