表示調整
閉じる
挿絵表示切替ボタン
▼配色
▼行間
▼文字サイズ
▼メニューバー
×閉じる

ブックマークに追加しました

設定
0/400
設定を保存しました
エラーが発生しました
※文字以内
ブックマークを解除しました。

エラーが発生しました。

エラーの原因がわからない場合はヘルプセンターをご確認ください。

ブックマーク機能を使うにはログインしてください。
13/39

4-1

 翌朝目を覚ますと、ユーはまだ眠っており、ヴェントは彼を起こさないように立ち上がった。洞窟の外へ顔をだし、辺りを見る。周囲に人影は見えず、とりあえずホッと息をついた。

「ユーが起きる前に、何か探してみようかな……。せめて、川か池を見つけたいな」

 翼を開き、洞窟を後にした。その洞窟が小高い山の中腹にあったため、出ると目の前には森が広がっており、ヴェントは目を凝らしながらも木々の上を飛ぶ。


 ふと、日の光に反射するものが見え、地上に降りた。思った通りそこには小さな池があり、ズボンのポケットからハンカチを取り出すと水にそっと浸す。

「……ユー達が、何をしたって言うんだろう……」

 昨日の話を思い出し、ヴェントは目を伏せた。

 恐らく、ユーの髪が銀色になってしまったのは、大きなショックのせいだろう。彼はそれを吐き出すことなく、怯えるようにして生活をしてきた。その影響で髪色が抜け、それは未だ戻らないでいる。

「眼があってもなくても……ボク達と、変わらないと思うのに」

 反射的に、ヴェントは近くの木の陰に隠れた。微かにだが草を踏み歩く音が聞こえ、呼吸すら潜めて周囲に視線を走らせる。

 一人の、赤髪の男がそこにいた。等身大の剣をベルトで背にくくりつけ、腰ほどの長さがある髪を根元で一つに縛っている。頭髪と鋭い瞳の色からすると、炎の竜人だろうか。だが、鱗に覆われた太く長い尻尾と頭部に生える二本の角に、ヴェントは思わず彼を凝視してしまう。

 ふと、男がこちらに顔を向けたような気がして、ヴェントは再度木の幹に隠れた。逸る心臓を手で押さえつけ、深呼吸を繰り返す。

「……気づいているぞ、そこのガキ」

 その言葉が、嘘なのか本当なのか、判らなかった。だが、ヴェントは再度深く息を吸い込み、木の裏から出てくる。眼光の鋭いその男は、足先から頭のてっぺんまで、ヴェントのことを睨むように見ていた。

「……風の竜人。お前、仲間がいるか」

「……どうして?」

「銀髪で、黒い目の……お前より一つか二つ年下のガキだ」

「そんな男の子、知りません」

 ヴェントが言うと、男は口角を上げ、喉の奥で笑った。それにヴェントはきつく眉を寄せ、わずかに後ろへ下がる。

「自分から暴露しやがって。オレはガキとは言ったが、性別は一言も言ってないぜ」

 ヴェントは即座に翼を広げて空に向かったが、男もまた、空を駆けた。何の苦も無く追いつくと彼の足を掴み、そのまま地面に叩き付ける。低いうなり声を上げる彼の首を容赦なく掴み、立たせ、顔を覗き込んだ。

「本当に子どもじゃねぇか。気の進まねぇ依頼だな」

「いらい……?」

 舌打ちをしている男の手をどうにか剥がせないかと、ヴェントは出せる限りの力を込めて爪を立てた。男の手の甲からは血が流れ始めるが、それでも平然としており、ため息をつきながらも背の大剣に手を伸ばす。

「ま……悪く思うな」

 言い終る前に、男の背に何かが突進し、その反動で彼は倒れていた。手が緩んだ隙にヴェントは男から離れ、咳をしながらも、突進をしてきた者を見る。

「ユー! 来ちゃだめだ、逃げて!」

 顔を青くし、こめかみに青筋を立てたユーがそこにいた。

評価をするにはログインしてください。
ブックマークに追加
ブックマーク機能を使うにはログインしてください。
― 新着の感想 ―
このエピソードに感想はまだ書かれていません。
感想一覧
+注意+

特に記載なき場合、掲載されている作品はすべてフィクションであり実在の人物・団体等とは一切関係ありません。
特に記載なき場合、掲載されている作品の著作権は作者にあります(一部作品除く)。
作者以外の方による作品の引用を超える無断転載は禁止しており、行った場合、著作権法の違反となります。

↑ページトップへ