9/11
第九章 新しい時代
五年後──帝国はヒデリコの改革により貧富の差が縮まり、魔導技術が発展。
聖女ターエリは教育機関を設立。
皇太子は地方で奉仕生活を送っている。
そして──
「お父様、お母様、今日の算数満点でした!」
小さな女の子が、書斎に飛び込んできた。
ヒデリコとクレスティアナの間に生まれた、第一子のホノカだ。
「おお、偉いな。お父様より頭が良いぞ」
「でも、お父様みたいに背は低くならないでね!」
「……それは、遺伝だから仕方ない」
一家の笑い声が、宰相官邸に響いた。
クレスティアナの転生者としての孤独も、悪役令嬢の宿命も、すべてが今の幸せに変わっていた。