Chapter7
あれからも、加野の俺に対する反応は、全く変わらなかった。
要するに、気付かれなかった。
ホッとした反面、なぜか淋しい気持ちに襲われて、現在自己嫌悪中。
キスくらいでこんなに焦る自分が信じられない。
べつに初めてしたわけじゃない。
もっと深いのも、既に経験済みだ。今まで女に困ったことはない。
なのに、なぜ今になって、こんなに焦るんだ?
「なぁ〜西崎。お前、花火大会誰かと行くわけ?」
前の席の………たしか高橋という奴だったと思うけど………が聞いてきた。
高橋はたぶん中学から一緒で、明るい高橋と俺とでは、全く正反対の生活を送っていた。
「………たぶん行かね」
「マジ?絶対伊原と行くんだと思ってた。お前ら仲いいし……」
「………伊原?」
確かに俺がしゃべる女は美咲ぐらいだが………
全く予想外の返答に、拍子抜けした。
「何で………べつに、美咲は幼なじみだから…………」
「付き合ってはないの?」
「あぁ」
「じゃさ、伊原に紹介してよ!俺実はずっと気になっててさ〜」
「同じクラスなのに?」
「伊原と関わったことねーし…。なっ!頼む」
仕方なく引き受けることにした。渋々立ち上がり、高橋に半ば連行されて美咲の前に立つ。
「なに?またノート?」
友達と話していた美咲が、俺が近寄ると急に顔をあげた。何故だかものすごく嬉しそうだ。
「………何か、紹介してほしいんだって」
急に顔が曇る。高橋のことが嫌いなのか?美咲にも好き嫌いがあるのか……。
「そう………」
それに気付かない高橋が、照れながら話しかける。
「花火大会、一緒に行かない?」
意外と直球だ。
「…………西崎はどーすんの?」
「俺は………行かね」
「ふ〜ん……………いいよ、行こ!」
笑顔を向けられうろたえる高橋を引き連れ、教室を出る。
「ありがと〜マジ助かった!」
「…………」
最近、美咲の表情の変化が多くなった気がする。………気のせいか。




