chapter16
長らくお待たせしました。
「あ〜っ!!加野ちゃんと化学の滝本、ツーショット♪」
クラスのザ・KYこと湯川清孝(最近おぼえた)が、写メをみんなに見せびらかす。
いつもどおりにする、という亜希との約束を守るため、表面上は無表情になるよう努めた。
………が、内心かなり動揺してた。
きっとこの焦りを表情にあらわしたら、俺は相当ひどい顔になるはずだ。
クラス中が写メで盛り上がる中、俺は何気なく、を装って教室を出た。
廊下に出ると、湯川が言ってたとおりの光景がそこにはあった。
亜希と、滝本。
滝本は化学の新任教師だ。
わかりやすい授業と、あの某アイドル事務所も真っ青の甘いルックスのせいで、校内の女子は奴に夢中だ。
化学を習ってない奴まで滝本親衛隊を結成してるんだから、相当なものだ。
二人は仲良く談笑していて、同い年だし美男美女だしで、すっごくお似合いだ。
見てると辛くなり、とりあえず二人から離れようと思った、そのとき。
「西崎?」
「………美咲」
教室から顔を出したのは、美咲だった。
「あ、KYが言ってたの、ほんとだったんだ〜」
俺の心情を知るはずのない美咲の言葉は、俺にさらに追いうちをかける。
「………みたいだな」
「なに〜もしかして、傷ついちゃったりしてんの〜?」
からかうように笑う美咲に、まさか『そうです』なんて言えるわけなくて、ただ必死で無表情をつらぬいた。
「……まさか」
「だよね。西崎が先生好きなはずなぃもんねー。しっかしあの2人、お似合いだね!」
………ごめん、美咲。
俺、マジに先生が好きなんだ。
………言わねーけど。
「……わり、俺次サボる」
「もー(笑)そろそろ日本史、ヤバイんじゃなぃのー?」
そう茶化す美咲に返事も返せないくらい、俺は内心乱れていた。




