三日目
早朝、相変わらず慣れない和室で目を覚ました私は身支度をして部屋を出る。
今日は処刑の日だ。生きている少女と会うのも今日が最後だ。
「処刑人様、どちらに?」
「今日が最後の日だ、あの少女と面会させてくれ」
「それは……できません」
警備兵は帽子を深く被り視線を逸らす。その様子から何かただ事ではない様子なのは理解できた。
だが、理由くらいは聞いておかないと納得がいかない。ここには仕事で来ているのだからな。
「何故だ?」
私の問いに警備兵は重い口を開く。
「処刑される予定の少女が……」
「少女がどうした」
「昨夜から錯乱状態でして……今も会話がままならないのです」
警備兵の言葉に驚く。つい数日前までは余裕そうにしていた少女が処刑目前に暴れ出すとは……いたって普通の事だが、あの少女に限っては無いことだと思っていた。
「そうか、なら面会は我慢する。処刑の時間になったら呼んでくれ」
――数時間後、監獄の静かな壁に囲まれた庭に集まる。
集められた庭には断頭台が一つとその周辺に警備兵が数人、そして身柄を押さえられた少女が一人そこにいた。
少女の目は昨日会った時と同じどす黒い瞳をしていた。小一時間前まで錯乱していた人間とは思えない目をしている。
「それでは処刑人様、刑の執行をお願いいたします」
断頭台に付けられた刃を上げ、少女の首を固定する。口枷までされている少女には発言の権限すらない。
吊り上げられた断頭台の刃に繋がるロープを握る。その瞬間、少女の目の色が変わり必死にもがこうと体をよじる。
(所詮は罪人だったか……っ!!)
この数日間の少女の言動に呆れつつロープを離した時だ、少女の目を見た。
その目はこの二日間、面と向かって見ていた目とは違い恐怖におびえていた。
――ドンッ!――
処刑が終わり私は岐路についていた。少女が最後に見せた恐怖に怯えた目、その目がどうしても忘れられなかった。
少女の出自がすこし気になった私は少女について調べた。
そこで分かった事は少女には双子の妹がいたことだ。それがわかったからなんだと思うかもしれないが、衝撃だったのはその妹は少女が初めて手に掛けた犠牲者だったことだ。
その後、少女が何故いままで捕まらなかったのか調べた。
結論から述べると少女が捕まらなかった理由は誰も少女が犯したとは思っていなかったからだ。
13歳と言う幼さ、実の兄弟。色々な点から少女の反抗を誰も信じなかった、極め付きは【愛層が良かった】それが信じられない根拠となっていた。
少女が住んでいた町を訪れた時、町は既になかった。貴族が焼き払ったと言う。
元々、この事件は町を収めていた貴族が不審に思い調べたところ判明した事件だ。
今となっては捜査の仕様がないが、わかっているのは少女の罪を町単位で隠蔽していた事。新聞にはそう記載されていた。
だが、最後に見た少女の目は何か別の事を訴えているようにも感じた。




