Chapter13
2学期が始まった。
あの夜から一度も顔を合わせなかったが、一応俺らは付き合ってる。
………と言っていいはず。
実のところ、加野は少しそっけない。
1.学校では普通の生徒と先生でいる
2.学校では名前で呼ばない
3.廊下ですれ違っても、今までどおりにする
こんな条件を出したのは俺の方で、もちろんそれは加野を考えてのことだ。
だけど………こんなに律儀に守らなくても………。
廊下で会っても、何もしてはいけない。
………好きなのに。
付き合ってるのに。
生徒に囲まれて笑っている加野を見ると、嫌でも自分と加野は立場が違うことを思い知らされる。
せつなくなる気持ちを押し殺し、加野に近づく。
「加野」
周りに生徒がいなくなった瞬間を見計らい、そばに寄る。
「西崎くん」
どこかそわそわしだす加野。心なしか、顔が赤い。
「……バレちゃうよ。そんなかわいい顔してたら」
わざと耳元で、吐息まじりの声で囁いた。
面白いくらいに顔が沸騰しだす。
「西崎くん!」
「今日家、行ってもいい?教えてほしいことあるんだけど」
「…………絶対ウソだね」
「えっ、何で?」
「そんなことするわけないもん、とも……に…あなたは」
『あなた』とか、彼氏というより夫婦……?
とかいう俺の勝手な妄想を無視し、小声で言った。
「今日、ハンバーグ作って待ってる」
やっぱり加野は彼女だ。
少し安心したところで、ケータイを差し出す。
「なに?」
「まだ連絡先、知らねーから」
「あっ、ちょ、ちょっと待って」
あたふたとノートの端をちぎり、ペンで何かを書いて、周りを見回しながら渡してきた。
「じゃ、またね」
渡された紙には、電話番号とアドレス、そしてハンバーグの落書きが書かれていた。




