Chapter11
「きゃああっ……………」
突然暗がりの中から聞こえてきた悲痛な叫び声と、その後響いた痛々しい物音に、思わず振り向いた。
「……誰か落ちたのか…?」
声の聞こえてきた階段と思わしき場所に行ってみると、下の方で何かが動いていた。
「…………加野!?」
「あ、西崎くん……(笑)せっかくびっくりさせようと思ったのに、失敗」
「何でこんな時間に……」
突然何なんだ、この女……。
やっぱり変わった奴だ。
「………て、大丈夫か?!」
「うん……(笑)」
急いで踊り場まで駆け降りると………
「………浴衣?」
「あ〜うん(笑)ちょっとでも花火大会気分になれるかなーって」
「……………」
「あっ、タコ焼き買ってきたの!あと焼きそばと、りんごあめと、わたがしと………」
何なんだ………。突然俺のために浴衣で学校来たり、いろんなものを買って並べだしたり…………。
こいつ、やっぱり他の奴とはちょっと違う。
「………やっぱ…似合わない、かなぁ?」
自信なさそうに浴衣の袖を見つめる加野。
紺地に桔梗の和柄の浴衣が、色白の加野の肌を艶やかに引き立たせる。
さらに普段は下ろしている髪をまとめ上げ、うなじに後れ毛が揺れているのを見て、どうにかなってしまいそうなくらいに動揺してしまった。
「…………っげぇ、可愛いっつの…………」
いちいち女を褒めるのに照れる自分が恥ずかしくて、無意識に赤く火照った顔を覆い隠すように、右手を口元にあてた。
俺がどんな心境で言っているのか分かってるのかいないのか、嬉しそうな顔で微笑んだ。
「………来て。ちゃんと手当する」
俺が沈黙ん破って立ち上がると、予想外の展開だったのか大きく首を振った。
「いい、いい。花火終わっちゃう……」
「でも、傷、残ったら困るから」
一瞬迷ったが思い切って加野の手首を持って立ち上がらせ、袋を持つと歩き出した。
加野は少し戸惑いながらも、おとなしくついてきた。




