Chapter15
ハンバーグを食べ、二人で食器を洗ったあとに、ソファーで寄り添って座っていた。
「亜希、最近ちょっと料理、上達したんじゃね?前まで冷食だったのに」
亜希の肩に手をまわし、抱き寄せながら囁いた。
「そうでしょ!実は家庭科の佐々木先生に、毎週料理習ってるの」
自慢げに言うその口調がすごく可愛くて、もっと近くに引き寄せた。
「佐々木って、あの佐々木理香子?」
「うん。何で知ってるの?習ってないよね」
「いや、キレイだから目つけてたの」
「えっ!」
焦って俺の腕にしがみつく亜希。
反則だろ、可愛すぎだっつの。
「ジョーダンだよ。クラスの佐野がさ、理香子マジ好き!って叫んでんの聞いて、美咲に聞いたわけ」
「な、なんだ、伊原さんか〜!たしかに佐々木先生すっごく美人だよね。女の私も見とれるくらい」
「え、もしかしてお前、レ……」
「ズじゃなぃ!」
「ばか、なぐんなって。ジョーダン」
亜希のパンチを避け、頭を撫でながら優しくキスすると、おとなしくなった。
ほんと、犬みたいな奴。
「………これ、卒アル?」
ふと本棚に目をやると、アルバムらしきものを発見した。
「あ、うん」
「見ていい?」
「どーぞ」
開くと、うちの学校のアルだった。
「亜希、うちの卒業生なの?」
「そーだよ。言ってなかったっけ?」
「うん。……何組?」
「ないしょ。探してみて(笑)」
パラパラとめくっていくと、《加野亜希》と書かれた写真を見つけた。
まだ少しあどけない顔立ちの亜希が、うちの制服を着て笑ってる。
「かわいー」
「やだ、もう見つけたの?」
「俺、彼女にしたい」
「ばーか。それ褒めすぎ」
きっとこんなにかわいかったなら、相当モテただろう。
ふいに寂しくなって、亜希を抱きしめた。
「なになに、どうしたの?」
「…………」
亜希、誰かにとられないよな?
変な不安が俺を襲う。
そんな俺をよそに、亜希はある一人の男の写真を指した。
「これ、化学の滝本先生。一緒に委員長やってたんだよ〜」
言い表せない不安が纏わり付く。
「そっか……」
不安を完璧に表に出さないほど大人じゃないガキの俺は、こんな言葉を搾り出すのが精一杯だった。




