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血と復讐のヤルマール  作者: しのみん
新たなる希望
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ペルーの湯

ペルーの湯とは文字どおり俺たちの暮らす街、ペルーで経営している中で一番人気の高い銭湯である。


何種類もの湯があってそれぞれ効用が分かれている。

神経痛、筋肉痛、関節痛に五十肩、冷え性なんかにも効果覿面!


ハンターだけでなく、戦士やサラリーマンなんかも癒しを求めてここの温泉にやってきて日頃の疲れを回復する。


ハンターはクエストに行く前や帰ったあとにペルーの湯に立ち寄って戦闘準備したり宴を開いたりするのだ。


「あぁ〜癒されるんじゃ〜〜」


やべぇ。気持ちよすぎだわこの風呂。このまま寝てしまいたい‥‥‥


「大袈裟だなぁ。レオト君は。スライムと戦っただけじゃん」


隣で湯船に浸かるダンゾウが微笑みながら言った。


「うるせぇなぁ〜日頃の疲れが溜まってんだよ」


てかこいつ、やはり俺の想像通りマッチョだった。ムキムキじゃねぇか!

一体今までこの男、何をして鍛えていたんだ。


腹筋は6つに綺麗に割れてやがるし、大胸筋もガッチリしていてかつ背中も引き締まっている。


「おめぇ、良い身体してるよな‥‥」


自然と口から出た一言。


「えっ、何?ホモなの?キモいんだけど」


「そういう意味じゃねぇよ!被害妄想強すぎだろ!」


だいたいこいつは何かズレてるっつーか、天然というのか。


「ほ、ホモォ‥‥」


「うるせぇなぁ」


いやしかし、ここの露天風呂から見えるナダル山の景色は絶景だな〜

あそこが俺たちの職場にもなり得る場所なのだがな。


きっとモンスターまみれ。


なんたる皮肉。


みんなが綺麗だと言う夜景はサラリーマンの残業でできている。みたいな。


「なぁ、ダンゾウ。俺たちのパーティってハンターとしてどうなんだろうか?」


こんなポンコツパーティとかマジで俺たちぐらいなんじゃないのか‥‥まぁまだ何もしてねぇようなもんだが。


「ん〜最初はみんなこんなもんなんじゃない?やっぱりクエストを少しづつ着実にこなして、コンビネーションも技術も徐々に高めて強くなるんじゃないの?」


おぉ〜たまには良いこと言うじゃねーかこいつ。


「そうだな。またメンバーも増えるかもしんねぇし協力プレイでいこうぜ!」


「協力プレイ‥‥‥何それホモなの?」


「お前はまずホモから離れるところから始めろ!」


山があるからか山彦のように俺の怒号はこだまして幾重にも響き渡るのであった。



ーーーーマナーーーー


なかなかネバネバと臭いがとれない‥‥洗いまくるしかない‥‥!


私は顔をしかめながら備え付けのボディソープやシャンプーで身体中を泡まみれにしてゴシゴシと洗ってゆく。


「大丈夫?」


後ろから聞こえた声が自分にかけられているのか一瞬わからなくて動揺するも、振り返ると綺麗な長い黒髪が特徴的な自分と同い年くらいの女の子が立っていた。


「え、ええ。まぁ‥‥」


あんまり気を使わせたくなかったから少し強がって返事をした。


「だって身体がスライムでまみれてたし‥‥‥君ハンターなん?」


そう尋ねながら私の隣の洗い場に腰を下ろした。


「うん。まだ駆け出しなんだけどね」


「ほんまに!?ユノと一緒やん!」


ユノと名乗るその女性はとても嬉しそうに目をキラキラさせていた。


私はちらりと彼女の胸元から見える乳房に思わず目を取られる。


え?ち、ちょっと待って。おっぱいでっか!


よく見るとスタイルめっちゃ良くない!?


「ユノな、ソロハンターやねん。その分報酬とかはええんやけど、やっぱり仲間っていいもんやと思うわ〜でもこの街ってハンター少ないから諦めとったんや」


不意に自分の身の上を語りだすユノに少し戸惑ったがなぜか親しみやすい雰囲気を醸し出す彼女に私も微笑みかけた。


「だったら私のパーティに来ない?男ばっかりでちょっとやり辛かったんだ」


ポンコツしかいないから助けてほしいなどと言えるはずもなく、話の流れで勧誘してしまった。


「ほんまにいいん?」


「もちろん。私のパーティで良かったら」


ユノは体ごとこっちに向き直って私の手をギュッと握りしめながら言った。


ユノの体が至近距離に近づく。


近っ!胸が当たりそう‥‥


「これから、よろしくお願いします!」


「こちらこそよろしく!私、マナって言うの」


少々自己紹介が遅れてしまったがユノは気にせずハイテンションで鼻唄を歌っていた。


「でもスライムまみれになる女の子がおるんなんてな〜ユノはソロやけど遠距離攻撃やから。前衛なん?」


ひととおり身体を洗い終えて一息ついたところで2人は湯船に浸かり言葉をかわす。


「ユノちゃん遠距離型なんだ!接近戦するのかと思ったよ〜私も一応は後衛なんだけどね‥‥ちょっとトラブルで‥‥」



ソロだとスライムが他人の剣撃で吹っ飛んでくるという事故はまず起きないだろう。遠距離ならば尚更。


「ユノでええよ。ユノもマナって呼ぶから」


ユノはなんだか私よりもずっとたくましく思えた。ずっと1人で戦ってきたからかな?

そんな彼女がともに戦ってくれるというのは本当に心強い。


あとでレオトとダンゾウにも紹介しないと。


「ユ、ユノはさ、ハンターの階級とかどれくらいあるの?私たち全員ブロンズ級Level1なんだ〜あはは‥‥」


うわ〜恥ずかしい〜ブロンズ級Level1とかハンター界の底辺だし‥‥


「ん?階級?ユノはシルバー級のLevel5ぐらいやったかな〜」


「シルバー級!?」


え、ええ!?何それ!?全然新米ハンターじゃないじゃん!


「そんな!勿体無いよ!うちのパーティゴミだよ?!クズだよ?!」


なんかノリでめちゃくちゃ言ってる気がするがそんなことはどうでも良い。


「ええんやで。どうせ階級なんて今まで積み重ねてきた見せかけの称号なんやから。大事なのはなぁマナ、己の実力とコンビネーションやで。ユノ1人よりも4人の方が強いに決まってるやん!」


いや、こんな良いように言ってくれたけど多分私たち3人はユノの足を引っ張るだけなんだろうなと思う。


「ありがとう。ユノ」


「こちらこそ」


ニコニコ笑いながら彼女は言った。優しくて強くてたくましくてフレンドリーなユノに勝てる要素が見つからない。。。

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