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Ep10

俺は蘇光剣を奪うために、雪乃との間合いを詰めにいく。

だが、もちろん雪乃はそれを阻止するわけで……。


「うぉお!?」

雪乃が振り下ろした、剣戟が俺のすぐわきを通り越して、地面を砕く。

この廃墟ステージでは建物のみならず、今俺たちが立っている地面でさえ朽ちている。

蘇光剣によるその衝撃は地面を唸らせ、地表を深く掘り下げる。

衝撃地点から同心円状に広がっていく崩壊が、バックステップで距離を取ろうとしていた俺の足元にまで到達し、遂には半径二十メートルほどの範囲全てを陥没させた。

大量の砂埃が舞い、雪乃の追撃までに空いた少しの時間を使って俺は思考状態へと入る。

 

――今の衝撃。

確かにとてつもなかったが、違和感を覚える。

今の斬撃もそうだが、雪乃の剣が廃塔最上階で見た時よりも荒々しく、力任せになっている気がするのだ。

そう。俺が蘇光剣を落とした後、塔の入り口で受けたあの一撃から……。

今までの雪乃の剣閃では俺を衝撃が襲うことはなかった。

なのに、あの時から、雪乃の太刀筋にブレが生じ始めている。

おそらくは、俺の失態によって、雪乃が俺に対して怒り、不信感を覚えたことが原因だろう。

剣士にとってその一振りに感情の乱れは許されない。

ましてや、雪乃ほど剣閃がきれいすぎる剣士にとっては、僅かな亀裂が入ることで、その全てに狂いが生じる。

それがさっきから受けている荒々しい力任せの剣戟であって、雪乃の剣が遅く、さらに見切りやすくなっている原因だ。

 

――雪乃が立ち直る前に決着をつける。

 

砂埃が収まると、そこにはバラバラに散乱した瓦礫の山が……、いやその瓦礫すら形を残さず粉砕され、全てが砂となって地表に堆積していた。

このまま雪乃に近づいていった所で、状況が変わることはない。

雪乃の剣がぶれているとはいえ、先程使った戦術が二度通じることはないだろう。

 

俺は雪乃の方へ、ではなく雪乃から離れるように、突如現れた巨大な円形クレーターから建物の残る方へと抜けていった。

廃墟の間の路地を幾重にも曲がりながら、雪乃の追尾から逃れる。

そして、既に跡形もなく消された廃塔とはまた別の、直径一メートルほどであろう電波塔跡らしきものの影に息を潜める。

 

電波塔は工場を貫くように生えていて、俺は今工場の屋上、そして電波塔の影から雪乃の姿を探している。

俺が一息ついたのも束の間、雪乃が俺の来た方向から現れた。

 

――早い! 

俺がこの場所に来てから数秒しか経ってないっていうのに。

確かに俺は雪乃をまいてきたはずなんだが……。

もし、雪乃に俺の位置がばれていたら、この奇襲作戦、つまり電波塔を崩し、雪乃の近くに転倒させ、そのスキをつこうという作戦が失敗に終わってしまう。

しかし、俺の視界に現れた雪乃はこちらの方を睥睨したかと思うと、すぐにその姿を消してしまった。

雪乃が何を思ったのかは分からない。

だが、今の内だ。

今の内に電波塔の基礎に裂け目を入れておく。

既に朽ち果てたその壁は拳を打っただけで、いとも簡単に崩落し、基礎部分以外が砂塵となり、宙を舞っていく。

この廃墟ステージでは常に微弱な風が待っているため、舞い散った砂埃が拡散され、地表の至る所へと飛んでいく。

 

俺が下準備を済ませ、再び雪乃の姿を見つけんとばかりに眼を凝らしたその時、刹那、体が浮き上がるほどの衝撃を足元に感じ、地面が、工場の屋上が砂塵へと変貌する。

当然その上に立っていた俺は階下に落ちるわけで……。


「がは……っ!」

落下ダメージによって俺の体力ゲージが五割を切る。

もう残りが僅かしかない。

残り四割になった時点で俺の負けなのだ。

俺はすかさず状況を把握しようとするが、思考状態に入る直前、不自然に舞う砂埃の様子が目に入る。


「く……っ!」

俺は足で地面を蹴り飛ばし、体を後ろに投げ捨てる。

俺のいた場所から更なる衝撃が走る。

雪乃の剣戟。

その一撃はまたしても地表を打ち砕き、半径二十メートル以内のあらゆるものを砂塵へと変える。

ギリギリのところで、耐えきった俺は、なぜ雪乃に自分の隠れている位置がばれたのかを考える。


その答えはすぐに出た。


こちらに向かって歩いてくる少女。

その足元には彼女が残した足跡が深く刻まれている。

廃墟ステージでは常に吹く微風。

雪乃が地面を打ち砕いた時に舞い散った砂塵が風に乗り、ステージ全体を深く覆っていたのだ。

雪乃は俺が付けた足跡から敵の居場所を割りだし、逆に俺を奇襲した。

 

流石は成績上位者ってとこだな。

いくら感情が揺れていても戦術をその場に合わせたものに変換できる。 

俺が迫りくる、雪乃に冷や汗をかいたその時、雪乃が我に返ったかのように言う。


「なんかちょっとやりすぎちゃったかも……。色々と話したいことはあるんだけど、今は戦ってる最中だもんね」

 

大きな深呼吸雪乃の表情に再び冷静さが宿る。

そして、その手に握られた蘇光剣を天に翳す。

剣に光が宿り、その光がステージ全体を覆っていく。


徐々に強くなる眩しさに手で目を覆っていた俺が目にしたのは街。

中世ヨーロッパを彷彿させる最新施設の整備された街だ。

 

俺はステージの変わりように口を大きく開ける。


「も、もももしかして雪乃が廃墟ステージを回復させたのか?」

「回復……? まあ、回復みたいなものだね。わたしね、廃墟ステージってあんまり好きじゃないんだ。だって寂しいから。あなたは結局一人なんだよって宣告されてるみたいで……。でもね、このステージは変われる。蘇光剣の光でこんなにきれいな街になれる。なんかその姿が人にも通じるんじゃないかって思うの。だからあんまり好きじゃない。……わたしはこんなにきれいには変われなかったから……」


最後の方は声が小さくて聞こえなかったが、雪乃が言おうとしていたことは心の奥で理解できた。


「あぁ、確かにそうだな。人の生き様か。本当に果てしなく出来事は起こり続けていく。その事象をそれぞれの人がどう受け取るかでも差異が生まれるんだろうな。でもさ、雪乃、雪乃は一人じゃないよ。俺が、俺はいつまでも雪乃のそばにいるから……」

 

友達と、仲間とはずっと一緒にいたい。

そういう俺の思いだった。

だが、それを聞いた雪乃は何故か頬を赤らめ、俯いてしまう。

また何かミスを犯してしまっただろうか。

もしそうなのであれば早急に気付き、対処しなければならない。

だが、思い当たる節もなく、目の前の少女が何か仕掛けてくる様子もない。

 

ひとまずはセーフってことかな? 

と頭の中で呟きつつ、俺は勝負の行方を思案する。

 

――雪乃は既に冷静さを取り戻している。

もう襲ってくるのは力任せの剣戟ではなく、研ぎ澄まされた剣閃だ。

この状態の雪乃から剣を奪取しなければいけない。


そして、ステージすら変化を遂げた今。

この戦場でどんな攻防戦が始まるというのか。

次こそ、作戦を成功させないとな……。

 

雪乃が剣でエックス字状に宙を薙ぐ。

この中世感溢れる近未来的都市での戦いの合図が撃たれた。

 

雪乃の剣閃から逃れるように博物館らしき建物内へと逃げ込む。

ステージが廃墟ではなくなったため、雪乃の一閃で建物が崩れ落ちることはなくなった。

そのため、剣を振れる範囲が狭まる建物内の方が有利だと俺は考えたのだ。


博物館内には様々な彫刻が展示している。

大きな門の彫刻や、弓を引く男の彫像が所せましと立ち並ぶ。

 

俺が状況を把握すると同時に雪乃の剣が閃いた。

しかしその剣閃が捉えたのは俺ではなく、無数に立ち並んだ彫刻群。

根元からきれいに切られた彫刻は台座をその場に残し、無残にも地面へと転がり落ちる。

それは俺と雪乃を分けるようにして聳え立っていた門も例外ではなく、大きな衝撃音を響かせ地面に倒れる。


雪乃って意外とアグレッシブなところあるよなと思いつつ、目の前が晴れた俺は、今の剣閃で生まれたスキを突くため、雪乃に向かって駆け出す。

 

雪乃のその無防備な体に手が届く――そう思った瞬間、目の前に巨大な何かが立ちふさがる。

ギリギリのところで急ブレーキをかけ、衝突ダメージを回避した俺は、衝突ダメージすら受けることのできないこの厳しい状況を嘆く間もなく、妙な危機感を感じ、思いっきり体を地に伏せる。

刹那、巨大な障壁が二つに切り分けられ、俺の真横に崩れ落ちる。

 

門だ。

先程雪乃の切り倒した門の彫刻。


雪乃は初めにこのフロアにある全ての彫刻を壊した。

タイミングを見計らって、再びその場で復元させ、相手の攻撃をいなすために。

そしてまた、そのスキに相手に一閃を与えるために。

 

さっきは運よく地に伏せたことで躱すことができたが、この状況は雪乃に分がある。

どうにかして、あの剣を奪取しないといけない。

無数に倒れた彫刻。

雪乃の作戦。


「あとは運任せだな」

決して投げやりになっているわけではない。

むしろ全身全霊を注いで機会をうかがっている。


お互いに摺り足をしながら、円周上を回るように、動いていく。

俺の目的地まで到達したとき、雪乃の我慢に限界が来たのか、雪乃が攻めに転じた。

俺の方へと駆けてくる。

残り三歩で俺が間合いに入るというところで、俺は足元に落ちていた、弓を持った男の彫像を雪乃に投げつける。

当然雪乃はそれを剣で薙ぎ払う。


今度は故意的な一戟によって地に跳ね返された彫像が衝撃音をあげる。

しかし、その時既に俺は動き出していた。

彫像を投げると同時に自分自身も雪乃に向かって走り出していたのだ。

雪乃はその時ちょうど俺たちの間にあった先ほどの門を復元させる。


そして一閃。


しかしその一閃が俺の体を横切ることはなかった。

雪乃は崩れる門の向こうに目を凝らす。

その視界には俺の姿は映らない。


「上だ!」


なぜなら、俺は雪乃の上方にいたから。

 

門が復元されると同時に、床に落ちていた彫像を踏み台にしてジャンプ。

さらに門を蹴り、上方への力を加速させる。

復元と一閃までの僅かなクールタイムの間に、門の最上部に手をかけ、ありったけの力をこめ体を一気に上昇、そして一閃をギリギリのところで躱す。

そして、戸惑っている雪乃の上方に出現、そのまま雪乃の剣を手から振り払い、ピックアップ。

 

俺の手に蘇光剣が握られる。


「これでゲームセットかな?」

「…………」

「アウェイク・コアを遠隔で使えるったって、唯一の攻撃手段でもある剣を奪われたらもう戦えないだろ?」

「素手でわたしが戦うって言ったらどうするの?」

「……………………ッ!」

 

そんな手が残ってたのか! 

剣さえ奪ってしまえばって思ってたけど、素手でこられたらどうしようもないじゃん! 

素手での戦いなら俺が有利であることには変わりないんだが、俺……手出せないしな、女子には……。


「はぁ……。妙なところでおっちょこちょいなんだから。……でもまさか、蘇光剣を、アウェイク・コアを奪われちゃうなんてね。こうなったら能力は使えても剣で戦えないし……。うん、こうじくん、降参です」

 

雪乃は全てを癒すような笑顔を浮かべてその言葉を口にする。

 

俺は改めて雪乃がアウェイク・コア本体と距離が離れていてもその能力を使えること――後に聞いた話では普段も遠距離通信によって、アウェイク・コア本体を身に着けていなくても、連絡機能等を使うことができるらしい。オリジナルアウェイク・コア恐るべし……――に対して感嘆するとともに、この笑顔をずっと見ていたいなと思ってしまう。

 

だが、俺には彼女がいる。

正確には兄貴の彼女なのだが、今は俺が光司であって、兄貴なのだ。

兄貴ではないことが雪乃にばれかかってしまったのは少し、考え不足だったが、結果として勝つことはできた。

 

コロシアムの後、雪乃と別れ控室に戻った俺は、シャワーを浴び、着替えを済ませた後、勝利の感慨に包まれながらその場で深い眠りに落ちた。



「んな……」

金髪の少女、水無月琴子は唖然とした顔でコロシアムを見る。

今の戦い……雪乃と元学年一位の最強と謳われる能力者、小鳥遊光司との戦いの決着を琴子は見届けていた。


「嘘でしょ……?」

確かに、砕刃や、他の生徒を、能力を使わないで倒した事は知っていたけど……。


「いや、でもユキノよ……?」

琴子は以前、雪乃と数回手合わせをしていた。

一応、二勝一敗と勝ち越してはいるが……それでもステージの状況等での噛み合いもあり、雪乃の強さを琴子は充分に理解している。


「いや……正直アイツが勝つ事は分かっていたけど……能力を一切使わないで……?」

琴子は最初に光司と話した事を思い出していた。

 


――おお! すげえよ光司! お前学年一位なのか!

――すごい! 光司くん! 私にも戦うコツとか教えてよ!

 

あたしの前の席の男……小鳥遊光司は沢山の生徒に囲まれていた。

あたしとは対照的な態度。

周りに対して常に一歩距離を置くあたし、周りにすっと溶け込み自分の居場所をそれとなく、しかも高い位置に作り上げる男。

アウェイク・コアによるコロシアムでの戦い……、その戦いをこの男は今まで難なくと倒し、見事学年一位という立派な成績を出していた。

……といっても、あたし自身は戦いを生で見た事は無いが……。


「まあまあ、一位と言っても実際に一番強いかってのはまた違うしね」

……とこの男は言う……が、実際内心は思って無さそうだ。

……こういうやつは表情で分かる。

だいたい顔に自身が満ち溢れているのよね。

まあ、それもそうか。

勉強もスポーツも万能、おまけに顔もいいって言われてるんだし……。


「えー、でも光司くんに勝てる人なんていないよー」

……なんてチヤホヤされちゃって。

彼女いるんじゃないの?

それでもそんなにモテるの?

このナルシストにどこに魅力があるのやら。


「ねぇ、琴子さん」

ナルシストが、後ろを振り返り私の机に手を置いてきた。


「な、なによ……」

「琴子さんさ、確か学年でも四位だったよね? 僕と一度お手合わせ願えるかな?」

う……なんか四位って言い方がやたらムカつく……いや、ペースに乗ってはダメ。

でも、戦ってみたい気持ちはある。

最強と言われるこの男と一度は戦って見たかった。


「別に……いいわよ」



――過去のことを思い出し、ため息をつく。


「はぁ……まあ、どうでもいいけど……」

その戦いで圧倒的な光司の強さを知っていた琴子にとっては、いくら雪乃が強いと言っても、自分と同じぐらいの実力者であり、光司に勝てない事は分かっていた。

 

だが、それでも能力を使わないで雪乃を倒す事なんて無理に等しい。


「ったく、強い奴ってのはどこまでも強いのね……」

琴子は観戦していた席から立ち上がり、出口へと向かう。

だが、その途中『選手控室➡』の看板が目に入り……。



――――。


「すごいです……!」

「ん?」

大柄な少年、剛毅と小柄の少年、空はコロシアムと控え室をつなぐ廊下を歩いていた。

「いや、能力を使わないであの雪乃さんを倒しちゃうなんて……尊敬です……」

「はは、そうだな……まあ俺の時もそうだったなー……」

「そうなんですか?」

「え、あー、まーな……やっぱ学年一位ってのは違うね……」

そんな事を話し歩いていると、向かい室の前に一人の少女、古海柚香がいた。


「ん! 彼女さんじゃねーか」

「あ、剛毅くん、それに空くんじゃないですか」

「お、よう!」

剛毅と空は手を振り光司がいる控え室のドアの前に行く。


「ああそうだ、この前は光司くんと戦ってくださってありがとうございます」

柚香は頭を下げて礼をする。


「いやいや、俺の方こそ……いい経験になったしな……ってか空と知り合いなのか?」

「そうですよ、同じクラスですし」

「いやいや、知り合いだなんてそんな……勿体無いお言葉を」

「どういう態度だよ」

「それにしても、光司くん出てこないんですよね……呼んでも返事無いし」

「マジか……寝てんのか?」

なんて会話をしていると、もう一人、人がやってきた。


「ん? ユズカに、砕刃に……向井?」

琴子が三人の元にやってきた。


「お久しぶりです、琴子さん」

柚香が丁寧にお辞儀をする。


「ってあれ? なんで俺の名前を?」

剛毅が琴子に尋ねる。

剛毅からすれば、学年topクラスの琴子を知っているが、何故自分の名前を知っているのか不思議だった。


「別に……一応一年の名前と顔は一致しているわよ……」

「マジか!」

「私なんて合計で六十も知らないですよ!? なのになんで無口で有名な琴子さんがそんなに!」

剛毅と柚香は驚いたような、おちょくるような顔で琴子を見る。


「アンタね、なんでなんて知ってるくせに……。それと流石に六十は知らなさすぎでしょ。それより……皆、アイツ待ち?」

「ん? ああ。あ、そうだ名前はもう知ってるぽいけど、よろしくな」

と そう言って剛毅は笑顔で手を差し出す。


「え、ああ……よろしく」

砕刃剛毅という人物が思っていたよりいい人そうなのに琴子は驚いたが、握手を交わした。


「にしても、琴子さん……もしかして光司くん待ちですかー? まさか惚れ……」

「何言ってるのアンタ……それより遅いわね、もう二、三十分は経ってるのに」

琴子が苛立ちを見せた時、控室前に凛とした声が響く。


「あ、柚香ちゃん達」

雪乃が剣型のアウェイク・コアを袋につつんだ物を背負い、柚香達の元へやってきた。


「なんかどんどん人が集まってきますね……あ、雪乃ちゃんお疲れ様です」

「ったく……アイツも人気者だなあ……」

雪乃は部屋の前まで来ると袋を壁に立てかけた。


「いやー……負けちゃった……。やっぱ強いなあこうじくんは……コア無しで勝つなんて」

雪乃はしてやられたかの様な顔で話す。


「……まあ、私も負けましたし……」

柚香が意味ありげにこぼす。

それに呼応して琴子もうなずく、嫌々と。


「それにしても、遅いですね」

空がドアを見ながら話す。


「カギが閉まってるし中にはいると思うんですけど……やっぱ寝ちゃいましたかね」

「こーうじくーん、起きてくださーい」

そうして数分間、皆して呼んだ後、ドアが開いた。


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