Chapter9
加野を誘ってからというもの、俺は常にそわそわしていた。
しかも挙動不振。授業なんて、聞いていられない。
…………そんな浮かれた俺は、すっかり忘れていた。
花火大会の日に追試がある、畑中の小テストの存在を…………。
加野を誘うのに成功した俺は相変わらず浮かれてて、当然追試に、ひっかかってしまった。
花火大会に誰からも誘われない畑中が行く奴をひがんで、わざわざ花火大会の日に追試を設けるにちがいないと、誰かが言っていたのを聞いたことがある。
理由はどうあれ、追試にかかってしまったのは事実だ。
自分で誘っておいて、断るのか。
…………………嫌だ。
俺は加野と行く。
黙って抜ければ、晴れて花火大会だ。
しかし……………
「西崎くん、追試かかったって?」
バレてる。
「うぁ………でも、畑中のなんか抜けたら………」
「絶対ダメ!これでも教師ですからね。認めません」
「でも、それじゃあ………っ」
俺が加野と見れなくなるじゃんか。
なんて言えるわけもなく。
「……加野が花火大会行けんくなるじゃんか」
「え?まぁ……ちょっと残念なのは残念なんだけど………」
くっそ〜、せっかく勇気出して誘ったのに!
「……………わりぃ」
「……………………あっ!そうだ!いいコト思いついた♪」
何だよ……行く相手、他にいるのかよ…………。
「追試、ちゃんと勉強してね!じゃっ」
そうして満面の笑顔で去っていった。
あとに残された俺は………
「……はぁ。何やってんだ、俺………」
落胆した俺の背中に、夕焼けの光が寂しく溶けていった。




