二日目
敷布団から起き上がり眼鏡をかける。
「くせえ……」
和室と言う物で初めて眠りについたが、匂いが気に入らない。
とてもじゃないが休まった気がしない。
布団を畳み、手帳を取り出して昨日書いたページを開く。
見た目は普通。精神状態は虫を嬲る子供の様に罪悪感が欠如している。目の奥はどす黒く、強い恨みの様な物を感じる。まとめるとこんな感じだが……。
「全体的に見ても子供っぽいな、13歳にしては精神が幼稚だ」
13歳。そのくらいの歳になると自然と親の手伝いや多少の反抗が目につき、大人への階段を背伸びして上っているような歳だ。だが昨日会った少女の目や罪状から見ても虚言の一言でかたずけられるはずだ。
(もしかして何らかの障害を持っているだけで実際は何の罪のないのか……?)
「処刑人様、面会の準備ができました」
わからないことが多いが、今日は昨日の情報を元に会話をしてみよう。
面会室に入ると昨日と同じように少女が拘束された状態で待っていた。
「昨日ぶりだね、お兄さん」
「ああ、昨日ぶりだね」
「面会時間は5分ですので、お時間になったらまた来ます」
昨日とは違い、警備兵は部屋を出る。
「あれ?今日はお兄さん一人?」
「今日は私と二人きりでお話をしよう」
今日はこちらの希望を通してもらい少女と二人きりで会話させてもらう様に手配させてもらった。もし、この少女に罪が無いのなら苦痛の様な尋問で精神が危うくなにも聞き出せない可能性があるからだ。
「さて、昨日お嬢ちゃんは【いっぱい人が死んだ】と言っていたがその時の様子を聞かせてもらえるかな?」
(時間が掛かってもいい、私に無垢なる民を傷つける趣味は無い。何も知らない子供なら頑張れるところまでは頑張ろう)
私は心が傷つかない範囲(罪人)なら何をしてもいいと言う人間だ、無罪の人間を処刑するのは心が痛い。
「その時ってどの時?」
「人がいっぱい死んだ時だ」
「ん?だからどの時?」
なにを言っているのかわからないと言った表情で少女が見つめる。
空気が凍る。
「質問を変えよう、君は人を殺したのかい?」
「うん、殺したよ」
「……君は13歳と言う若さで人を殺したのかい」
「もっと前からだよ?」
当たり前のように答える少女に考えを改めさせられる。
この子は精神が幼いんじゃない、自らの罪を自覚した上でここに居る。決して尋問が苦痛だったとかではない、何回も人を殺して罪を重ねてきた罪人だ。
「じゃあ、次の質問だ。どうしてそんなに無邪気でいられる」
感じた疑問の一つ、この子は無邪気すぎる。多少の精神の幼さもあるかもしれないが、それにしては嘘一つなく質問に答えてくれる。
「別に?本当のこと言って何か変わるの?」
「そうか……」
これは諦めと取っていいのか、はたまた別の解釈が必要なのかはわからないが、今のこの子に罪悪感は無い。
「お時間です」
「それじゃあ、また明日ね。おじさん」
何も言わずに部屋を出る。明日、この少女を私は処刑する。




