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ジューメの後を追っていくと、崖縁の岩壁に、ポッカリと空いている洞穴へ入っていった。二人も後に続き、中に入ると辺りを見回す。保存食や刀、剣、竹筒などが乱雑に置いてあった。
「オレの拠点だ。とりあえず今日はここで休むが、明日は朝からここを出る」
麻袋の中に荷物を入れながら、ジューメはユーに向けて手招きをした。ユーは戸惑いながらも彼に近寄り、それを見たジューメはそばにある壺を手にしてユーを座らせる。ズボンをめくりあげ、靴をそっと脱がせると、ユーはわずかに眉を寄せた。
「安心しろ、この薬はよく効く。……明日にはこの火傷も治っているだろうよ」
ジューメはユーの火傷に軟膏を置いて行きながら、ヴェントのことも手招きをした。彼はそれに大人しく従い、チョコンとユーの隣に座る。
「お前も、頭に塗っておくぞ。髪がべたつくだろうが、我慢しろ」
「うん……」
二人に薬を塗り終えると、ジューメは立ち上がり、洞窟の奥の方へ入っていった。腕には果物や干し肉を抱えており、それを二人の前に適当に下ろす。
「食べろよ。オレが依頼を聞いたのが昨日だ、もしかしたらお前たち、連中から逃げた後、何も食べてないんじゃないか」
それは事実であり、それを認識すると、急激に空腹が襲ってきた。果物を両手で持って食べ始める二人にジューメは瞳を和らげ、自身も干し肉の欠片を口にする。
「……ジューメ、まさかそれだけ?」
「別に、オレは食べなくても平気だ。職業柄毎日食べられるとは限らないからな。いいからお前たちが腹いっぱい食べとけ、怪我もしているし、慣れない戦闘で体も疲れているだろう」
ある程度荷物をまとめ終えたのだろう、麻袋を端の方に置くと、今度は細身の剣の手入れを始めた。ヴェントはそれを横目で見ながら、リンゴを食べ終える。
「あとは好きにしていろ。……・ウィユ、お前は体を休めておけ」
「え?」
「戦う、って行為が初めてだったんだろ。知らない間に、体は悲鳴をあげているだろう」
ジューメに毛布を放られ、ユーは首をかしげながらも洞穴の壁に寄りかかるようにして目を閉じた。数分もしないうちに寝息が聞こえ、ヴェントはどこか心配そうにユーを見る。
「こんな子供が、あんなでかい力を使っていたんだ。疲れるのも当然さ。……風の竜人、確かヴェントと言ったか」
「うん。ヴェント=ラミティ」
「お前はこれから、どうするんだ」
ヴェントは、ジューメの言葉の意図を読み取れず、押し黙ると眉間に小さくシワを寄せた。ジューメは壁に寄りかかり、頭の後ろで腕を組むと、ため息をつく。
「オレが依頼を受けたとき、あいつらはウィユの情報は詳しく持っていたけど、お前のことは風の竜人だということしか把握できていなかった。……だから、ウィユはリ・セントーレに戻ることは出来なくても、お前は集落に戻ってしまえばあいつらに追われることはないだろう」
言われ、ヴェントは目を見開いた。俯き、無言のまま目を閉じている。




