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第二章 辺境の城へ


 三週間後。

 クレスティアナは護衛に囲まれ、帝国の北西──マスダーレン領へと向かっていた。

 馬車の窓の外は雪を頂く山々と、広大な森。

 文明の光が届かない辺境。


「伯爵様はどんな方なんですか?」


 護衛の一人にクレスティアナは静かに尋ねた。


「……見た目は若いけれど、中身は鬼です。領民の命を第一に考えるが、敵対する者には容赦なし。帝国の財政改革も彼の手によるものです。皇帝陛下の右腕とも言われています」


「……ちなみになんだけど……身長はどのくらいかしら?」


「身長は……申し訳ありませんが百六十前半ほど。ですが、その小ささに見合わぬ威圧感があります」


 やっぱり。

 童顔で小柄。


 クレスティアナの心臓が高鳴った。


 彼女は歳上の男性が好きだった。

 落ち着き、知性、包容力。

 年齢が上なれば上なほど、魅力的に感じる。

 でも、枯れ専ではない。

 老けているのは好かない。

 だが若く見える年上──特に中身が大人で外見が少年のような男性──は彼女の理想像そのものだった。


「……会うのが楽しみです」


 護衛が怪訝な顔をしたが、クレスティアナは微笑んだ。


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