Chapter5
「あの、ありがとうございました!」
「べつに…………あ……」
「えっ、西崎くん!?何でこんなとこに……」
加野だった。帰宅途中なのか、まだきっちりした姿でいた。
「…………」
「何その、『まずった!』みたいな顔(笑)私、家この辺なの〜一人暮しし始めたばっかで」
こんな治安の悪いとこに一人で住んでんのかよ。意味わかんねー女……無防備すぎるだろ………。
「あ、夕飯食べた?よかったらうち、来る?」
「はぁっ?」
「一人だと作りすぎちゃうから。ねっ!」
ほんとに、こんな無防備な奴、見たことない。
女っていうと、こっちにその気がなくても、勝手に警戒するような生き物だと思っていた。
危なっかしくて、ほっとけない奴。そんな風に女を見たことなんかなかったのに……。
「……お前一人じゃ危ないから………行ってやってもいい……けど………」
15分後、俺は加野の家のソファーに座っていた。
加野の家はワンルームマンションで、女らしい家具が並んでいた。
レースのカーテンや巨大なくまの縫いぐるみなんか、俺とは全く無縁の代物だ。
「はい、出来たよ〜」
「………これだけ?」
小さい茶碗に軽く(加野よりは多い)盛られたご飯と味噌汁、あとは湯気のたっている、冷凍食品の数々………。
「作ったってか………味噌汁だけじゃ………」
「冷食嫌い?おいしいよ?」
「そりゃそうだろうょ………貸して、フライパン」
加野にフライパンを借り、冷蔵庫にあるものを物色して炒めた。
加野は、俺の横で見た目が変わっていく色とりどりの野菜たちに、目を丸くして見つめていた。
「……すっごぃ〜!手際いい!フライパン片手で持ってる!」
「皿」
「は、はい!」
俺特製・ソーミンチャンプルー。
つーか、何で食材は揃ってるのに冷食なんだ?
加野と一緒に食べ(ほとんど加野がしゃべって食べた)、家をあとにした。
変な奴。でもあいつと関わる度、あいつを思い出す頻度が多くなるのは………なぜ?
あいつを見ると、妙に微笑ましく思えるのは………なぜ?




