Chapter10
沈みこんだ俺は何にも手につかず、結局全く勉強しないまま追試の日を迎えた。
花火大会に行くため、楽しそうな笑い声をあげながら廊下を歩く生徒。
そんな中、追試にかかった哀れな数人の生徒たちは、せめて早く解き終わって帰れるように、必死で勉強していた。
しかし、俺は急ぐあてもなくなったので、無関心に窓を眺めながらシャーペンを回していた。
だんだん陽が落ち、暗闇に包まれ始めた。
「はい、参考書しまって!解き終わった奴から帰ってよし。はじめ!」
この時ほど畑中を恨んだ瞬間はない。
あのハゲはじめた頭を、思いきり叩きのめしたい。
そんな衝動を押さえつつ、テスト用紙に目をうつした。
ほとんどの生徒が帰り、教室に残っているのは、俺と知らない奴だけになった。
分からん。
勉強してないから当たり前だが、満点になるまで帰れないなんて聞いてない。
たかだか日本史のくせに………。
しかしその知らない奴も帰り支度を始め、俺と畑中だけが教室に残された。
「おぃ〜まだ出来ないのか」
「うっせぇよ」
「もうお前、帰れ。2は確定だからな」
「…全然かまわねぇっの………」
最後は畑中の慈悲で追試が終わった。
畑中は答案を持ってとっとと帰り、何の音もしない教室に一人、残っていた。
ひゅっ……………………バーン………
始まったようだ。時計を見ると、8時だ。追試は7時までのはずだったのに………。
といっても急ぐ必要もなく、ゆっくり鞄を持って廊下に出た。
涼しい風が入り込み、妙な静けさが心地よかった。
俺の背後に、何か気配がして、勢いよく振り返った。
が、誰もいない。
「ホラーかよ………」
気を取り直して帰ろうとしたその時。




