Chapter14
実は、俺と加野……じゃなくて亜希は、まだキス以上はしてない。
俺だって今までそこそこ女がいたから、会うたびいつも体を重ねてた。
けど亜希に会って、それが何か悪いことみたいに思えてきて……いまいち強く押せない。
もっとも、まだ付き合い始めて間もないし、きっと亜希もすぐにしたくなるはず。
……そのときは、そう思ってた。
亜希が仕事終わるまではまだ時間があったから、家に戻って私服に着替えた。
デートのときは、あえて少し大人びた色の服を選ぶ。
できるかぎり、自分が学生で彼女が教師だと、亜希に意識してほしくなぃからだ。
自宅のワインラックから1本抜き取り、そっと紙袋に潜ませた。
安めの赤ワイン。
親は、ワインラックから徐々にワインが消えていってることに気付いてない。
時間をつぶしてから亜希の家に向かう。
玄関でインターホンを押すと、愛しい彼女が迎えてくれる。
「いらっしゃい」
「これ、一緒に飲もうと思って持ってきた」
そう言って紙袋を渡す。
「わっ、ワインじゃない!」
「安物だけど……じゃ、ご飯のときに……」
「えっ、私だけ飲んでいいのかなぁ?」
「へ?いや、俺も飲むから」
「ダメ!智也くんはまだ未成年でしょーが」
「いいじゃん、俺いっつも飲んでるし」
「ダメダメ〜!」
断固として譲らない亜希。こういうときだけ教師ヅラかよ。
「また俺をガキ扱いしてるだろ」
「そんなことない……」
「亜希……」
亜希の言葉を遮って、唇を奪う。
舌を絡ませた、濃厚なキス。
ゆっくりそれに応じる亜希は、かなりやらしい。
きっと彼女は気付いてないだろうし、もっともキスに溺れさせてるのは俺なんだけど。
腰に手を回して抱き寄せ、一度離して角度を変えてまた絡ませる。
数分が経過したあと、赤い顔で下を向いた亜希が、消え入るように呟く。
「…………ずるぃ」
「ガキ扱いした仕返し。俺、ガキっぽかった?」
「…………ばか」
いつもはもっと軽いキスだが、今日はちょっと怒ったから深くしてやった。
俺は正直、かなり上手いと思う。
これで亜希がヤりたいと言えば抱くつもりだったが、さすがは教師。そう簡単には言わない。
「………ハンバーグ、できてるょ」
亜希を抱き寄せ、もう一度額に小さくキスしてから、ダイニングにむかった。




