え、なにか問題でも?
思い出は少ない方が悲しくはないよな、そうだよな…だから泣くな、私は幸せだったから。
だから…最期は笑え。「…という、イケメンな私を題材にした物語を後世に残そうと思う」
「要らないですよ」
私は厩戸皇子こと聖徳太子です。自他が認める(自称)イケメンです。好きなものは…仏教とか言ったらイケメン?
なんだかんだ摂政やってるから一応偉いし、頭いいんだぞ。俗にいう優等生ってやつだ、あはは。
「死んでください太子さん」
ちなみにこの毒舌は冠位5位の小野妹子。ショートカットがよく似合う女顔の見た目は可愛い私のお世話係だ。
え、史実と違う?
…史実ってなんだよ?美味しいのか、それ。美味しいものは私にもくれよ。
「死んでください」
「妹子ぉー、怒るなよぉー、ちょっと暑さにやられただけ」
「そのまま殺られてしまえ」
なんか変換間違ってるよ妹子さん…あぁ、目から汗が出てきそうだ。まぁ、そんな私もイケメンなんだがな。「で、仕事は?」
「疲れた」
「あぁ、丁度よくここに刀がありますね。
太子さん、すっぱりとぐっさりどっちがいいですか?」
どこにあったんだよその刀。
「実はポケットから」
お前のポケットは四次元ポケットか。
えー、なんかやたらと輝いてるよそれ。妹子の目もやたら輝いてるよ…え、なに、これ。
「い、妹子っ。仕事、仕事やるから…あ、蔵からあのー…資料的なあれ、持ってきてほしいなぁ…なんて、てへ…?」
「気持ち悪い」
し、辛辣だ…!
こ、こいつできる…摂政の私をこれほどにまで愚弄するとは。
「…わかりました。では、僕が戻ってくるまでにその山、片付けてくださいね?」
「!…あぁ、わかった」
「終わってなかったら…この刀が真っ赤に染まりますから。あー、楽しみですね」妹子は時々怖い、いや、ほとんどといっていいほど私には冷たいし、厳しい…
「こんなの終わらないよー…」
目の前に積み上がった書簡の山…うわー、なんだろこれ。私がやる仕事の量じゃないよな、うん。
「終わらない、うん」
筆をおいて、伸びてみた。あー…なんか私がんばってるよー。摂政がんばってるよー。
…てか、妹子遅いなぁ。
「何やってんだ、あいつ」
はっ!
まさか摂政の私を差し置いて遊んでるんじゃないのか?!
庭にある滑り台とか、ジャングルジムとか、ブランコとかとか…エトセトラエトセトラ。
あいつ何気に公園にあるものすごい気にしてるからなぁ…うん。
「私も遊びたい…」
「ふざけたこと抜かしてんじゃねぇよ」……………うん?
「ふぇ?」
今、なんか地獄の底から聴こえるような声が…うん、きっと気のせいだ、うん。
「気のせいじゃねぇよ、なんで終わってねぇんだよ、えぇ?」
殺られる、確実に。
今振り向いたら確実に殺られる、私…死にたくないっ!
「い、妹子…っ」
「約束通り、刀が真っ赤に染まりますね、ね?太子さん、うふふ」
目がマジだ、こいつ。
ね、ほんとその刀どっから出てきたの?やたら切れ味良さそうなその刀。
「だから、ポケットからですって。」
お前のポケットは四次元ポケットか。未来の猫型ロボットもびっくりだよ。
「…さて、どこから捌きましょうか、太子さん?」
「っ…!
ま、待てっ!3分の1は終わったからっ!この量終わらせる時間なかったからっ!」
捌かれてたまるかっ。
私は摂政なんだ。たかだか冠位5位の妹子に負けてたまるか。私は摂政だぞ。
大事なことなので二度言いました。「おっい、芋公」
あ、声震えすぎてポリ公みたいな感じになっちゃった、てへ。
「はい、右腕いきまーす」
「ちょ、おま、って…ぇぇぇええっっっ!!」
こいつ、躊躇なく右腕狙ってきたよ?!仮にも私、摂政…っ。
「待て待て待てっ、早まる、っな…うわぁぁぁああ!!?」
「もぅ、動いたらうまく切れないじゃないですかぁ。」
「マジな目で可愛く言われても逆に怖いよ!」
目がほんとにマジだから。鏡見てみなって、ね、いい子だから、妹子さん。
「やっと捕まえたぁ☆」
「ひぃ!」
目の前には妹子がいる。
私の後ろには壁。
絶 体 絶 命
「い、妹子っ。話せば」
「わかりません、わかりたくもありません」
にっこりと笑い妹子は刀を振り上げた。私は覚悟をきめて目を瞑った。
「さよなら、太子さ」
「太子ぃー?いるぅー?」こ、この声は…!
「閻魔さんっ!」
「あれぇ、妹子もいたんだ、久しぶりっ!」
救世主、閻魔!
「閻魔ぁぁぁ!」
「あれ?太子どうしたのー?」
思わず閻魔に抱きつく。
「妹子ぉー?この子どうしたの?」
「仕事投げ出してたんで、ちょっと虐めてたんですよ」
虐め?!
あの生死を賭けた攻防が゛虐め゛の一言で終わるの?え、嘘。
「なんだぁ。
てか、太子を虐めるの楽しいよねー、虐めがいがあるってゆーか」
……………え?
「ですよね!
あ、ここにちょうどよくロープありますよ!」
え、なに、どこからだしたの。
「勿論、ポケットから。」
ですよねー。
「太子さん、こちょこちょ弱いですよね?特に項の辺り」
「ふ、ぇ…?」
「そうなんだぁ、太子。俺も太子で遊びたいなぁー」
「ちょ、閻魔…?」
あれ、これ、再び絶体絶命…?
てか、こちょこちょって。私だめなんだよ、死ぬほど弱いんだよ。泣き叫ぶぞ、イケメンが台無しになるぞ。
…って、ゆーか、
「ちょ、私…摂政だぞっ?!」
「「え、なにか問題でも?」」
短編書いたー、やったよ篠原。
初めまして?かな。
作者の篠原です。
閻魔とかいきなり登場ですみません、ごめんなさい、だから石投げないでそこの君。
一応設定は、
聖徳太子…ばかな優等生、M
小野妹子…毒舌な女男、ドS
閻魔…飄々としたイケメン、S
という設定があったんだ←
閻魔は小鳥遊くんシリーズの閻魔と同一人物だったりする。だって、閻魔様すきなんだもん。
太子と閻魔は友だち。
太子は妹子の玩具。
妹子と閻魔は親友。
…太子の立ち位置の低さ←
基本、太子は弄られ役です。
また、そのうち続き書きたいなとか密かに考えてる。